■ 「政策仕分け」が大学の未来にメス?
20日から始まった政府の新しい事業仕分け。今回は政策に関して提言する仕分けということで、扱うテーマも大きいのが特徴です。21日は大学改革が議題となりましたが、果たしてどのように切り込んだのでしょうか。
「失敗は素直に認めたほうがいい」(仕分け人 階 猛 衆院議員) 21日、仕分け人が失敗と指摘したもの。それは先日、計算速度世界一の座を守ったばかりのスーパーコンピューター「京」です。 仕分け人によりますと、「京」は計算能力こそ世界一ですが、当初目指していた「異なる計算技術を統合させた計算機をつくる」という目標を達していないのだといいます。 「失敗とお認めにならないんですか?」(仕分け人 階 猛 衆院議員) 「初期に目指した形態を達成できなかったということは言える。一定期間に10ペタ(=1京)を達成してリンパック(性能計測)1位は達成した」(文科省の担当者) 「また来年更新されますよ、世界一は。結局、皆さんがやったことはそれほど意味があったことなのかどうか」(仕分け人 階 猛 衆院議員) 政府の事業をチェックする「仕分け」の季節がまたやってきました。水槽を泳ぐ巨大な魚。しかし、何か動きがぎこちないようにも見えます。これ、実はロボット。制作費数千万円というシーラカンスのロボットなのです。 このロボット、経済産業省所管の独立行政法人「日本原子力研究開発機構」が購入し、現在、「アクアトム」という科学館に置かれています。原子力とシーラカンスはどう結びつくのでしょうか。20日の仕分けで、このシーラカンスが話題に上りました。 「アクアトムという施設をお持ちだと思いますけれども、シーラカンスが泳いでいた。海のことをPRしたいのか、原子力のことをPRしたいのか」(仕分け人 玉木雄一郎 衆院議員) 仕分けの結果、この独立行政法人に対して、仕分け人7人中5人が広報施設の必要性を厳格に精査すべきとしました。 今回の仕分けは「提言型政策仕分け」という名称。パッと見たところ、従来の事業仕分けと同じですが、大きな違いがあります。政策の問題点を洗い出し、改革の方向性を示すという目的のため、これまでのように歯切れの良い結論にはなりにくいのです。 現在、18歳の人口がピーク時よりも4割減少している中にあって、大学の数が見合っていないのではないかという議論になりました。 「(大学は)今、入るのも出るのも簡単。社会に役立つ人材が育ちようがない」(仕分け人 階 猛 衆院議員) 「大学が多すぎるということにはならない。私立大学がない県もある。こうした都市はどうするのか」(参考人 白井克彦 早稲田大学 前総長) 現在、大学の経営は厳しい局面に立たされています。 「11年間(入学者は)下がりました。このままでは大学がつぶれる」(鳥取環境大学 古澤 巌 学長) こう自嘲気味に話すのは、鳥取環境大学の学長。この大学では8年連続で入学者の定員割れが続いています。統廃合についても議論されましたが、県と市はこの大学を公立として存続させることにしました。 こうした経営問題は、この大学に限った話ではありません。最新の調査では、私立大学の4割近くで定員割れが起きているといいます。難しいテーマだけに、仕分けでも統廃合の是非については踏み込まず、まずは大学の自助努力を求めることになりました。 なお、この「仕分け結果」は、これまでの事業仕分けと同様、法的強制力を持つものではありません。(21日23:15)
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