※この作品はキャラクタの世界観を借りたフィクションです、実際のメルクリウス、カール・クラフト、アレッサンドロ・カリオストロ、パラケルススなどの人物とは一切関係がありません。
うん、気付いたらなんか真っ白な空間にいて、どういうわけか身体が半分透けてるような浮いてるような。
ああ~、これってもしかしなくても死んじゃった系? SSとかでよく見るけどホントあるんだね。
まあ、全く身に覚えがないわけでもないので軽く状況を思い出すと………
普通の家に生まれて、普通に高校に通ってて、それなりに学園生活をエンジョイしてた。
悪友がいて、それなりに馬鹿なこともやって、バイクに乗って走り回るくらいは普通にやった。
だけどそれが、どうして仇になったのか。
血まみれの俺、死にかける感がバリバリ出てる。
もうほとんど覚えてないけど、多分痛かっただろう、ひょっとしたら麻痺してて全く痛くないかもしれないけど。
しっかし、ほんとにトラックに撥ねられてバイバイとかあるんだね、二次元の中だけの話だと思ってたよ。
つか、テンプレ過ぎてこんなん逆に予想できるかっての、予想できたら神だよそいつ。
『ああ、ならば私は神ということになるな、なかなか理解が早いようで助かる』
ふと気づけば目の前になんかいたし。
別に神々しくはないけど、何かただものじゃないっぽさが滲み出てる、というより顔とかぼやけててよくわかんねえ。
「えっと、あんたが神?」
『さて、どうだか、君の実にありきたりで価値のない最期を予知できたのなら、それは神であると定めたのは君だ。ならば、理解が早いようで実はそれほどでもなかった君が認識している私は神なのではないかね?』
「オッケー、喧嘩売ってんだな、安く買うぜ」
『売った覚えはないが、そんなことよりも、私に聞くことがあるのではないかな? まあ、話が進まんようならば、とりあえず言っておこうか、私が神だ。これで満足かね? 神の視点から当たり前に見下しているのだから、君を侮辱しているわけでも、喧嘩を売っているのでもない、とりあえず、君の頭に合わせて説明すればこうなる』
「うっわー、信じられねえ、つーか殺してえ」
『これはまた随分な言葉だ』
いや、普通の反応だろこれ? いきなり馬鹿にされた挙句原始人扱いされてるし。
つか、絶対嗤ってるだろこいつ、輪郭ぼやけてて訳わかんねえけど、それだけは分かる。
ん? って、なんか、目が霞む?
『まぁ初対面で神と名乗る者が目の前にいたらそんな反応もまた自然というべきか、君はありきたりの普通の人間なのだから、だがそれはどうでもよい。さて、死ぬ前に何か私に願う事とかはあるかね、一応ここは“輪廻転生”の特異点であり、私はそれが仕事となる。もっとも、それを真に理とする女神はただ一人で、私はその人に恋焦がれ、憧れ、こうして真似事遊びに興じる三流の神に過ぎんが』
だから、さっぱりわけわからんし……つうか、マジやべえ………
とにかく、次の人生とか、転生とか、特典とか、そういうノリなんだろ。
だったら~
「俺を完璧超人にしてみせやがれ」
『あいにくと猿の言語には疎くてね、三流の神である私にも分かるように言ってくれたまえ』
「やっぱ死ね」
『要するにだ、何か具体例でも出したまえということだ。願いというものは形にならねば叶えることは出来ない、願いのない人間の願いを叶えることは、全知全能の神とて不可能な業、まして私は、白痴にして三流の神ときている』
神様だろ、そんぐらい汲み取れっての。
「あーー、無限の剣製とか、ハガレンの錬金術とか、あ、ホムンクルスの親玉が使ってた自称神の力の方な、それと、あれだ、月島さんの能力」
『ほう、面白いな、前者二つはまあよくあるし、似た事例を挙げればきりがないが、最後の一つを選ぶ君は珍しい』
「あと、何よりも、赤ん坊からやり直しとか論外、家族ごっこなんてうぜえし、異人その1でいいよ、適当に放り出してくれ」
『なるほど、その能力があれば、赤ん坊に生まれ、家族という枷などなくとも、実に自然に生を謳歌することは確かに可能だ。それについては構わないが、転生する世界だけは君の願い通りにはできない、諦めたまえ』
てか、叶えられるのかよ。三流の癖にやるなこいつ、腐っても神ってやつか。
まあ、転生する世界は選べないようだけど。
『それでは行って来るといい。神らしく最後の温情として転生場所は君も多少は知識を持っている「とある魔術」の世界にしておこう。そこで二度目の人生を歩むがいい』
ん、なんか光った? あ、意識が…………
そうして俺は、違う世界に降り立った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「はあ、相変わらず頭がおめでたいな、お前は」
「うっせえ、ての」
紆余曲折を経るまでもなく、俺はこんな感じだ。
この世界では主人公であるはずのこの男、上条当麻(かみじょう とうま)と俺は初対面ではあるが、今はもう数年来の友人ということになっている。
この世界はどうやら超能力の開発が進んでいるらしいが、俺の三つの能力は一応はそこに含まれることになるのだろうか。
