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大王製紙:特別背任容疑、井川前会長を逮捕へ

井川意高・前会長
井川意高・前会長

 総合製紙大手・大王製紙の井川意高(もとたか)前会長(47)が私的な借り入れで子会社に巨額の損害を与えた疑いが強まったとして、東京地検特捜部は会社法違反(特別背任)容疑で逮捕する方針を固めた模様だ。また同社は21日、前会長の刑事告発に踏み切った。オーナー企業の元トップによる巨額借り入れとカジノ賭博流用疑惑は刑事事件に発展する。

 井川前会長は創業者、井川伊勢吉氏の孫。同社の発表によると、前会長は連結子会社7社の代表取締役会長も兼務していたが、その任務に反し、総額85億8000万円を指定した口座に振り込ませて同額の損害を与えたとしている。

 特捜部は前会長を既に任意で数回事情聴取。前会長は借り入れの事実を認めつつ「自分には資産があるので株などで弁済できると思った」などと、積極的な犯意を否定する説明をしている模様だ。

 同社関係者によると、前会長は昨年5月~今年9月ごろ、子会社7社から無担保で計約106億円を借り入れた。会社法が義務づける取締役会の承認を経ない借り入れもあった。大半がラスベガスなどの海外でのカジノに使われた疑いがあるという。

 一部の子会社は資金不足になり、新たに借り入れしなければならなくなったケースも生じた。同社が設置した特別調査委員会の報告書は10月末、「7社に対し、財務上何らかの影響があったことは否めない」と指摘した。

 前会長は7月までに現金18億700万円と関連会社株などで計47億5000万円を弁済したが、資産評価の難しい非上場株も含まれていた。同社は株による弁済は認めず、告発に踏み切った。特捜部も子会社の受けた損害は大きく、強制捜査は不可避と判断した模様だ。

 大王製紙 1943年に愛媛県伊予三島市(現・四国中央市)に設立。段ボールなどの用紙事業と家庭紙事業を柱に国内外に子会社37社があり、11年3月期の連結売上高は4101億円と国内3位の総合製紙メーカー。家庭紙用製品の「エリエール」ブランドで知られる。

毎日新聞 2011年11月22日 2時30分

 

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