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提言型政策仕分け:スタート もんじゅ「抜本見直し」

行政刷新会議の提言型政策仕分けで発言する枝野幸男経済産業相(左)。左から2人目は細野豪志環境相=東京都豊島区で2011年11月20日、久保玲撮影
行政刷新会議の提言型政策仕分けで発言する枝野幸男経済産業相(左)。左から2人目は細野豪志環境相=東京都豊島区で2011年11月20日、久保玲撮影

 政府の行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)は20日、重要政策の必要性を議論する「提言型政策仕分け」を始めた。初日の原子力・エネルギー分野では、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について「存続の是非を含め、従来計画を抜本的に見直すべきだ」と提言。原発周辺の自治体に国が配分している「電源立地地域対策交付金」も、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、安全対策に振り向けやすくする仕組み作りを求めた。

 もんじゅについては、原子力分野の仕分け人7人全員が、「抜本的見直し」と評価。来年夏以降の運転再開を前提に、文部科学省が12年度予算の概算要求に盛り込んだ試運転費用22億円に対し「計画そのものを見直すべきだ」として見送りを提言した。中川正春文科相は仕分け終了後、「見送るのが正しいかなと思っている。現場にどんな影響が出るか精査したい」と述べ、要求取り下げを検討する考えを明らかにした。

 発電所立地対策などのための「エネルギー対策特別会計」をめぐっては、再生可能エネルギー普及や安全対策にかかわる政策、事業が、府省間で重複しているなどの縦割り批判が相次いだ。細野豪志環境相は「(特会から)卒業した方がいい」、枝野幸男経済産業相も「従来の予算配分をゼロベースで見直すべきだ」と指摘。提言は、存廃を含めた抜本的な見直しに踏み出すよう求めた。

 この日は「原子力・エネルギー」のほか、「農業」「外交」も議論。行政刷新会議は提言を予算や政策に反映させることを目指す。ただ、提言に法的拘束力がないため、各閣僚がどこまで提言を尊重するかが課題になる。蓮舫行政刷新担当相は同日の仕分けで、枝野、細野、中川氏ら原子力の関係閣僚による協議の場を設け、提言実現の担保にしたい考えを示した。

 仕分けは東京・池袋の会場で23日まで、社会保障など10分野21項目の政策を対象に実施される。【光田宗義、中島和哉】

 行政刷新会議「提言型政策仕分け」の評価者(仕分け人)は次の通り。

 【衆院議員】仙谷由人▽吉良州司▽階猛▽玉木雄一郎▽辻元清美▽寺田学

 【参院議員】大塚耕平▽亀井亜紀子▽藤本祐司

 【民間有識者】赤井伸郎(大阪大大学院教授)▽秋池玲子(ボストンコンサルティンググループ パートナー&マネージング・ディレクター)▽井伊雅子(一橋大大学院教授)▽石田芳弘(前愛知県犬山市長)▽市川真一(クレディ・スイス証券チーフ・マーケット・ストラテジスト)▽岩瀬大輔(ライフネット生命保険副社長)▽太田康広(慶応大大学院教授)▽鬼木甫(情報経済研究所所長)▽梶川融(太陽ASG監査法人総括代表社員)▽川島博之(東大大学院准教授)▽河野龍太郎(BNPパリバ証券経済調査本部長)▽伊永隆史(首都大学東京教授)▽昆吉則(月刊「農業経営者」編集長)▽佐藤主光(一橋大大学院教授)▽鈴木亘(学習院大教授)▽高橋洋(富士通総研経済研究所主任研究員)▽土居丈朗(慶応大教授)▽十市勉(日本エネルギー経済研究所顧問)▽富田俊基(中央大教授)▽盛田清秀(日大教授)▽山口誠史(国際協力NGOセンター事務局長)▽山田肇(東洋大教授)▽山本美香(ジャーナリスト)▽吉田あつし(筑波大大学院教授)▽渡辺龍也(東京経済大教授)

 【副大臣・政務官】中塚一宏(副内閣相)▽園田康博(内閣府政務官)=敬称略

 【ことば】提言型政策仕分け 

 行政の無駄を洗い出すため、政策や事業の必要性を公開の場で議論する仕組み。主に個別事業の必要性を検討した従来の「事業仕分け」と異なり、政策や制度をどう改革すべきかについて提言することを目指す。与党国会議員、行政刷新担当の政務三役、民間有識者による「仕分け人」が、各府省と議論した上でそれぞれ判定結果を報告し、国会議員の仕分け人が提言を取りまとめる。

毎日新聞 2011年11月20日 21時44分(最終更新 11月21日 0時26分)

 

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