2011-11-20 20:00:00
憲法9条とサイバー戦争
テーマ:ブログ
ここに、日本が世界でも最もサイバー攻撃に対して弱腰なのには理由がある。
日本には戦争放棄を規定した憲法9条がある。
そして国民を守る自衛隊には専守防衛という国防の基本方針がある。
だが仮に特定の国が、政府機能や自衛隊をサイバー攻撃で無力化、または破壊するようなことがあれば、それは戦争行為に当たらないのか。
日本の憲法9条は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と規定している。
日本はこれまで、PKO派遣を検討したり、北朝鮮がミサイル実験を行うたびに憲法9条の限界と向き合ってきた。
平和憲法を持つ日本はほかの国以上に、サイバー戦争への向き合い方を議論する必要があるはずだが、サイバー攻撃が「武力」に当たるかどうか、真剣な議論が行われた形跡はない。
サイバー攻撃に対して、「自衛」するためにはどんな能力が必要で、どこまでが法的に認められるのか。憲法上、日本のサイバー攻撃に対する備えをどう解決するのか。
自衛のためにサイバー攻撃を仕掛けることは許されるのか。
そして日本は平和憲法の中で、サイバー攻撃から国家と、国民の生命と財産をどのように守るのか。
目に見えないサイバー攻撃は、ミサイルや兵士による物理的な攻撃と違い、より実行しやすい攻撃手法といっていい。
そう考えれば、サイバー攻撃への備えだけでなく、法的な側面の議論を深めることは急務なはずだ。
NISCの大本は「日本に仮想敵国はいない」
と言うが、そんな認識でいいはずがない。
日本政府はサイバー攻撃が安全保障・危機管理に対する重要な問題であることは認めているが、国民の生命や財産が危険にさらされる事態は想定していない。
NISCの大本は、
「現状を見ると、実際に起きているのは不正アクセスや情報の盗み出しといった犯罪行為だ。犯罪として対処していくことが合理的な手段だと考えている」と言う。
だがここに大きな落とし穴がある。
攻撃を「犯罪」と捉えて刑法やその他の法律で対処するなら、たいていが国外から仕掛けられるサイバー戦争に日本は事実上、手も足も出ない。
エストニアが経験したような一斉サイバー攻撃を受けた場合、刑法でどう迎え撃つのか。
仮に国家としてサイバー戦争に対処しなければならない事態になっても、頼みの自衛隊には不安が残る。防衛省はいわゆる「サイバー空間防衛隊」という組織を設立すると発表している。
この部隊は陸海空の各自衛隊が行っているサイバーセキュリティ対策を取りまとめる役割を担うが、実際にいつ発足するかいまだに決まっていない。
もう日本に対する戦争は始まっているかもしれない。
日本政府や防衛機関のネットワークの中に忍び込み、ファイルを完全に破壊してしまう「ロジックボム」と呼ばれるウイルスが攻撃の瞬間を待っている可能性は大いにある。
総務省情報化統括責任者補佐官の三輪信雄は、
「政府機関や一般企業のコンピューターにウイルスが忍び込んでいる可能性は十分ある。ネットの利便性を取る以上、そのリスクは常にある」と言う。
★侵入を防ぐのは不可能★
さらに巧妙化するウイルスの侵入を100%阻止することは専門家も不可能だと考えている。
政府や企業の機密情報を狙ったサイバースパイでは、差出人が同僚や上司を装う場合もある。
ウイルスを使った詐欺や不正操作による経済損出も増える一方だ。
「こうしたサイバー攻撃も国家にとっての脅威となっている」、と情報セキュリティ企業LACの西本逸郎は言う。
「とくに企業への攻撃で、日本の体力を徐々に奪っていく意図も感じられる」
ただこんな質問も出てくる。
サイバー攻撃で各国の中央銀行を一気に破壊してしまえば、世界を制御できるのではないか、と。
例えば中国がその気になれば、アメリカの金融システムを麻痺させたり、システムそのものを破壊することもできるかもしれない。
そこに踏み出さないのは、核保有国が核兵器を使用しないのと同じロジックだろう。
サイバー攻撃も、既に抑止力や外交カードとして効果を発揮し始めている。
サイバー戦争はもはやSF映画の物語でなく、世界の勢力図を変える可能性もある。
だが日本の現状では、サイバー空間で世界と対等に渡り合うことは難しい。
それでも取り返しのつかない被害が出るまで、日本は目覚めないのだろうか。
