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事件
【福島選挙】原発周辺の住民複雑 従来型の「パイプ重視」
2011.11.21 01:36
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約14万人が県内外で避難生活を送る異例の状況で行われた福島県議選。候補者の訴えは、震災と原発事故からの復興策に集中した。しかし、雇用面や財政面で原発に多くを依存してきた原発周辺の地域には“脱原発ムード”に複雑な思いを抱える人も多く、復興の一歩となる選挙は「実績や国・県とのパイプを重視した」従来型になったようだ。
南相馬・飯舘選挙区(定数2)は、南相馬市の一部が「警戒区域」に、飯舘村全域が「計画的避難区域」に指定された。
警戒区域内に自宅があり、支持者の大半が避難生活を送っている無所属新人の高野光二さん(59)は、子供を持つ世帯が安心して避難先から戻れる「子育て世帯専用復興住宅」の建設や原発事故の賠償充実、医療再生などを政策の中心に据えた。ただ、ライバル陣営も似たような訴えを展開。政策の明確な違いは見えにくい選挙戦となったが、午後9時前、当選確実の一報が流れると、「苦しい避難生活を送る地元有権者が押し上げてくれたためだと思う」と声を詰まらせた。
原発推進の立場をとってきた現職候補は、原発との向き合い方に頭を悩ませた。
原発周辺の双葉郡選挙区(定数2)で2議席目を確保した民主現職の坂本栄司さん(56)は、県議会が10月に県内の全原発の廃炉を求める請願を採択した際、採択に加わらず席を立った。「(採択退席は)足を引っ張る要素にはなったが、避難している方々は生活優先で、廃炉への方向性を早く出してほしいとは思っていなかったと思う」と振り返った。
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