野田首相とオーストラリアのギラード首相が19日、インドネシア・バリ島のヌサドゥアで会談し、東日本大震災で事実上中断していた日豪経済連携協定(EPA)交渉を来月、再開することで合意した。
豪州は、日本が交渉参加を表明した環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を進める9カ国の一つ。日本とのEPA交渉で豪州は、牛肉や乳製品など農産品の関税撤廃を求め、日本国内から反発が起きていた。こうした構図はTPPと同じで、日豪EPAは「TPPに臨む前哨戦」(経済産業省幹部)となりそうだ。
日豪EPA交渉は2007年4月に始まり、今年2月まで12回の会合を開いた。ただ、東日本大震災後、日本側が復旧・復興や原発事故への対応を優先するため、4月に予定していた会合の延期を要請。事実上中断していた。
一方、「経済連携の推進」を掲げる野田政権は、発足当初から繰り返し豪州に交渉再開を求めてきた。仮にTPP交渉がうまく進まなかった場合も、日豪間の貿易自由化の恩恵を確保するねらいもある。(ヌサドゥア=福田直之)