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[30133] 【習作】決闘者の現実【TF6オリ主】※小ネタ
Name: 秋麦◆3467c449 ID:3d5fa085
Date: 2011/10/19 11:12
※小ネタです。一応TF6がわからない人のための解説をいれております。


~とりあえずここは~

「さぁデュエルだぁ!」
「デュエルしましょう!」

 そんな声がありとあらゆる光景だった。
 俺はいつも通り学校へ登校していた……はずだ。
 だが近道をしようと裏路地を抜けて見たらこの有様。
 みんながみんな腕に馬鹿でっかい機械を着けて「デュゥエルだぁ!」と吼えている。
 いや、腕に着いてる物はわかる。覚えている。
 あれはデュエルディスク。TCG『遊戯王』を行うための装置という架空の品物。
 ……のはずだ。なのに何故か大人から子供までソレを装備し文字通り『決闘』している。
 
「おいおい、君だめじゃないか」

 呆けていた自分に話しかけてきたのはヘルメットを被った厳つい男性。
 というか警察……かな。警察の見た目はこんなんじゃなかった気がするんだけど。
 一体どうしてこんな人が俺に警察が話しかけているのか。
















 ……いや、現実逃避はやめよう。
 この人セキュリティだよ!
 というかここ旧サテライトだよ! 画面越しに見たよ!
 となるとアレか。ここは遊戯王5D'sの世界なのか!?
 勝手に苦悩する俺に(おそらく)セキュリティの人が問いかける。

「おい、君。どうしてデュエルディスクを持ってないんだ?」

 あぁ、そういうことか。ですよね、みんな着けてるしデュエル万歳な世界ですもんね!
 でもないよ、持ってるわけ無いじゃない。
 セキュリティは怪訝な顔をして俺の持つシュルダーバックに眼をつけ、手を伸ばす。
 
「バックを調べさせてもらうよ」

 なんというかあまりに状況に着いていけていない呆然とした俺の鞄をサラッと奪って、鞄を調べるセキュリティさん。
 すると。

「おいおい、ちゃんとあるじゃないか。装着義務があるんだから装着しなさい」

 ……明らかにドラ○もんよろしくバックより大きな物体がニョキッと出てきました。
 うん、それは見事なデュエルディスクさんだ。よくわからんがデッキホルダーにデッキも入っている。
 怒った顔のセキュリティに俺は平謝りしつつ、

「す、すみません。この辺は来たばっかりで」
「旧サテライトまで? ここまでどうやって来たんだい」
「それが……不明でして」
「不明!?」
「い、いえなんでもないです!」

 ここで捕まってなんぞ居られるか。理由はわからんけどとりあえずは憧れのファンタジー(?)だ。
 俺だって一応は遊戯王をこよなく愛する男。
 とりあえず、つけ方がわからないとどうしようもなかったが、裏面にしっかり記載されていた。
 さすが大人から子供まで使える超仕様。付けるまではあまりに単純だ。

「よし、これで問題ないな。次はこういうことのないように」
「は、はい……」
「ところで」
「は、はい!?」

 セキュリティさんは俺の身元も聞いてないのに勝手に安心し、ふぅと息を吐くと。

「デュエル……しないかい」

 奥さん、これがデュエル脳です。
 
「えっと。いいですけど……なんで?」
「君は何か急いでいるんだろう? だが私は職務として君の身元を調べなきゃいけない」
「ですよね。お仕事ですし」
「だからデュエルで決めようじゃないか」

 怖いわーデュエル脳超怖いわー。
 職務<デュエルってどういうことだ。
 あれか、デュエルで勝ち続ければ神にだって……なってるな。
 とりあえず一つわかったことがある。
 周りの状況とか色々を踏まえて1つ。

 ここ5D'sじゃなくてTFだ。

 そうじゃなきゃここまでデュエルデュエル言ってない……はずだ。
 TF、それも6だろう。それなら俺もプレイしている。
 ファイナルチェッカーフラグ? 出してるわけ無いじゃないですか。
 ならばと、セキュリティさんに待ってもらいデュエルディスクを調べる。
 そこに入っていたのは自分がTF6で最後に使用していたデッキだ。 
 おぉ、これならば戦える。
 罠などの使い方も曖昧なままセキュリティさんとのデュエルは始まった。





「君は強いね。さぁ行って良いよ」

 職務怠慢ではなかろうか。
 罠の発動や魔法の使い方を間違ったりしたが相手のデッキレベルが1くらいだったのか容易に勝てた。
 そしてデュエルディスクを見ると、

『892DP』

 とポイントが書かれている。これがゲーム内での通貨だ。
 これでパックを買ったり、アイテムを得たりするんだが……。
 とりあえず周囲を見渡すとセキュリティさんを除けば三名。
 だが、今の俺にはもっとすべきことがある。


 

※DP……デュエルポイント。要はお金。カードやアイテムを買える。
※ファイナルチェッカーフラグ……これが出たらとりあえずTF6はクリア、と言えるような基準的なもの。



~無論そうですよね~


「誰だ貴様は! とっとと失せろ!」

 うん、DPから想像はついてた。
 便利な移動システムもDホイールもあるわけもなく、全て徒歩で向かい恐ろしく疲弊しポッポタイムに到着。
 しかし好感度も0からになっていたらしくジャックさんに話しかけたところ罵倒と共に弾かれた。
 というか自分はTF6の主人公、通称コナミ君ですらないようだ。
 そうじゃなきゃコナミ君は5D'sの一員だしね。
 となると俺はしがない一般人というわけだ。
 通常ならアニメキャラを攻略して攻略後にはレアカードをGETという流れなのだけど……。
 とりあえずアニメキャラへのコネがない。
 更に言うならコミュ力もない。
 人相? 普通。
 ……コナミ君みたいに帽子でも被ろうかしら。
 いや、これはアレか。俺も染まってみるべきか。
 
 デュエル脳に。
 
 会話が出来ぬのならデュエルだぁ、なんて言い放ってジャックさんに特攻を駆けてみようかしら。
 正直今の俺にはソレしかない気がする。
 というかDPがほしい、純粋に。
 パックもほしいし、オールリセットだとすれば店でポイントを使うことに意義があるのだ。
 だとすれば俺にできることは一つ……。

