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暖房器具ダブった 無料支給知らずに自費購入 福島

カタログでファンヒーターを注文した浪江町の佐藤さん。「せっかくの支援なのに、ダブってはもったいない」と話す=福島市の仮設住宅

 この冬の暖房器具をめぐり、福島県内の仮設住宅に暮らす住民から不満の声が上がっている。仮設住宅に対して国の負担で暖房器具が無料支給されることになったが、その通知が遅れ、多くの住民が自費で冬支度を整えてしまったからだ。余分のヒーターなどを抱え、「購入費を戻してほしい」という意見も出ている。

 仮設住宅に支給されるのは、ストーブやこたつ布団など5種類。先月7日、災害救助法に基づき国が費用を負担することが決まったが、県から市町村への通知は2週間後の21日までずれ込んだ。
 双葉町から福島市の仮設住宅に避難している無職半谷俊一さん(64)は先月上旬、自費で石油ファンヒーターを購入した。「無料支給と知っていたら、当然買わなかった」とぶぜんとした表情。
 半谷さんには今月に入り、双葉町からファンヒーター1台が送られてきた。「狭い部屋に2台あっても仕方ない。誰かにあげようか」と言う。
 浪江町は8月、カタログから商品を選んでもらい、避難者に提供する独自策を決めた。多くの住民が冬に備えて暖房器具を選んだため、町は「結果的に二重の支援になってしまった」と反省する。
 福島市笹谷の仮設住宅に住む浪江町赤宇木の無職佐藤うた子さん(68)が選んだのは石油ファンヒーター。その後、無料支給を知り、「早く教えてくれれば、ほかの電化製品を選んだのに」と話す。
 浪江町は当初、国負担による暖房器具の支給は想定しておらず、相談に来る住民には自分で準備するよう伝えていた。県からの通知で、慌てて自治会などを通して変更を知らせたという。
 町の担当者は「急な通知で混乱した。情報が行き届かなかった住民には申し訳なかったが、寒さが本格化してきた10月下旬の通知では遅すぎる」と指摘する。
 浪江町は県と国に、住民が自費で購入した分を払い戻すことや、借り上げ住宅にも支給することを要望している。
 これに対して、県災害対策本部は「対象となる暖房器具を何にするか決めるのに時間がかかった」と釈明し、「そもそも10月7日に何の前触れもなく通知してきた」と、一義的な責任は国にあると強調する。
 一方、自費購入分の払い戻しや借り上げ住宅への支給について、厚生労働省は「災害救助法では現金を支給することはできないし、借り上げ住宅を対象にすることも考えていない」とゼロ回答の姿勢を崩していない。


2011年11月20日日曜日


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