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【社説】

ホークス日本一 「白熱」支えるためには

 日本一決定戦にふさわしい戦いだった。まれにみる激闘を繰り広げたプロ野球の日本シリーズ。さまざまな動きのある球界全体も、こんなふうに熱く盛り上がっていってほしいものだ。

 長いシーズンのフィナーレを飾る日本シリーズは、あらためて野球の面白さを教えてくれるような好試合の連続だった。セの中日ドラゴンズ、パの福岡ソフトバンクホークス。両リーグの王者が一歩も引かずに繰り広げた七試合は、終始緊迫感がみなぎる白熱の戦いだった。日本一の栄冠はホークスに輝くこととなったが、双方のファンはもちろん、すべての野球好きが満足できるシリーズだったことを喜びたい。

 これで、今季のプロ野球はアジアシリーズを残すのみとなった。各球団は来年への準備に入っていく。ファンの心を熱くする戦いを来シーズンも期待したい。

 ただ、オフに入っても球界全体としてはひと息ついているわけにはいかない。まずは横浜球団の売却問題がある。TBSホールディングスから球団を譲り受けた交流サイト運営大手のディー・エヌ・エーが日本野球機構に対して加盟申請をしており、あとは承認へ向けての手続きを待つという段階だ。人気低迷、経営危機などによって始まった激動の時代は、まだまだ続いていくのである。

 また、日本シリーズ直前には巨人球団内の対立が記者会見で表に出るという前代未聞の出来事が起きた。内部のゴタゴタとはいえ、球界の盟主を自任してきた人気球団の不可思議な内紛劇は、新時代の球団経営のあるべき姿など、プロ野球全体にひそむ根深い問題の象徴とみることもできそうだ。これもただ見過ごしているわけにはいかない。

 人気再興へはさまざまな努力が続いており、クライマックスシリーズの実施など、思い切った策も導入されている。ファンサービスも行われるようになった。とはいえ、最も根本的なことにはまだほとんど手がついていない。共存共栄による球界の将来像、方向性の構築である。

 社会の貴重な財産としての繁栄を球界全体でどう実現させていくのか。これにはまさしく根本的、革新的な取り組みが必要となる。個々の球団だけでできることではない。今回のような白熱の激闘を長く支えていくために、どんな土台を築けばいいのか。ゲームセットの後は、球界こぞってそれを考え抜くべき時間なのだ。

 

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