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スポーツ報知>コラム>城田憲子の「フィギュアの世界」

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GPシリーズ評論 NHK杯編

表彰式で2位の小塚崇彦と並んで笑顔を見せる優勝した高橋大輔(右)

 【女子】
  復活を願う浅田真央、ベテランの域に達し自在にスケートが出来るようになった鈴木明子。そこにキーラ・コルピ(フィンランド)、アシュリー・ワグナー(米国)アリーナ・レオノア(ロシア)、エレーネ・ゲテバニシビリ(グルジア)と、ラインアップ。2人の日本人のほかに表彰台を狙えるのは誰か? という戦いになると予想した。

 しっかり、滑り込んでNHK杯に備えてきた感じがする鈴木。氷上に乗るのがうれしいという感じで、曲を楽しくエンジョイしながら演技する、余裕すら見せる。ジャンプを跳ぶ時の勢い、失敗する気がしない。こんな鈴木を見たことがないほどSPの要素には加点が多く、マイナスは一つもなかった。スケーティング・スキルも上がってきている。スピンもすべてレベル4で、スタンディングオーベィションになるほど観客を圧巻し感動させた2分50秒だった。当然、シーズンベストで1位。迫力と余裕を持つ、成長した面を見ることが出来た。長久保コーチも出来に満足らしく、周囲のスタッフにまで握手を求めたほどだ。フリーは最終滑走のせいか少し緊張した感じのスタート。前半の要素は切れの良いジャンプで加点を貰い続けた。後半に来ると急にジャンプの精度が落ちてきて回転不足、間違ったエッジの踏み切りと減点が続いた。SPに比べ、少し攻めの気持ちが低下、守る気持ちが支配してきたように感じ、動きがやや精彩を欠いてきた。しかし、鈴木は最後まで頑張りぬいた。新しい振付師、パスカーレ・カメレンゴ氏とのコラボレーションは鈴木の良さを引き立てている。これからもっと各要素の精度を上げてくることが上位に食い込むカギになるだろう。フリーは惜しくも2位。総合で1位、GPファイナルに参加が決まった。

 やや緊張した面持ちで真央がSPを迎えた。要素の確実性を求めるカテゴリー、現状トリプルアクセルをやるのは賭け事に手を出すのと一緒だ。ここは佐藤信夫コーチの言うことを素直に聞いて従った方が得策だ。選手とコーチ、試合前には攻めたい選手と減点を最小にしたいと思うコーチとの葛藤(かっとう)は、いつの時代も同じだ。ややスピードには欠けるが、3つのジャンプ要素に焦点は集まった。アクセルがすっぽ抜け、1回転扱いのマイナス3。3回転ループでも4人のジャッジから少し減点とジャンプでは確実性に欠けた。しかしスピンは全てレベル4で真央らしい、曲想に合ったポジションで演技した。今一つ、曲想を生かした緩急が必要かとも思った。もともとポジションを氷上で素敵に見せることの出来る浅田、フリーに期待しょう。3位で通過、大きなダメージが無かったことに「ほっと、胸をなでおろす」気持ちがみんなにあっただろうと思う。迎えるフリー。7つのジャンプの要素があるフリーに突入。その日の真央は明るかった。蘇(よみがえ)りつつある彼女からは「ふぁーと、柔らかな自信が見えたような」気がした。トレードマークのトリプルアクセルを回避したのは正解だろう。ジャンプにはまだ不安材料は残る。ルッツの間違ったエッジの踏切の「e」マーク、ジャンプの回転不足は今後の課題だ。佐藤コーチの指導も効果を出してきている。昨年のプログラムだからだろうか、要素が曲の中に溶け込んでいる感じが真央らしいプログラム構成になってよい。トリプル3アクセルなくたって、素晴らしいじゃない真央ちゃん!」この調子でリズムに乗って弾んで、ロシア杯へとGPファイナルへ望みをかけたい。

 レオノワ。モスクワの世界選手権で健闘ぶりを見せ、ベテランの域に達してきている。ニコライ・モロゾフにコーチを変更。戦略好きの彼のこと。ソチに向けて、どう育て、今季、どのようにしてトップへ押し上げるかが見ものだ。SPは3回転トーループ+3回転トーループのジャンプコンビネーションを成功させ、3回転フリップ、スピンコンビネーションに少々のミスがあったものの、何とかまとめて2位と好発進した。今、出来る事での最大遂行はニコライのいつもの策だ。フリーは3回転ルッツのダウングレード以外は目立った減点はなかった。しかし無難にまとめ、印象が少ない感じは否めなかった。4位で総合3位と、ファイナル進出も夢でない形になった。ロシア杯では経験を生かした演技が出来るかが勝敗の分かれ道となるだろう。

 【男子】
  バンクーバー五輪銅メダルの高橋大輔、世界選手権銀メダリストの小塚崇彦たちに挑む選手という形でトマシュ・ベルネル(チェコ)、欧州選手権のメダルリスト常連のサミュエル・コンテスティ(イタリア)、4回転ルッツを持つブランドン・ムロズ(米国)。日本勢ワンツー・フィニュシュは当然と見られるなか、若手を交えたバラエティのある戦いになることになりそうだ。