「俺とデュエルしろぉぉぉぉぉぉぉ!」

 遊星さんボイスイメージでお願いします。
 その声は響いた。きっとポッポタイム以外にも広範囲に広がったことだろう。
 すると、周囲がざわめいた気がした。
 
 ザッザッザッ……

 地面を響かせる足音。
 その数は想像できない。
 自分の声に反応した『者共』がワラワラと、ワラワラと歩いてくる。
 TF6をやっているから見たことがある面々もいる。
 だけど、これは……ないんじゃないかな?
 今からリンチしますと言われても問題なさそうな勢いでポッポタイムの前に人だかり。
 中心には俺。わぁ、大人気。
 中には明らかにセキュリティさんとゴーストが混じってたりする。
 お仕事してください。お願いします。

「えっと……その……ね? 一人ずつ……」

「「「「「「「「「「デュエル!」」」」」」」」」」

 勝ち負けに問わず精神的にフルボッコでした。
 R+○の広範囲版はやばい。それを強く実感した瞬間でした。


※簡単な解説:TFではR+○で目の前の人にデュエルを申し込むことができます。





~これが絶望だ~


「終わった……」

 疲労がヤバイ。このまま倒れてしまいそうなレベルだ。
 気付けば夜になっており、回りには眼を黒くした人たちが立っていたりする。
 一瞬もう一度叫ぼうかという衝動に駆られたがやめておく。
 というか腹が減って仕方ない。
 学校登校の際にこっちに来たわけだし、昼食もとってない。

『21934DP』

 凄まじいポイントだなぁ。これくらいあれば飯だって……。
 そう考えてポッポタイムに背を向け、歩き出そうとして……。








 あれ? 飯ってどこで食べればいいんだ?






 
 とりあえず噴水広場に行ってみる。
 そう、噴水広場にはカフェがあって食事ができる。
 アニメでもそうだった。
 だが。



「ひとりだとつまんないでしょ。誰かと一緒に来たら?」



 案の定無理でした。
 ……ですよね。パートナー必須ですよね。
 ぼっちには厳しい世の中だなおい。
 鳴く腹を我慢し繁華街へ走る。
 繁華街なら、きっと飲食店があるに違いない!



※カフェ:TF6では噴水公園にパートナーと来るとカフェで一緒に食べて好感度を変化させられます。一人だと無理です。




 しかし繁華街にはカードショップ以外に何もない。
 マジでTF6完全再現だ。
 つまり、ここは現実でTF6の世界に入り込んだけど。
 全てがTF6の仕様なのだ。
 つまり、飲食の必要性がない。ゲームだから。
 つまり俺は、飲食ができない。

 あれ? 人生的に積んだ?

 旧サテライトにいた時帰ろうとしても帰れなかったし、少しの間ここで過ごそうかという楽観的な想いだったが。
 ここで人間的限界が見えてきた。
 となれば今からでもパートナーを作って……。
 いや、全てのキャラに好感度0、+口下手な俺に話などできるはずもない。
 だとすればどうすればいいのか。
 
「とりあえずカードショップでパックでも買うか……」

 そんな余裕はないのだけど、こっちでカードを買ってみたいのもある。
 店内に入ると所狭しとパックが並んでおりそれを適当に取って店員に出す。
 まだフィギアを上げてないからか、俺のレベルが低いからか店員のテンションは低い。
 ある程度DPを残してカードを買うと、リアルじゃ絶対集まらないようなレアカードが簡単に手に入った。
 ……持ち帰れないかなぁ。
 そう思うと腹がまたグゥと鳴った。
 どうすれば良いのか、そう考えにつまった瞬間。
 俺の目にそれは映った。


 赤い色の長方形のルーレット。
 そう、アイテムルーレットだ。
 200DPを入れることでルーレットを回し、アイテムをランダムに取得できる。
 


 これのカテゴリで食べ物があったような……。


 デュエルディスクをふと見る。
『1242DP』
 気付くのが遅すぎた。ポイントがあまりに少ない。
 6回しか廻せないじゃないか。
 そう思いつつルーレットに200DPを投入。
 赤外線か何かなのかデュエルディスクから赤い光が出てチャリンと音を立ててDPが減る。
 そして明滅しながらクルクルと廻るルーレットを見ながらボタンを押していく。
 その顔は恐らく子供が見たら泣くレベルだったろう。
 それほどに俺は必死の形相をしていた。
 なんせ生死がかかっているのだ。








本日の収穫:
『ホワイトダイス』
『カードホルダー レッド』
『六武衆の師範フィギア』
『大衆アニメムービー』
『水』
『カミソリ』
残りDP:42DP

 水が出ただけ、よかったです。





 ※続きません。多分。

 あとがき:
 コメディを書いてみようとして失敗したようなTF6の世界に殴りこみ。
 飲食店とかあるんだろうけど、その辺はゲーム世界なのでありません。
 主人公のルーレットを廻す仕事が始まります。
 デュエルよりもパックよりも、アイテムです。



[30133] 続いてしまいました
Name: 秋麦◆3467c449 ID:3d5fa085
Date: 2011/10/15 20:07
※まさかの続きました。ネタバレを含みます。



~ターンエンドなんてできない~

アイテムルーレットから出てきた500mlの水を大きく煽る。

っ! 犯罪的だ。水のためなら……デュエルなんて!

