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『茶のしずく』問題座談会(前)~悠香は早く「謝罪と自主回収のCM告知」を!

2011年10月21日 16:14

 化粧品通販の(株)悠香(本社:福岡県大野城市、中山慶一郎社長)が販売するお茶石鹸『茶のしずく』を使用して、アレルギー症状の患者が続出。全国各地で被害弁護団が結成され、集団訴訟に発展する様相を呈している。集団訴訟より一足早く、仙台の被害者は8月30日付で損害賠償訴訟を仙台地裁に提訴した。『茶のしずく』問題はなぜ起こったのか、悠香の対応は問題なかったのか――徹底検証する。


出席者(五十音順)
『茶のしずく』石鹸被害救済東京弁護団 団長 神山 美智子 氏
(独)国民生活センター 商品テスト部 管理課長 河岡  優子 氏
国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター 福冨  友馬 氏
聞き手 データ・マックス ヘルスケア事業部 山本  剛資


<自主回収の先延ばしで被害拡大>
 ――元宝塚女優のテレビCMで一躍有名になった『茶のしずく』石鹸で、アナフィラキシーを発症するという重大な健康被害が各地で起こっています。製造元である悠香は、今年5月になって、ようやく自主回収を告知する広告を全国紙に3回出していますが、今に至るまでに正式な謝罪は行なっておりません。この座談会では、この事件の経緯を振り返るとともに、今後こうした問題が起こらないように、消費者の健康被害を防ぐ意味からも、企業対応の問題点や行政の対応などに焦点を当てて、考えていきたいと思っております。それでは自己紹介を兼ねて、この問題に関わった経緯をお聞かせ下さい。まずは神山弁護士からお願いします。


神山 美智子 氏 神山 「『茶のしずく』石鹸被害救済東京弁護団」の弁護団長をやっています神山です。私は製造物責任法がつくられる以前から、製造物責任法を制定するよう主張し、弁護士活動を行なってきました。その後、食品の安全問題について活動を行なってきまして、今でも日弁連と東京弁護士会の「食の安全部会」に所属しています。

 悠香の問題に関わったのは、国民生活センターの方から「こういう問題が起きている」と、経緯を教えて頂くとともに、弁護士会として、どういう対応をとるのか、というお問合せを頂いたことがきっかけでした。さっそくこの問題を弁護士会の消費者委員会に諮り、検討した結果、被害救済のための弁護団をつくろうということになったのです。その後、全国各地でも弁護団が発足しました。また、電話による被害者110番も立ち上げ、各地で被害者相談会も開いております。


河岡  優子 氏 河岡 国民生活センターの河岡です。私は、テスト部の管理課に所属しています。管理課とは、その名の通り管理部門なのですが、その他に危害情報を扱っております。商品による品質上のトラブルや、虚偽誇大表示に関する相談業務にも対応しています。消費生活センターなどから寄せられる相談を受けるなど、原因を究明してほしいといった依頼を受けて、商品テストを行なっています。

 今年から事業仕分けの影響から組織改編を迫られていまして、テストを行なわなくても危害情報を発表する部署として管理課が設けられました。では、テストをしないで何をしているのか、というと、通称PIO-NET(パイオネット)と呼ばれる全国消費生活情報ネットワーク・システムがありまして、全国800から900カ所の消費生活センターの窓口から、毎日のように相談や苦情など生々しいデータが送られてきます。それらの情報から品質上の問題、危害情報などを分析しております。

 今回も『茶のしずく』石鹸による危害情報は、ある時期を境に急激に増え始めました。国民生活センターとしては、どんなトラブルが起きているのかを国民の皆様に情報提供する責任と義務がありますので、今後も情報収集とともに情報を発信していきたいと考えています。


福冨  友馬 氏 福冨 私はアレルギーを専門とする医師で、とくに食物アレルギーを専門に外来で患者さんを診ています。相模原病院は、アレルギー疾患の三次医療施設のようなところですから、治療や診断の難しい患者さんが多く来院される傾向にあります。『茶のしずく』石鹸による患者さんを初めて診たのは2008年の暮頃だったと記憶しております。一般に大人の方で、小麦を食べていて小麦アレルギーを発症する方は少なくありません。この普通の小麦アレルギーの患者さんの多くは、食べて運動すると蕁麻疹(じんましん)が出て、ひどい時はショックで倒れるという特徴的な症状になります。