~山田敏広~
日本には戦争放棄を規定した憲法9条がある。
そして国民を守る自衛隊には専守防衛という国防の基本方針がある。
だが仮に特定の国が、政府機能や自衛隊をサイバー攻撃で無力化、または破壊するようなことがあれば、それは戦争行為に当たらないのか。
日本の憲法9条は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と規定している。
日本はこれまで、PKO派遣を検討したり、北朝鮮がミサイル実験を行うたびに憲法9条の限界と向き合ってきた。
平和憲法を持つ日本はほかの国以上に、サイバー戦争への向き合い方を議論する必要があるはずだが、サイバー攻撃が「武力」に当たるかどうか、真剣な議論が行われた形跡はない。
サイバー攻撃に対して、「自衛」するためにはどんな能力が必要で、どこまでが法的に認められるのか。憲法上、日本のサイバー攻撃に対する備えをどう解決するのか。
自衛のためにサイバー攻撃を仕掛けることは許されるのか。
そして日本は平和憲法の中で、サイバー攻撃から国家と、国民の生命と財産をどのように守るのか。
目に見えないサイバー攻撃は、ミサイルや兵士による物理的な攻撃と違い、より実行しやすい攻撃手法といっていい。
そう考えれば、サイバー攻撃への備えだけでなく、法的な側面の議論を深めることは急務なはずだ。
NISCの大本は「日本に仮想敵国はいない」
と言うが、そんな認識でいいはずがない。
日本政府はサイバー攻撃が安全保障・危機管理に対する重要な問題であることは認めているが、国民の生命や財産が危険にさらされる事態は想定していない。
NISCの大本は、
「現状を見ると、実際に起きているのは不正アクセスや情報の盗み出しといった犯罪行為だ。犯罪として対処していくことが合理的な手段だと考えている」と言う。
だがここに大きな落とし穴がある。
攻撃を「犯罪」と捉えて刑法やその他の法律で対処するなら、たいていが国外から仕掛けられるサイバー戦争に日本は事実上、手も足も出ない。
エストニアが経験したような一斉サイバー攻撃を受けた場合、刑法でどう迎え撃つのか。
仮に国家としてサイバー戦争に対処しなければならない事態になっても、頼みの自衛隊には不安が残る。防衛省はいわゆる「サイバー空間防衛隊」という組織を設立すると発表している。
この部隊は陸海空の各自衛隊が行っているサイバーセキュリティ対策を取りまとめる役割を担うが、実際にいつ発足するかいまだに決まっていない。
もう日本に対する戦争は始まっているかもしれない。
日本政府や防衛機関のネットワークの中に忍び込み、ファイルを完全に破壊してしまう「ロジックボム」と呼ばれるウイルスが攻撃の瞬間を待っている可能性は大いにある。
総務省情報化統括責任者補佐官の三輪信雄は、
「政府機関や一般企業のコンピューターにウイルスが忍び込んでいる可能性は十分ある。ネットの利便性を取る以上、そのリスクは常にある」と言う。
★侵入を防ぐのは不可能★
さらに巧妙化するウイルスの侵入を100%阻止することは専門家も不可能だと考えている。
政府や企業の機密情報を狙ったサイバースパイでは、差出人が同僚や上司を装う場合もある。
ウイルスを使った詐欺や不正操作による経済損出も増える一方だ。
「こうしたサイバー攻撃も国家にとっての脅威となっている」、と情報セキュリティ企業LACの西本逸郎は言う。
「とくに企業への攻撃で、日本の体力を徐々に奪っていく意図も感じられる」
ただこんな質問も出てくる。
サイバー攻撃で各国の中央銀行を一気に破壊してしまえば、世界を制御できるのではないか、と。
例えば中国がその気になれば、アメリカの金融システムを麻痺させたり、システムそのものを破壊することもできるかもしれない。
そこに踏み出さないのは、核保有国が核兵器を使用しないのと同じロジックだろう。
サイバー攻撃も、既に抑止力や外交カードとして効果を発揮し始めている。
サイバー戦争はもはやSF映画の物語でなく、世界の勢力図を変える可能性もある。
だが日本の現状では、サイバー空間で世界と対等に渡り合うことは難しい。
それでも取り返しのつかない被害が出るまで、日本は目覚めないのだろうか。
~山田敏広~
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