なんて某漫画に染まりつつ一気に半分くらい飲んだことを死ぬほど後悔した。
ちなみに周りに転がる5つのアイテムはバックの中に押し込んだ。
フィギア……壊れないよね? そのへんはゲーム補正入りますよね?
さて、改めて状況整理。

○今の状況
・TF6の世界らしい。
・データは0からやり直し。というかコナミ君(※ゲームの主人公)ですらない。
・デッキはあるのに鞄のカードが0枚に。デッキが組めない。
・世間の扱いが一般人以下。
・食事が運任せ←ここ重要
・パートナー? できてたまるか


 予想以上にきついなぁ。
 辺りを見渡すと人、というかデュエリストの数が減ってきている。
 もう夜だしゲームで言う『一日の終わり』って辺りなのだろう。
 となると今日はデュエルを挑んでポイントを溜めるのは難しそうだ。
 鞄に入っている20000DP分のカード箱の重みを感じながら、俺も大きく伸びをして。
 さぁ俺もR+□っと……。














 できるわきゃねぇだろぉぉぉぉぉ!(御大将ボイス)













 そうだよ! 俺どこで寝るんだ!?
 俺コナミ君じゃないから! というかどんなゲーム脳だよ俺……。
 素で「R+□」なんでぼやいた自分が状況+空腹で錯乱してるのだろう。
 とりあえず寝ようにも繁華街では眩しくて眠れない。
 ならどこに行けばいいんだろ。TF6で休めるところは……。


Q.TF6で休むところは?
A.コナミ君の自宅。


 あれ、ない?


 となると俺の未来は一つ。
 野宿。それだけだ。




 まさか学生の身でガチホームレスになるとは思わなかった。




○今の状況
・TF6の世界らしい。
・データは0からやり直し。というかコナミ君(※ゲームの主人公)ですらない。
・デッキはあるのに鞄のカードが0枚に。デッキが組めない。
・世間の扱いが一般人以下。
・食事が運任せ←ここ重要
・パートナー? できてたまるか
・家が無い ←New!


※TF6ではR+□で一日を終えることができます。ちなみにコナミ君の家はゲーム内では一日を終える以外で行けません。








~絶望は続くよ~

 結局病院まで歩き、病院の木に背を預けて寝ることになった。
 腹が空いて限界だったが精神的疲れも限度だったからかすぐさま泥のように寝た。
 起きた時、あの時正直にセキュリティに保護してもらえばよかったなぁと後悔した。
 そうすりゃもしかしたら牛尾さんとか深影さんとかと知り合えたかもしれないし。
 今だ鳴り続ける腹の音を聞きながら立ち上がり、鞄を持とうとしてふらつく。
 丸1日断食なんて初めてだったからか体がヤバい。
 とりあえず、鞄に入ったカード箱を目の前に並べる。
『スクラップドラゴン』が書かれた箱。
 ノービスからやり直しだとは思わなかったけど仕方ない。
 必須カード系は持ち込めたデッキに入ってるし問題ないか。
 
 さて、一挙開封……

 なんてできるわけないですよね。
 箱を開け一パック一パック丁寧に開けていく。
 普通なら嬉々としてやることなのだが、食事なし水も尽きたこの極限状態ではこの単純作業がきつい。
 周囲の人間が怪訝な顔で見る中。
 疲れた顔でビリッビリッと路上でパックを開け続ける不審な青年がそこにいた。

 セキュリティが着てくれてほんとよかった。
 朝食用ルーレット分のDPは稼げそうだ。


※TF6では購入したパックを○ボタンで全て開封できます。便利ですよね。




 デュエル後に保護されなかったことを真剣に後悔しつつDPを確認。
 やはり俺にもデュエル脳が感染してるんじゃなかろうか。
 繁華街へ急ぎカードショップに目も暮れずルーレットへ突っ走る。
『1467DP』
 7回も廻せるじゃないか。
 よし……いくぜ……!

 ざわ……ざわ……とでも擬音が聞こえてきそうな物騒な雰囲気を出して俺はルーレットを廻す。
 繁華街にいたデュエリストのほとんどがその光景を見て難色を示した。
 今にして思えば当たり前だよね。
 そして。














「みかんゲットォォォォォォォォ!!!!」



 結果:みかん1個













 全力で叫んだ後死にたくなりました。

 朝食はみかんで終わり、周りを見渡す。
 デュエルディスクを持った少女は僕を見るなりヒッと声を出して逃げ出した。
 ……そんな酷い顔してましたか。
 まぁ生きるための眼だったしね。
 恐らく全員のアイコンがドクロになっているに違いない。
 つまりパートナーになってくれない。
 ……ぼっちだなぁ。寂しいなぁ。
 俺そんなコミュ障じゃなかった気がするんだけど……。

 とりあえずデュエルをしないと死ぬ。
 文字通り死ぬ。
 繁華街の皆さんは俺をバケモノを見る目で見ているため(そんな酷いのか)別の場所へ移動。
 


※デュエル出来る相手には機嫌があります。ドクロでは好感度が上がりづらく、パートナーも組めません。






~スーパーアウェイ~

 震える足を動かしてなんとかデュエルアカデミアに到着。
 ここなら誰でもデュエルできるに違いない。
 何故なら彼らはデュエルを学問にしているんだから。
 いや、他の町の連中もデュエルを仕事にしてるんだけどね。
 その辺は学生だし話しかけやすいなぁと思ったのと。
 繁華街から近いからだ。
 さて、誰とデュエルを挑もうか……。
 前回みたいに叫んでもいいけど次はデュエル途中に倒れそうだ。
 そしたらきっと城之内君よろしく全敗扱いになってしまうに違いない。
 なんて恐ろしい世界だ。恐らく病院も呼ばれないだろうなぁ。
 鳴る腹を押さえできるだけ凛とした顔でアカデミアの前に立つ。
 ハルトマンさんがいるが100DPも持ってない。
 というか絵違いなんぞいらねぇ!


 ヒソヒソ……ヒソヒソ……


 何故だろう。この違和感。
 多分デュエルできるんだろう。だろうけど。
 なんか周囲の空気がやばい。違和感がヤバい。



 
『あの人見たことない制服を着てますわ……』
『他校の方かしら。一体何の用で……』
『しかもあんなボロボロで……まさか不良!?』




 Wow……そういうことかい。
 そういや学校指定の制服のままだ。しかも野宿したからボロボロで。
 俺自身もボロボロだ。
 見たことのあるようなキャラもちらほらいるが見事に嫌な顔をされている。
 わかります、ドクロマークですね。
 アカデミアでもこんな目にあうのかと落胆しつつ、気を取り直してデュエルディスクを持つ手に装着。
 アカデミアの前には女生徒が4名立っていた。
 さぁ誰にデュエルを挑もうか……。




 どうやって挑むんだろう?



