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プロローグ
『SOUND ONLY』と書かれたモノリスの立体映像が映し出されて行われるゼーレメンバーの会議。
その見た目はいつもと変わるはずが無いはずなのだが、キール達の声や息遣いは緊張の色を帯びている。

「確かに、渚カヲルは死んだのだな?」
「はい、現在腐敗を防ぐためにドイツ支部の実験棟でコールドスリープさせていますが、生命活動は確実に停止しておりました」

キール議長の質問に、別の議員の声がそう答えた。

「聞けばダミープラグの開発が遅れていたとの事。完成を急ぐあまりに無理な実験をし過ぎたのではないか?」
「しかし、必要なデータはもう揃っている。渚カヲルが居なくてもダミープラグの完成はできる!」
「馬鹿を言え、渚カヲルには『第十七使徒タブリス』としてせん滅される役目があったのだぞ。ダミープラグなど枝葉に過ぎぬ」
「左様、死海文書に無いこのシナリオの変更は赦されるべきものではないぞ」
「だが、ダミープラグの完成を急かした貴殿達にも責任があるのだぞ」
「今は責任を押し付け合っている場合ではない」

騒ぎ出した議員達を静めたのはキール議長の鶴の一声だった。
議員達は押し黙り辺りに沈黙が流れた。
キール議長は軽く咳払いをした後、問題点を提示する。

「我々がしなくてはならぬ事は、代替の第十七使徒を用意する事だ」
「ですが渚カヲルは長い年月を費やして『使徒化』させた存在、第十二使徒まで倒された今となっては時間が足りないのでは?」
「使徒細胞を大量に投与するにしても、必要なサンプルが集まりません」
「使徒化を促進させるため、生きた使徒と素体となるチルドレンを直接融合させる」

他の議員達の反論にキールがそう提案すると、他の議員達から感心のため息がもれる。

「なるほど、それは名案ですが上手く行くのでしょうか? エヴァとのシンクロ率が高いチルドレンを使わねば、失敗する可能性が……」

するとその議員の質問に答えるかのようにディスプレイにセカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレーのプロフィールが映し出された。

「セカンドチルドレンを使うのですか? すると戦力の面で問題が生じますが……」
「諸君も先の戦闘での初号機の強さを見たであろう、あの強さなら弐号機が欠けても使徒との戦いには支障があるまい」

議員の反論にキールはきっぱりとそう断言して言い切ると、議員達からは拍手が上がる。

「さすがはキール議長、すぐに名案を思い付くとは」

会議に出席した議員達は満場一致でキール議長の案に賛成し、計画は実行に移されることになった。
死海文書には参号機に第十三使徒が寄生する事実は記されていたのだ。
ゼーレの命令を受けたネルフ本部は参号機の起動実験を松代で行う事を決定した。
ゲンドウはゼーレの目的を知っているのかわからない。
そしてミサトはアスカが参号機のテストパイロットに選ばれた事を告げる。
最近シンジに活躍の場を奪われていたアスカは喜んで引き受けた。
それがアスカとシンジを巡る長い悲劇の始まりとなる事を知る由もなかった……。
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