オウム事件の裁判 すべて終了へ
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オウム事件の裁判 すべて終了へ

11月21日 10時52分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

オウム真理教の元幹部で地下鉄サリン事件のサリンを製造した遠藤誠一被告の死刑判決が、最高裁判所で確定することになりました。16年にわたったオウム真理教による一連の事件の裁判は、終わることになります。

オウム真理教の幹部だった遠藤誠一被告(51)は、地下鉄サリン事件で使われたサリンを製造したほか、松本サリン事件などにも関わったとして、殺人などの罪に問われました。1審と2審が死刑を言い渡したのに対し、弁護側は「教団の代表だった麻原彰晃、本名・松本智津夫死刑囚の指示に逆らえない心理状態だった」なとと主張して、上告していました。21日の判決で最高裁判所第1小法廷の金築誠志裁判長は「科学の知識を利用して、地下鉄サリン事件ではサリンの製造に主体的に関与し、犯行に欠くことのできない重要な役割を果たした責任は極めて重大だ。今なお深刻な健康被害に苦しんでいる人たちや、遺族の被害感情は極めて厳しい」と指摘して、上告を退け、遠藤被告の死刑が確定することになりました。

オウム真理教の一連の事件では合わせて189人が起訴され、松本智津夫死刑囚など13人に死刑が言い渡されました。遠藤被告の上告が退けられたことで、16年にわたった教団の事件の裁判は、すべて終わることになりました。

地下鉄サリン事件で地下鉄の職員だった夫を亡くした高橋シズヱさんは「裁判はすべて終わりましたが、皮肉にも、反省や謝罪がひと言もない遠藤被告が最後となり、これがオウム裁判だと強く感じました。松本死刑囚は真実を語らない以上、これ以上生きている必要はなく、できればいちばん最初に執行してほしい」と話していました。松本サリン事件で信州大学に通っていた長女を亡くした安元雅子さんは「娘がなぜ死ななければならなかったのか、分からないままに裁判が終わってしまい、無念な思いです。こういう事件は二度と起こってほしくない」と話していました。松本サリン事件で、当時23歳の次男が犠牲になった小林房枝さんは「死刑は当然の判決で、親として見届けたいと思って裁判所に来ました。裁判で真相がすべて明らかになったとはいえないが、しかたがないと思います。ただ、裁判が終わっても、息子が帰ってくるわけではなく、悔しい思いは一生変わりません」と話していました。信者の家族でつくる「オウム真理教家族の会」の代表で、みずからも猛毒のVXガスをかけられた永岡弘行さんは判決のあと、「私たちはこれですべてが終わったとは全然思っていません。純粋な人たちがおかしな宗教にだまされるということはまだまだ続きます。今後も事件のことを語り継いでいきたい」と話していました。

判決について、最高検察庁の岩橋義明公判部長は「きょうの判決でオウム真理教の裁判はすべて終了するが、指名手配中の3人が検挙されていないうえ、団体に対する観察処分も継続中であり、危険性は警戒を要する状態だと認識している」というコメントを出しました。

判決の傍聴に訪れた、オウム真理教から名前を変えた「アレフ」の荒木浩広報主任は「一連の裁判では、麻原彰晃・本名、松本智津夫死刑囚が口を閉ざしたため真相が分からないままになり、残念に思っている。教団は、事件の被害者への補償を今後も続けていきたい」と話していました。

教団から分裂した「ひかりの輪」の上祐史浩代表は「すべての被害者やご遺族に改めておわびを申し上げます。二度と事件を起こさないために、一層反省を深めるとともに、全力で賠償に努めさせていただきたい」というコメントを出しました。