 あれか。「おい、デュエルしろよ」と遊星さんよろしく言えばいいのか。
 「デュエルしませんか?」とでも優雅に誘えばいいのか。
 「デュゥエルだぁ!」と鬼柳さんよろしく強制イベントのように叫ぼうか。
 しかし、それよりもある意味目先の目標はデュエル相手と仲良くなることだ。



 仲良くなり、パートナーとなり、好感度を上げる。
 パートナーになってくれれば毎日あのカフェにいける。
 好感度が上がれば会うたびにアイテムかカードがもらえる。
 そうすればあのルーレットに苛まれる必要も無い。
 パートナーの友人をまたパートナーにすれば無限ループの完成だ!
 パートナーを、パートナーに。パートナーで。




 その時僕は錯乱していたんだと思う。
 僕はデュエルアカデミアの校門で、ハルトマン先生の真ん前で。
 デュエルアカデミアの女生徒に。







「俺とデュエルして、パートナーになってよ!」
 
 とニコリと笑う。




 どう見ても変態です。見た目最低なのにこれはない。
 無論デュエルはしましたが(この辺はさすがデュエル脳)、アカデミアには近づけそうもありません。
 


~そして目標へ~

 今なら俺一人でイリアステルに成れる気がする。
 そんなことを考えながらトボトボと歩く。
 海を越える長い長い橋を徒歩で歩き続ける。
 無論そこはTF6では選択できる場所ではないので人は誰もいない。
 今後の方針を固めていた。
 
 とりあえず宿は旧モーメントで良い気がしてきた。
 あそこは屋根があるし。真っ暗でもないし。
 パートナーは? 何とかしよう。

 食事。そう食事にはある当てがあった。
 TF6をプレイしている人なら多くが知っている大いなるイベント。
 ネタバレなんぞ言ってられるか。こちとら命がかかっているんだ。




 そう、アポリアルートだ。




 そのためにアポリアに会わなきゃいけない。
 どんな手を使ってでもあって、交流を深め。勝ち続けなければならない。
 何故ならアポリアルートは最後の最後に。





 冷蔵庫に『無限にお菓子ができる装置』をアポリアさんが付けてくれるからだ。




 冷蔵庫をどうするか? そんなもんはあと回しでいい。
 もしそれが手に入れば俺の食費は0になる。
 帰る方法もアポリアさんならZ-ONEさんなら知ってるかもしれない。
 俺はコナミ君じゃない? 知ったことか!
 生きるためには全力です。
 いや、マジで。





 ※続く……のかな?


あとがき:
投稿したら感想がすぐあって驚き続きを急遽書き始めました。
元より一発ネタだったためにネタを考えるのに苦労するだろうと思ったのに1日で完成。勢いって怖い。
ちなみに主人公のデッキだとか、名前だとか、デュエルシーンだとかは書くつもりはほぼありません。書ける気もしません。



[30133] 続いてしまう
Name: 秋麦◆3467c449 ID:3d5fa085
Date: 2011/10/17 20:53
※予想外の反響で驚いております。短いですよ。






~まるで意味がわからんぞ~


 とりあえずたどり着いた旧モーメント。
 今日はここが寝床になる。
 ……まぁもう一回橋渡るんだけどね。夕食のために。
 極限状態でありながら昼食を抜く覚悟をきめた俺はある意味馬鹿だと思う。
 だが、大いなる目標『アポリアルート』にはこの周辺が一番いいのだ。
 TF6ではアポリアさんはこの辺にいることが多いからしね!



 ちなみに1つ気づいたことがある。



 データは0になってはいるが完全に何もかも無くなったわけではないようで。
 実際フルボッコにあった初日の夜、データが0ならいないはずのダークシグナーの皆様が居たしね。
 だとすればアポリアさんももう出現しているはずなのだ。
 だけど今は場所がわからない……。

 それならあの人に頼むしかあるまい。そう、あの人に。








※TF6ではあるキャラクターをクリアしないと交流できないキャラが数多くいます。








 旧モーメントから近いマーサハウス。
 そこにはやっぱりあの人が立っていた。


 そう、雑賀さんだ。

 
 DPを払うことでアニメキャラの居場所を全て教えてくれる素晴らしい人。
しかも1週間だぜ!
……一週間後に俺が生きているのかどうかはともかく。
俺はできるだけにこやかに、笑顔で雑賀さんに問いかけた。

「あの……情報を売ってもらえませんか?」
「あぁ? 俺の情報は安くないぜ?」

 おぉう、やはりゲーム仕様なのか。全く疑わねぇ。
 自分で言ってて悲しいけど今の自分の見た目は大分不審者レベルなんだが……。
 大丈夫、DPについてはしっかり稼いである。
 あとは渡せる最高額、600DP(ルーレット3回分……)をプレゼントすれば完璧だ。
 俺は雑賀さんに笑顔で600DPを渡す。
 すると雑賀さんはこんなにいいのか?、と言った後『情報』をくれた。











「遊星は月曜朝に噴水広場、昼にハイウェイ、夜にジャンク市場。火曜朝には龍可と龍亜のペントハウス、昼に繁華街、夜にはデュエルアカデミアだ。水曜朝には……」











 IQいくつなら理解できるんだろうこれ。
 アレか! コナミ君万能すぎるだろ!? 聖徳太子もビックリというかアインシュタインも真っ青だよ!
 ゲーム内の『ごにょごにょ……』にこんなカオスが投入されてたの!?
 雑賀さんの情報は遊星さんからジャックへと移行して今だペラペラと話し続けている。
 というか口答じゃなくて手に持ってるメモ帳らしきものをくださいお願いします。
 この流れだとアポリアさんの情報は大分後……というかアレだ。



 日が暮れる。


 それはまずい。夕飯分のDPを稼げなくなる。
 俺は龍亜の情報を話す雑賀さんに待ったをかける。
 すると雑賀さんは何か残念そうな顔をした後不機嫌な顔になった。

「なんだ? 情報が欲しいんだろ?」
「い、いや……全員ほしいわけじゃなくて……」

 ゲーム外なセリフだなぁと思いつつ自分の意図を告げると。

「アポリアぁ? そうか……また面倒なやつの情報がほしいもんだな」

 何だろう。セキュリティの人以来にまともに会話できている気がする。
 それに気付いた時、ちょっぴり涙が浮かんだのを必死で隠し、メモ帳を捲る雑賀さんを待つ。
 さぁ、情報を吐き出せ……それによって俺のめくるめくスイーツライフが!