普通の家庭に生まれたわけではないが、この学園都市とやらを管理している連中に対して月島さんの能力を使えば、至極簡単に衣食住は確保できた。
それにしてもこの街の規模は相当なものだ、人口230万人近くいるとか。科学技術にかんしたら、俺の元の世界など遥か後ろに置き去っている。
「もう少しお前は自分の異常さってもんを自覚しろよ、この前もレベル5の人間レールガンに喧嘩うったらしいじゃないか」
「あれは売ったんじゃなくて売られただけだ、しかも逃げても無理やり売りつけていく極悪商法だよ」
そんな科学もまた、一つの側面に過ぎず、魔術という科学だけでは図りきれないものが、こいつの前にはある。
だがまあ、安心しろ、お前の幻想殺しってのも欠陥が多い能力だし、汎用性にかけちゃ俺が圧倒的に上だ。
何しろ、無限の剣製のどれかが当たれば、月島さんの能力が発動することになる。それに、ハガレンのホムンクルスの親玉の能力もあるから、大抵の状況は切り抜けられる。
ま、いざとなれば掌の上に擬似太陽を作って吹っ飛ばせばいいだけで。
「だから馬鹿なんだよお前、それを利用してものにしちまえばいいんだよ」
「はあ、まったく、エロ大王が」
そんなことよりも、本来こいつと関わるはずの美少女軍団が俺の前に待っている。
例のレールガンもなかなかいいが、まずは何といっても歩く図書館の少女だろう。本来こいつがキャハハ、ウフフやるところに割り込めば、そのままハーレムが降りてくるという素晴らしさ。
ああ、この点だけはあの三流の神に感謝しよう、実にむかつく野郎だったが、なんだかんだでいいことしてくれたぜ!
「さってと、こんなところに女はいねえし、ゲーセンでも行こうぜ」
つっても、俺はとある魔術のはあらすじとさわりくらいしか知らねえから、介入のタイミングが分からん。
だからとりあえずは、レベル3程度の一般学生としてこいつの傍にいればいいだろう、そのうちハーレムは向こうからやってくる。
「おい、いきなり走り出すな」
何だかんだいいつつも、『昔馴染の親友』を追ってくる当麻。
ほんと、便利な能力で。
「知ってんだろ、俺は無能力だって」
ああ、そうそう、その右手な。
こうして普通に触れるだけだと、ただの腕だ。
幻想殺しって大層な名前がついてるし、無限の剣製とかも一発で消せるだろうけど、右手だけだから、やろうと思えば簡単に……
「何突っ立って、早く行こうぜ………って、あれ?」
………あれ?
「んん………………………………………………………………………………………………俺、何やってんだ?」
俺の身体は………どこだ?
「誰かを待って………いや、追ってたか? んん~~~」
なんだ、どういうことだよ?
「ま、いっか、白昼夢か、幻でも見たんだろ」
こいつの能力は幻想殺しだろ?
「早く帰って、飯でも食うか、またあいつに絡まれないうちに」
触れた人間を消し飛ばすなんて、『初めからいなかったことにする』なんて、そんな能力知らねえよ。
いったい、どうなってんだよチクショー!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ああ~、これってもしかしなくても死んじゃった系? SSとかでよく見るけどホントあるんだね。
まあ、全く身に覚えがないわけでもないので軽く状況を思い出すと………
普通の家に生まれて、普通に高校に通ってて、それなりに学園生活をエンジョイしてた、そんなはずだ。
ただ、学校はちょいと普通じゃなかったが、通ってる俺たちにすれば普通で、むしろダチがちょっと変わってた。
そんな悪友が、なんで仇になるのか。
確か、悪友の変な能力の犠牲になって、何かに巻き込まれて、俺があっけなく死んだ。
もうほとんど覚えてないけど、多分痛かっただろう、ひょっとしたら麻痺してて全く痛くないかもしれないけど。
しっかし、ほんとに変な能力に巻き込まれてオサラバとかあるんだね、二次元の中だけの話だと思ってたよ。
つか、ある意味でテンプレ過ぎてこんなん逆に予想できるかっての、予想できたら神だよそいつ。
『ああ、ならば私は神ということになるな、なかなか理解が早いようで助かる』
そしたら何か、テンプレみたいのが現れた。
「えっと、あんたが神?」
『さて、どうだか、君の“実にありきたりで価値のない最期”を予知(既知)できたのなら、それは神であると定めたのは君だ。ならば、理解が早いようで実はそれほどでもなかった君が認識している私は神なのではないかね?』
「オッケー、喧嘩売ってんだな、安く買うぜ」
『売った覚えはないが、そんなことよりも、私に聞くことがあるのではないかな? まあ、話が進まんようならば、とりあえず言っておこうか、“私が神だ”。これで満足かね? 神の視点から当たり前に見下しているのだから、君を侮辱しているわけでも、喧嘩を売っているのでもない、とりあえず、君の頭に合わせて説明すればこうなる』
「うっわー、信じられねえ、つーか殺してえ」
『これはまた随分な言葉だ』
いや、普通の反応だろこれ………普通かな?
