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らせん水車とゼンマイを組み合わせた
小水力発電装置 |
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東日本大震災以降、自然エネルギーに注目が集まる中、黒部市宇奈月町で、21日まで、小水力発電について考える全国サミットが開かれました。
地元・富山の小水力発電の取り組みも紹介されました。
19日から21日まで宇奈月で開かれた「小水力発電サミット」には、全国から研究者や自治体の関係者など1200人以上が参加しました。
富山県は利用可能な水力エネルギー量が岐阜県に次いで全国2位です。
既に16箇所の小水力発電が稼動するなど注目が高まっています。
今回のサミットで紹介されたのが今年4月に着工した黒部市宇奈月町の宮野用水発電所です。
この発電所は対岸の愛本発電所からの水を利用します。
水は導水菅を通って黒部川を横断し、高低差があるため一気に吹き上がります。
宮野用水発電所はこの吹き上がる水のエネルギーを使う全国的にも珍しい発電所です。
年間発電量は1260世帯分にあたる530万9000キロワットアワーが見込まれています。
既に引かれている導水菅を利用していることなどから総工費はおよそ6億円で済み、着工から発電開始まで1年と短く、関係者は10年で元がとれると話しています。
そしてサミット2日目の20日は小水力エネルギーを生かす技術や高校生・高等専門学校生の発表など4つの分科会が開かれました。
その中でも予定の2倍近い人が詰め掛けた分科会で質問攻めにあっていたのが、黒部市の東洋ゼンマイ社長、長谷川光一さんです。
東洋ゼンマイが発表したのはらせん水車とゼンマイを組み合わせた小水力発電装置です。
この装置の最大の特徴はこれまで発電が出来ないとされていた小さな用水やわずかな水の量でも電気が起こせることです。
その仕組みは、まずらせん水車が回転する力でゼンマイをまきます。
そして巻ききったところで、ゼンマイの力で発電が始まります。
発電している間は次のゼンマイがまかれているので継続的に発電が出来ます。
発電のため試験的に作られた用水路は、長さ6メートルで高低差はわずか3センチとゆるやかです。
水量は1分間に200リットル以下と平野部の農業用水並みですが、24時間の稼動で20ワットのLED電球を3時間ほど点灯することができました。
らせん水車と発電機を直接つなぐ従来のタイプで同じ電力を得るには倍以上の水量が必要だということです。
今後は山間部での定点観測カメラ用の電源や夕方から夜間にかけての防犯灯の電源などに活用が期待できるといいます。
東洋ゼンマイ長谷川社長「もうちょっとコンパクトにしながらみんながさらに使いやすいとゆうふうに考えながら、割と安価にして皆さんが手ごろに使えるような水路にポンと置いたら出来るよと、そういうようなものにしたいですね」
東洋ゼンマイでは実用化に向け来年春から実証実験を始める予定ですが、すでに大手家電メーカーや住宅機器メーカーから問い合わせがきているということです。
小水力発電は複雑な水利権など課題もありますが、こうした新たな取り組みをみると、今後の活用への期待がますます高まります。
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