「あったぞ」
「教えてください!」











「月曜朝7:00起床、7:20アーククレイドルから外出、7:30噴水広場で朝食。8時13分ハイウェイに到着、8時34分ハイウェイにてデュエルを挑まれる。その時の初手はゴーストコンバート・ワイゼルTに機皇(ry」









 細けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
 ストーカーか!? 探知機つけてもそこまで細かくないよ。
 怖いわ! 雑賀さんホント怖いよ!
 この人は絶対敵にしたくねぇ。
というかアポリアさん意外と普通な生活してるなぁ……律儀にデュエル受けてるし。
 土下座せんばかりに懇願して情報を纏めてもらい、小さなメモにしてもらった。
 
 これでやっと……。

『出現しやすい場所:シティ沿岸部に朝または昼または夜。あとアーククレイドル』




 wikiレベルだよ!?


 

 そしてアーククレイドルに俺が行きようが無いことを思い出し、コナミ君のすごさを再確認しました。




※コナミ君(ゲームの主人公)はアニメのラストステージであるアーククレイドル(空中要塞みたいなもの)にもワンクリックでいけます。超人です。







~神の警告~


 脳内突っ込みにもエネルギー&糖分は使うらしい。
 体がフラフラな状態で繁華街へGO。
 そろそろ浮浪者扱いで指名手配でもされそうになりそうなもんだけど、その辺はゲーム補正に任せるしかない。
 そこだけがリアルだったら……社会的抹殺を受けかねない。
 とりあえずパックを購入し(今後のために)ある程度DPを消費。
 まぁ半分近くは残す。
 雑賀さんの情報を聞いていたせいで予想以上に時間が経ち、更に移動時間も合わせると……。
 ぶっちゃけデュエルの時間もあまりない。
 というかリアルでデュエルすると時間経過がやばい。
 運悪くロック系に引っかかったのも悪かった。
 というかここに来てからリアルラックがライフ0になってる気がします。

 もう完全に夜な中、俺はまたアイテムルーレットの前に立った。
 残りDPは3000弱。15回も廻せる。




 
 フィギア。
 帽子。
 フィギア。
 以下略。


 マジで死んでるんじゃかろうか。俺の運。
 もしくは物欲センサーか。物欲センサーってやつなのか!?
 ごめんなさい、神様。謝るから、謝りますから俺に何か啓示をください!

 と、周囲にフィギアを置きながら(しかも見事に女性系フィギアばかり)デュエル地蔵に全力で祈る。
 気持ち悪い? そんなん知るか。必死なんですよ!?
 





 そして神の啓示は起こった。起るには起った。うん。起ったともさ。












『石鹸』
『シャンプー』
『リンス』
『水』
『水』
『水』











 ですよね。汚いもんね俺。
 体を洗えってことか。ご丁寧にリンスまでくれたよ。
 
 まぁ神様の警告に従っておくか……。
 と思いながら最後の200DPを廻す。




『栄養ドリンク』



 
 神様ありがとう……よし、これで72時間働けます!!!








 んなわけあるか。
 



 断食2日目確定の瞬間でした。




※デュエル地蔵:カードをお供えしとくと知らないうちにお供えしたカードを増殖してくれる物体。主人公は用途が間違っています。



※続くのかな。



あとがき:
今回は短いです。というかネタ探しがきついです。
ちなみにこんな状況になってる以上主人公のデッキはガチデッキではないんだろうなぁ。
作者もTF6はなんとか嫁パックが出た辺りです。5D'sの皆さんとイリアステルの皆さん程度です。
できることならイベント内で食事ができるルートがあれば教えてください。
主人公が野良犬のごとく襲うと思います。そいつを。

P.S:誤字確認中に↓の市場に『暴走闘君』のカードがあり勝手に笑ってしまった更新後。



[30133] 続いてしまうんですね
Name: 秋麦◆3467c449 ID:3d5fa085
Date: 2011/10/19 00:54
※情報が予想以上に多くてびびってます。アニメキャラ攻略中だったんですが方向性を変えねばならないかも知れない……。




~住めば都なわけはない~



 旧モーメントで一夜を過ごし、大きく伸びをする。
 うん、なんて気持ちの良い朝だろう!
 ……腹は空いてますけどね。
 それでも栄養が摂取できたのは大きいらしい。さすが栄養ドリンク。
 旧モーメントが眩しい?
 大丈夫、そんなときのための。

『アイマスク』
『耳栓』

 神の警告に従い、体を綺麗にした俺。
 1リットルで全身を洗いきり、500ml残せたのはよかった。
 節制すればこんなもんどうってことないさ。
 俺は『歯ブラシ』をペットボトルに入れて濡らし、歯を磨く。
 服は相変わらず土だらけではあるが、『洗濯ばさみ』ではさんで干して皺は無くなったはずだ。
 足は新品の『くつ下』と『ブーツ』に履き替えて。
 よし! 準備万端!







 うん、気づいてるさ。
……アイテム欄が生活必需品で埋まり始めているってことくらい。




パートナーの機嫌を上げるにはフィギアが一番なのもわかってる。
カードプロテクターもほぼはずれがないことくらいわかってるさ。

でも、パートナーいないじゃん!?
できてすらいないのに、それより見た目がアレなのにこのままじゃマズいと思ったんだよ!
必要事項だと思ったんだよ!
もう最近アイテムが自分の全て過ぎて色々不味い気がする。
そう、俺はデュエリスト。 目指すはアポリアルート!
さぁ行こう! デュエルへ! 朝食のために!