 「イン・ザ・ガーデン・オブ・ソウル」の曲に乗って演じる大輔は安定した感じと受けとれた。なるほど、長光コーチが言っていたように「ゾクッ」と感じ、のめり込んでいく~官能を呼び起こしてくれる…。コーチにそう言われる選手も珍しい。アリーナ全体をその渦の中に巻き込んでゆく、プログラム。さすが「デビッド・ウィルソン作」というところが、ふんだんに織り込まれていて、大輔を一層うまくさせている。序盤の3回転フリップ+3回転トーループのコンビネーションのテイクオフとランディングのスピード。回転の速さ、曲との調和。上質なスケート、アウトエッジとインエッジの巧みな乗り分け。スピードの緩急ある使い分けスピン。ジャンプ、ステップ、トランディションと曲に流れ組んでいてパンチが効いて、加点要素は全てに現れるほどの上手。他の選手とは格が違う素晴らしい演技で、2位に10点余り引き離し1位と好スタートでSPを終えた。

 フリーでも得意分野を披露。大輔の音感能力は卓越したものがある。ブルースを体のうねりに調和させ、大輔独特の振りに変身。4回転ジャンプはまだ本調子ではないものの、世界に通じる、トップのスケーターだ。曲がなり始めると引き込まれていく感じがたまらない。彼のファンは層が厚い、人生経験豊かな人に感銘を与えることのできる数少ない選手だ。ボルトを取って身軽になったとはいえ、まだ本調子には時間が必要だと感じたが、NHK杯は彼にとって縁起の良い大会だ。6分間のアップ時、彼は人生初めて4回転フリップに成功した。自信も少しずつついてくるだろう。本番はなかなか思うようにいかず、少し力み過ぎたようだ。気持ちが先に出てしまってジャンプの回転不足が幾つか出てしまった。しかし、曲のリズム、ビート、曲想に合わせてジャンプを跳ぶ音楽的センス、これは持って生まれたものだろう。そこに、ステップの訓練、ジャンプの訓練とロシアの著名なコーチに手習いを受けた高校時代。今シーズンもフランスのダンスのコーチにスケーティングの向上のため練習に行っている。いつも謙虚にスケートを磨く気持ちは、初心者と一緒の思いだ。これが今の彼を作った要因だろう。長光コーチも、ある時はコーチ、ある時は母のように、彼と共に掛け値なしで付き合ってきた。これが大輔の今の魅力につながったのだと思う。さわやか風のブルースになったと本人は言ったが、大輔の良さは十分出ていたように思う。膝のケガからの復帰。今シーズン、新しいリズムへの挑戦、ソチへ向けて一歩一歩、高橋独自のパフォーマンスに向けて歩んでいる事は、観客を魅了し引き付ける力は世界でも数が少ないといえる大人の選手だ。完全ではなかったが、前進していることは確かな収穫。今現在、スケーターでは誰もかなわないと言われている2011年世界王者、パトリック・チャン(カナダ)と互角で戦えられるのは、大輔しかいないだろう。シーズンベストで優勝してNHK杯を終え、GPファイナルへと駒を進めた。

 小塚の今年は表現力の勉強と幅を広げるための努力と学習を始めた。少しずつだが、彼の目的に前進が見られるようになってきたNHK杯だった。スケートのうまさには定評があるが、それをどのように使って、氷上で効果的に演じ切ることが出来るかが彼の今年の目的と聞いている。試合になると、つい元の感じが出てきてしまうのは、もう少し時間と経験が必要のかとも思う。3回転フリップの減点を除いてはマイナスはなし。曲想の思いが姿に現れたら、5コンポーネントも上がってくるだろう。要素の確実性を求めるSPでも、もう少しの感情の現れる形は必要だろう。うまさのあるスケートを評価され2位で発進した。フリーは、冒頭の4回転トーループで回転不足を取られた。3連続のジャンプコンビネーションでも減点、ジャンプ以外では技術評価点はプラスの傾向多し。だが、やはり感情と曲想とのリレーションシップがまだ熟達していない。アートなスポーツとしての確立が彼には必要かと思われる。上達したスケーティング、足さばき、と難易度の高いステップ。これが曲の中でよどみなく出てきた時、彼はトップ中のトップとして君臨するだろう。まだまだその修業は道が長い気がする。しかし、今の小塚の良さは充分だし、2位と健闘。総合2位でGPファイナルは残る2つの大会の結果待ちということになった。

 マイナーは、ジュニアGPファイナルで3位に入賞したこともある若さのあるスケーターだ。繊細な感じを受けるが、ほぼ無難にまとめて、印象は薄いが6位でSPを終える。フリーは3位以下がバラエティに富んだ順位で、4回転なしの3回転+3回転で勝負し4位、総合3位で銅メダルが飛び込んできた。実力イコールの形ではなく、大輔、小塚以外は実力が出し切れなかった選手たちが多かったように思った。

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(2011年11月17日00時51分  スポーツ報知)

著者略歴 城田 憲子(しろた・のりこ)

 1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。

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