 しかし、08年の暮れに、目がひどく腫れる小麦アレルギーの患者さんが来院しました。これまでに診たことのない症状でしたので、おかしいなと思って、詳しく調べていくと普段使っている石鹸のなかに小麦成分が入っていて、もしかするとこれが原因かもしれないと感じたのです。その時は、まだ半信半疑だったのですが、その後、同じような症状を持つ患者さんが連続して来院しましたので、やはり間違いないと確信しました。

 その頃は、テレビ宣伝で『茶のしずく』を見る機会も多く、売れ始めていた頃でしたので、放置しておけば数千人単位で被害者が出るなと思い、何とか対応しなければならないと、危機感を強くしていました。

 ところが原因究明のために、メーカーに問い合わせても当初は加水分解コムギ末を提供してくれませんでした。いろんな行政機関に連絡して事情を話し、やっと県の薬務課の仲介でその成分を入手することができました。10年の3月のことです。その時には、石鹸が原因であると臨床的には確信を持っており、症例について学会発表も行なっていました。しかし、それが100%間違いないという根拠となるデータがまだありませんでした。そして成分と症状との因果関係を裏付けた論文をまとめ、発表したのがその半年後の11月です。

 ちょうど同じ時期の10年10月15日に、厚生労働省が1回目の注意情報を出しましたので、その時は正直言って、これで私の仕事は終わったと思いました。これで商品を回収する、もしくは石鹸使用者に分かりやすく情報提供するなど、メーカー側はきちんと対応してくれるだろうと思っていたのです。ところが、実際には、その後も石鹸使用者に適切な情報提供をせず石鹸を販売し続けて、実際に該当患者さんもアレルギーの原因となっている石鹸を使用し続け、さらには新規に発症する患者さんもいらっしゃって、今年5月20日の自主回収まで被害を拡大してしまったのです。日本アレルギー学会でもこの問題を重く見て、「化粧品中のタンパク加水分解物の安全性に関する特別委員会」(委員長 藤田保健衛生大学皮膚科 松永佳世子教授)を立ち上げ、医学的な観点からの究明を進めています。

<厚労省の責任は?>
 ――多くのアレルギー専門医の警告や厚労省の通知にもかかわらず、自主回収までにかなり時間がかかり、それが結果的に被害を拡大させてしまったわけですね。ここで、『茶のしずく』事件を巡る行政、業者、さらには消費者の責任についても考えていきたいと思います。
 ところで『茶のしずく』は、医薬部外品として製造承認されています。その医薬部外品で健康被害が起きたことについては、本来であれば厚労省にコメントを聞きたいところですが、皆さん方はどのようにお感じになりますか。

 河岡 たしかに『茶のしずく』は医薬部外品ですが、承認については、国民生活センターはいっさい関与していませんので、何とも言えません。ただし、許認可された商品といえども、健康被害が発生し、相談件数が多ければ、国民生活センターとしては、情報を提供する姿勢には変わりありません。

 福冨 詳しいところは把握しておりませんが、加水分解コムギ末は、添加物として認可されていた成分で、当初は健康被害が報告されていなかった成分ですので、承認されたこと自体はあの時点では問題ではないと思います。

 ――神山弁護士にお聞きしますが、医薬部外品として認可された商品が原因で健康被害が起きてしまったことに、厚労省側には責任がないのでしょうか。また、メーカー側の製造責任はいかがでしょうか。

 神山 医薬部外品として承認した厚労省の責任については、現在検討中です。医薬品として製造承認されたもので、副作用による健康被害が起きている例があります。ただし、医薬品で重篤な副作用が発生した場合は、被害救済制度があります。医薬部外品でも重篤な健康被害が判明した段階で、緊急情報を出すなり、迅速な対応がとれたはずなのに、メーカー側の自主回収に任せていたというのは問題だと思います。一方、悠香の責任については、製造物責任法があって過失が問われませんので、通常の使用方法で安全性を欠くことが証明されれば、メーカーと販売者は製造物責任法に基づく責任が問われることは間違いないと思います。

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