いや、それはデュエリストじゃない、ホームレスの発想だよ。
出発して30分後に気づきました。






※アイテムは『あげるもの』です。使えません。TF6はどう○つの森じゃありません。





 旧モーメントから出ると燦々と太陽の光が降り注ぐ。
 眩しいというか痛い。頼むからやめて。喉が渇くから。
 人生初の2日断食に限界を覚えつつ回りを見渡す。
 その辺のデュエリストに挑んでDPを稼がなきゃ朝食も取れない。
 ……いや、ここ2日取ってないけどね。みかんは……うん。
 さすがゲーム世界、天気も毎日晴れのようだ。
 もし雨なんてあったら……凍え死ぬ可能性も出てくる。
 風邪なんざ引いたらどうする。風邪って死ぬんだよね?
 

「デュエルです!」
「デュエル!」


 朝っぱらから陽気に声が響き渡っている。
 遊戯王で遊んでるように見えるけど実際は皆金稼いでるんだよなぁ。
 となるとデュエルディスク=NEET脱却なんだろうか。
 明らかに小学生らしき子供が軽く1デュエルで1000DP稼いでるのを見ると怖いものを感じるなぁ。
 ノービス1パックが初期100DPだから……あれをリアル換算すると。
 1パック150円で……1デュエル1500円!?
 やべぇ。価格破壊もびっくりだよ。
 時給いくらだ。1キルデッキなら1万軽く超えるんじゃなかろうか。
 



 ……そんなインフレ世界でなんで俺はひもじいんだろう。



 ①パック換算してないから。
 ②運が悪いから。
 ③弱いから ←恐らくここ。
 ④パートナーがいない。


 ④は関係ないですよね。うんわかってます。


 でも最近いい加減集中力が切れてきてるんだ。
 デュエリストなら……わかってくれるはずなんだ。
 2日断食の極限状態でルールが細かい遊戯王をして勝たないと食事が食えない(運試し)。
 昔の『カラオケ100点取るまで帰れない』ってバラエティを思い出す。
 確かあの企画、途中で歌詞の中の食べ物をもらえるってあったよね……。
 

 植物ナチュル組もうかな。




 現実逃避はやめよう。
 そう思いながら俺はいつも通り繁華街への道を歩く。
 周りの人がまたあいつだ、とか言い始めたのは良い傾向だ。
 
 
 悪印象は好印象に変換可能って誰かが言ってたもの。


 ため息を着く度に腹が鳴る様になって最近楽しくなってきました。
 



※ナチュル:虫と植物等のデッキ。植物は果物がいっぱいいるよ!


 













~後光が見えました~









「パートナー? いいですよ?」









 幻聴かと思った。







 その言葉がやたらスローモーションに聞こえ一つ一つが俺の心にズッキュンと突き刺さるのを感じた。
 移動時間のせいで2度ほどしかデュエルできず、アイテムルーレットを回し、『ジュース』と『ビスケット』をGETし、遂にまともなエネルギーを得て生き生きとした俺。
 そんな中ホクホクとした俺はデュエルアカデミアの制服を着た彼女に声をかけ、デュエルを挑んだのだ。

 結果俺は快勝し、DPを確認。
 そのDPに歓喜していた俺はふと呟いたのだ。



「これで後パートナーさえできれば……」



 その言葉を話した時、俺はハッとして口を押さえ彼女を見た。
 何故なら俺は先日デュエルアカデミアの前で変態発言をやらかし、デュエルアカデミアに近づけなくなっていた。
 というかアカデミア生の皆さんからは明らかに警戒されていた。
 なのにデュエルしてくれるけどね。デュエル脳ってホント怖い。
 というか彼女らの授業は常に課外授業か何かなんだろうか。
 常に外にアカデミア生がいるけど……。
 うちの学校もそうならんかなぁ。
 デュエルをしていればサボってもOKなんて世界万々歳じゃないか。
 


 家があって。
 食事があって。
 着替えさえあればの話だけども。


 
 ……話が逸れた。
 そんなわけで俺が呟いたその言葉を彼女は聞き漏らすことなく、少し考えた後ピンと指を立てて言ったのだ。


 パートナーという。俺の、希望を。






 抱きつかなくてよかった。抱きついてたら今度こそ無理になるところだった。
 髪や、靴はなんとかしたが制服はヨレヨレの俺のパートナーの誘いを受けるとはどんな豪気なお方か。
 デュエル中はデュエルに必死で(さすがにビスケットでは腹は貯まらない)相手の顔も見ていない。
 俺の元へテコテコと歩いてきた彼女を人々が避けていく。
 そりゃそうだ。2日連続でここに出没する不審者とパートナーを組む猛者。
 彼女はふらついて虚ろな俺には眩し過ぎる笑顔で。


「宮田ゆまです。今日はよろしくですっ」

 と名乗った。






※宮田ゆま……HERO(使い)。悪役が改心するレベルの善人。主人公にとってもHEROです。






 後ろに人が付いてくる感覚というのは……うん、慣れないですよね。
 ドラクエの主人公の気持ちがわかる気がする。
 後ろにいる宮田ゆま、以下ゆまさんは陽気に口笛なんぞ吹きながらテコテコと着いて来ている。
 聞けばアカデミアの課題で普段組まない相手と組めと言われたとかなんとか。
 んで、彼女は人気があるらしく基本的にほとんどアカデミア生とは組んだのだそうだ。
 まぁ俺と組むくらいだ、よほどの人望だろうに。
 そしたら最近アカデミア前に出没した人間が学生だったと噂で聞いて繁華街へ来たと。
 ……アレ? 大分おかしい気もするが気にしないで置こう。
 変態扱いされてる相手とタッグしようとしてるとか、警戒心が皆無だよとか、繁華街に来るんだから一般人と組めとか。
 そういうことは絶対に気にしちゃいけない。
 とりあえず話を纏めると一番大事なのは。







 パートナーは『今日だけ』ってことだ。







 そんな課題毎度毎度出されるはずもないだろう。
 タッグは相手との相性が大事。毎度毎度別タッグなど有り得ない。
 でも、この子の話じゃちょこちょこ変えてるんだよなぁ。
 どういうことなの。
 この子がデッキ的に残念なのか、それとも友達がいな(ry


「デュエルやりましょう!」


 おぉう、勝手にその辺の人にデュエル挑んどる……。
 この辺はゲームと違うのか。
 あっちさんも受けたようでもうディスクを構えている。
 その辺の赤の他人を捕まえて。


 なんで断らないんだろうなぁ。アレかなぁ。補正ってやつなのかぁ。

 
 道端歩いてていきなり『タッグ組もうぜ!』ってリアル言われたらドン引きってレベルじゃないんだけど。
 まぁこの辺は初タッグによる新発見だなぁ。
 俺、タッグに誘われなかったし。



 ……いや、別に俺そんなダメ人間じゃないよ!?