うーん、うん、普通だ、普通に違いない。
仮に俺が何回もこいつに会ったとして、同じような感想を持つはずだ。
だから、俺は普通で、おかしいところなんて何もない。
『まぁ初対面で神と名乗る者が目の前にいたらそんな反応もまた自然というべきか、“君はありきたりの普通の人間”なのだからね、だがそれがどうでもよい。さて、死ぬ前に何か私に願う事とかはあるかね、一応ここは“輪廻転生”の特異点であり、私はそれが仕事となる。もっとも、それを真に理とする女神はただ一人で、私はその人に恋焦がれ、憧れ、こうして真似事遊びに興じる三流の神に過ぎんがね』
「俺を完璧超人にしてみせやがれ」
『あいにくと猿の言語には疎くてね、三流の神である私にも分かるように言ってくれたまえ』
「やっぱ死ね」
『要するにだ、何か具体例でも出したまえということだ。願いというものは形にならねば叶えることは出来ない、願いのない人間の願いを叶えることは、全知全能の神とて不可能な業、まして私は、白痴にして三流の神ときている』
神様だろ、そんぐらい汲み取れっての。
「あーー、王の財宝とか、大魔王バーンとか、あ、老人じゃなくて若い身体と融合した方な、それと、あれだ、上条当麻の幻想殺し」
『ほう、面白いな、前者二つは“まあよくある”し、“似た事例を挙げればきりがない”が、“最後の一つを選ぶ君”は珍しい』
「あと、何よりも、赤ん坊からやり直しとか論外、家族ごっこなんてうぜえし、異人その1でいいよ、王の財宝があれば、戸籍とかもどうとでもなるだろ」
『なるほど、確かに莫大な財貨があれば、赤ん坊に生まれ、家族という枷などなくとも、実に自然に生を謳歌することは確かに可能だ。それについては構わないが、転生する世界だけは君の願い通りにはできない、諦めたまえ』
てか、叶えられるのかよ。三流の癖にやるなこいつ、腐っても神ってやつか。
まあ、転生する世界は選べないようだけど。
『それでは行って来るといい。神らしく最後の温情として転生場所は君も多少は知識を持っている「ゼロの使い魔」の世界にしておこう。そこで二度目(116892回目)の人生を歩むがいい』
ん、なんか光った? あ、意識が…………
そうして俺は、違う世界に降り立った。
『無価値な君が終わったのと同じ、無価値な人生を歩むといい、永劫に、君はここから始まり、ここに帰ってくるのだから。ここは泡沫の箱庭、塵芥はいつまでも塵芥のままだ』
白痴の神は、ただ嗤う。
『所詮、魔人錬成など、泡沫に耐えられぬ私のような弱者の業。幻想にしがみつくのは、現実の厳しさから逃げ、神の温情に縋るしか能がないがゆえに、そんな君が“幻想殺し”か、くくく、ふふふふふ、ははははははははははははははははははははは!!!!!!』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ああ~、これってもしかしなくても死んじゃった系? SSとかでよく見るけどホントあるんだね。
まあ、全く身に覚えがないわけでもないので軽く状況を思い出すと………
あれ、何も思い出せねえ、一体何してたんだ俺?
んん、んんん~、ダメだ、考えても考えてもさっぱりわけんねえ。
こんなの分かったら、そんなの神様しかいねえだろ
『ああ、ならば私は神ということになるな、なかなか理解が早いようで助かる』
ふと気づけば目の前になんかいたし。
別に神々しくはないけど、何かただものじゃないっぽさが滲み出てる、というより顔とかぼやけててよくわかんねえ。
つか、この流れでなんでこいつが神になるんだ?
『今回は流石の私にとっても既知ではあるが“初めて”となるケースだ。まあ、この遊戯自体がほんの気まぐれに過ぎぬゆえに、回帰の数もさしたるものではないが、まあともかく、君が途方もなく愚かであるゆえに、右手で自分を触り、生まれた瞬間に自殺したようなものだよ』
「オッケー、喧嘩売ってんだな、安く買うぜ」
『売った覚えはないが、そんなことよりも、私に聞くことがあるのではないかな? まあ、話が進まんようならば、とりあえず言っておこうか』
永劫に続く無価値の円環で、言葉が響く
『私 が 神だ』
“幻想に逃げた愚者 が 法則だ”
あとがき
頭に沸いただけのありきたりのネタです
主人公には名前はありません。永遠に。
なお、転生と嘯いてますが、既知の円環の中での屑かごのようなものです。
あまりにも暇なので、屑かごに沸いた蛆を眺めている、くらいの感覚で、虫かごですらありません。