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愛知県警:警官の戸籍謄本不正取得…司法書士ら5人逮捕

 暴力団捜査を担当する警察官の戸籍謄本などを不正に取得したとして、愛知県警捜査4課などは11日、司法書士や元弁護士ら5人を偽造有印私文書行使や戸籍法違反、住民基本台帳法違反の疑いで逮捕した。

 逮捕されたのは▽「プライム総合法務事務所」経営、奈須賢二(51)=東京都中野区▽探偵会社「ガルエージェンシー東名横浜」代表、粟野貞和(62)=横浜市青葉区▽司法書士、佐藤隆(50)=東京都練馬区▽元弁護士、長谷川豊司(48)=同世田谷区▽グラフィックデザイナー、杉山雅典(54)=京都府八幡市=の5容疑者。

 容疑は共謀して10年3~7月に9回、司法書士であれば本人の同意を得なくても住民票などを取得できる「職務上請求書」を偽造、架空の依頼人名を記し名古屋市内の女性(47)ら7人の戸籍謄本や住民票の写しなどを不正に取得したとしている。佐藤容疑者だけは否認しているという。

 県警によると、7人のうち2人が県警の捜査員だった。うち1人は、4月に県警が逮捕した指定暴力団山口組弘道会の周辺者で風俗店グループの実質的経営者、佐藤義徳被告(54)=詐欺罪などで公判中=の捜査を担当。10年夏以降、捜査員の携帯電話には、男の声で複数回にわたって「家族がいるだろう」などと捜査をけん制するような内容の電話があったという。

 県警は奈須、粟野両容疑者の事務所と山口組系の関連企業との間に資金のつながりがあることをつかんでおり暴力団との関連を調べている。また奈須容疑者らが2万枚の請求書を偽造し、1万枚を使って住民票や戸籍謄本を不正に取得、身辺調査などに使用した可能性があるとみている。

 ◇「職務上請求」を悪用

 住民票の不正取得に元弁護士や司法書士が関与したとされる今回の事件。悪用された「職務上請求書」は弁護士や司法書士などの専門家などが使用でき、委任状なしで第三者の戸籍謄本や住民票の写しの取得が可能。今回の事件で、請求書を役所に郵送して不正取得した際、請求者名に司法書士である佐藤容疑者の名前が書かれており不正のチェックはできなかったとみられる。

 不正取得された住民票を巡っては、消費者金融からの借り入れや携帯電話の契約などで悪用されるケースが出ている。戸籍法と住民基本台帳法は08年5月に改正され、本人確認などの手続きを厳格化するとともに、30万円以下の罰金を設け、刑事事件としての立件が可能になった。愛知県警によると住民票の不正取得を両法違反で立件したのは全国で初。

毎日新聞 2011年11月11日 22時24分(最終更新 11月12日 1時49分)

 

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