 きっとアレだって。ボロボロだったからだって!
 今はまだまともだって。きっと。

 とりあえずタッグを組めたことで俺の心には余裕ができたようで……デュエルもまともにできました。





※タッグデュエルはそれだけでルーレット1回分のDPボーナスがもらえます。












~希望があるなら~



「負けちゃいましたです……」


 そうだね。ゴメンね俺のミスだわ。
 何度かタッグデュエルを行い、やはり普通のデュエルとは違うなぁと実感しつつ。
 俺はついに繁華街から歩き、『ソコ』に辿り着いた。
 途中アカデミア生が俺と組んでるゆまさんを見てギョッとした顔をした後にヤレヤレとした顔をしていた。
 ……どんな評価なんだろうホントこの人。そして俺。
 一応デュエルはザコではないんだよ?
 ある程度貯まったDPを確認しながら、『ソコ』を見る。





 そう、カフェだ。




 パートナーとだけ行くことができる場所。
 そして、『確実に飲食が出来る場所』だ。
 だが、それは1日一度に限られる。
 ゆまさんは聞けば夜には寮に帰るらしいので夜には解散が確定。
 つまり昼食時のコレが本日のラストチャンスなのだ。
 噴水広場の時計には昼食にはちょうどいい時間が示されている。
 俺がカフェに行くことを提案すると、ゆまさんは大きく頷いてくれた。
 カフェな以上。もしかしたら多額のDPがかかるかもしれない。
 ゲーム内では無料だったけど。
 
 この世界リアルなんだかゲームに忠実なのか半端で困る。

 だが、パートナーと来ればオススメが貰えるのは確定している!
 さぁいざ行かん、オススメを貰えるカフェへ!








 『オススメの……』






















 『キラー・トマトジュースは……』
 











 ……って飲み物かよぉぉぉぉぉぉぉ!?







 確かにカフェだけどさ!?
 俺も『飲』食って言ったけどさ……?
 心は地の底まで沈んでいたが目の前でおいしそうにジュースを飲む彼女の手前そんな顔はできるはずもなく。
 朝食以来の水分をとてもおいしくいただきました。
 ビタミンとか、食物繊維とか。
 リコピンとか。
 うん、取れた気はしますよ。






 『とってもおいしかった!』







※カフェですから食べ物が出るとは限りません。『』の部分はゲーム内セリフをモチーフにしています。





あとがき:
初パートナーですよ。だけど今後続くことは……ないんじゃないかな。
ひもじい思いもしないで、パートナーとホクホク幸せにしてる主人公を書いても微妙な気もしますし。
でもまぁ、そろそろルーレットでまともな食べ物が出てきても良いころです。

最初はTF6内善人筆頭とも言われるゆまにしてみました。今後出るか、口調がどうかなんてのは作者がまだゆまを攻略してないのでわかりません。



[30133] 続いてしまうのかな?
Name: 秋麦◆3467c449 ID:3d5fa085
Date: 2011/10/19 22:55
※毎度感想ありがとうございます。ゆまさん大人気ですね。



~魔法の言葉~

 泣く泣くゆまさんと解散し、俺はアカデミアから離れた。
 今度もできればパートナーお願いしますと生活必需品以外のアイテムを全て贈呈しつつ平にお願いした姿はまさしく異常者だったに違いない。
 するとゆまさんは見事タッグを組めるときならばと言って下さった。
 
 ……もうあの人が如来に見えてきたよ。夜なのに目の前が明るいよ。

 如来様の明光を背に歩くのは心地よかった。
 恐らくリコピンの力も作用しているに違いない。
 リコピンの効能? 知らないよ。太陽の果実なんだよ。
 元気くらい出るさ!
 



 というか物あげてコンビになってというのは買収行為ではなかろうか。



 アカデミアを出てから気付いた。
 如来様が「物をくれたいい人」とか言わないことを祈るばかりである。
 そんなこと言ったら……アカデミアには2度と近づけまい。
 
 


 
 とりあえず集めたポイントでパックを買わないと……。
 しっかし新しいパック出ないなぁ……。
 スタンダートまでは来たけど……。
 スタンダートがあれば『アレ』が組める。だが何故かデッキを組めるほどのカードが揃わないのだ。





※最初はノービスという初心者用パックしか買えません。少しずつ増えていきます。




 
 ところで皆さん何故俺が全てをルーレットに賭けないのかと疑問だろう。
 その理由は単純。10万DPをショップで消費するためだ。
 TF6プレイヤーの皆さんならお分かりだろうが、10万DPを店で使うごとにショップのパックの代金が10%引きされていくのだ。
 諸事情により。
 そして最終的に50%まで値引きされた時。
 多くのデッキで必要不可欠なカードを大量に封入されたカードが収録されたパックが現れるのだ!
 
 うん。その辺はデュエリストだし、仕方ないと思いたい。
 極限状態で何を言ってるのやらって感じだがまぁ……意地ってやつだよね!
 もうルーレット全てにDPを賭けていたら確かに食事はできるかもしれない。
 だが。




 人として何か無くしてしまう気がする。




 そんなことを考えながら繁華街に到着しデュエルを挑む。
 ルーレットを回すにもパックを買うにも微妙なDPだったからだ。
 俺は繁華街に立っていたポニーテールさんに話しかけデュエルを挑んだ。
 そう、それが命取りだった。









「ダイスポットのモンスター効果発動! さぁサイコロを振るんだね!」

 おぉダイスポットか。ギャンブラーだなぁこの人。
 相手の目は4。中々の目だ。
 さぁ、俺も……。







 あれ? 俺……ダイスなんて持ってたか?
 初日に確か『ホワイトダイス』を手に入れて……。
 
『生活必需品以外のアイテムを全て贈呈しつつ』

 あ。









 ジャッジー。







※ダイスボット……サイコロ勝負を挑んで負けたほうは大ダメージを受けるカード。ギャンブル万歳。

※ジャッジー……リアルでもデュエリストへの社会的抹殺が起きかねない魔法の言葉。負け程度で済めば良いほうです。この負け方をジャッジ・キルといいます。








~新たなる絶望~

 対戦相手に全力で謝り社会的抹殺は回避。
 だが繁華街に広がったどうしようもない空気が俺を包み、俺はその場を駆け出した。
 まずいまずいまずい。
 デュエルが全てのこの街でジャッジ・キルなんてやらかしてOKなのは【トランス】くらいなもんだ。
 そんな噂立てられるわけには行かない。 
 夕飯のこととかパックのことなど全く無視で俺は繁華街を出る。
 行くべきはわが根城、旧モーメント。
 さぁ寝よう。明日になれば大丈夫。きっと大丈夫なはずだ。





※トランス……早い話が互いに全く動けない状態にしちゃって放置するデッキ。そういう戦術だから仕方ない。




 
 旧モーメントの明かりの中で俺は考えていた。
 

 俺大事なこと忘れてないか?
 
 デッキは今だこの一つだけ、組もうとすれば組めるレベルにはなってきた。
 だが、明らかにパックの増え方が遅い……。
 考える。考える。
 そう何かあったはずなんだ。パックが現れる理由。
 ……あ。そうだそうだよ。思い出した。
 そう、思い出したくも無い恐怖の真実を。







 新しいカードのパックを得る条件!
 ①新しいパックは組んだ『パートナー』によって出てくる。
 ②もしくはデュエルレベル(多分俺にはその概念はないだろう)が一定以上。
 ③好感度が一定値以上。







 アレ……これ無理ゲーじゃないかな。


 つまり、まともにデッキを組むにはパートナーが必要で。
 なのに弱い+DPの関係上食事に必死で……。
 好感度はパートナーにならないと上がらない……。

 
 ほんとぼっちにはきつい世界ですねここ。
 夕食のルーレットを回し忘れ、食事は完璧にどうしようもない。
 やることと言えばデュエルだが、人も少なくむしろ俺の体調がやばい。
 トマトジュースが逆に腹の虫を擽ったようだ……。
 
 『ガラクタ』で作った簡易的な根城で俺は眠る。
 この3日で慣れちゃってるのが怖い。
 そしてそろそろ倒れそうな俺が怖い。









~救いの手は~



 目を醒まして真っ先に全身が震えたのを感じた。
 さすがに限界が近い。
 3日でまともな食事がビスケットとみかんってどういうことだ。
 最初は楽だったデュエルディスクが恐ろしく重く感じる。
 目を醒ましたのは朝というには遅すぎる時間帯。
 体も睡眠時間を増やしてエネルギー消費を減らし始めたようだ。
 
 さぁデュエルに行こう。死ぬ前に。
 
 ここで倒れたらきっと病院も来ないからな。
 そう考えながら俺がハイウェイを歩いていると。




「あ、いましたですっ!」




 また幻聴が聞こえた気がした。

 それは福音の声。
 俺が振り向くとそこには如来様が立っていた。
 やめてください如来様。後光が眩しいです。

「昨日ぶりですねっ」

 ふらつく体で俺が頷く。
 まさか。まさか今日もパートナーが組めるのか……?
 そう思った瞬間後ろから声がかかる。

「なんで僕らおいて先に行くのさ。ってこいつは!?」
「…………変態」

 二人の少女は立っていた。
 あぁ、これは無理ですね。
 聞けばやっぱり課外授業で外の人間にデュエルを挑んでいたのだそうだ。
 タッグならなおよし、とのことだそうで。
 ……アレ? 何で三人行動取ってるのこの子。
 明らかに後ろの二人がタッグよろしくな並びしてるんだけど。
 気にしないことにしよう。
 如来様ことゆまさんは陽気な笑顔でやつれた俺に平然と近寄る。
 後ろの二人は、いや一人はその光景を怪訝な顔をしてみていた。
 もう一人は表情をピクリとも変えていない。
 
「これ、どうぞですっ!」

 ゆまさんがポンと音を立てて俺の手に何かを乗せる。
 それは。






 白くて。
 丸くて。
 温かくて。
 においがする。
 そう、それは。






 『肉まん』を手に入れた!





 ガチで涙がでました。
 確実に新密度は0に近いはずなんだ。
 なのになんだろうこれは。如来様を超えた何かなのだろうかこの子は。
 俺はゆまさんを見る。
 ゆまさんは何の疑問もなさそうにトテトテと振り返ると二人の下へ戻っていき。
 何か二三話したかと思えば、3人で俺の前に歩いてきた。
 その時俺は肉まんを手にしたまま膝を落とし俯いている。
 その姿は一般人から見たら滑稽を通り越して奇怪だったろうに。
 なのに二人は如来様に引かれて俺の前に来た。

「どうしましたです?」

 その言葉に。俺は。必死で。
 目の前の肉まんと。この極限状態の脱却を見て。
 心の奥底から言葉をひねり出した。



 







「3日ぶりの……たんぱく質だ……」



 




 
  さすがにドン引きでした。

 


※さすがに続きます。



あとがき:
今回も短いです。初デュエル描写がジャッジキルの遊戯王SSなんで前代未聞ではなかろうか。皆さんデュエルには自前のダイス&コインを用意しましょうね!
そろそろアニメキャラが出てもいいころ。
やっと食事を得た主人公。ここから快進撃が……始まればいいなぁ。
ちなみにゆまさんは攻略対象ではありません。如来様です。



[30133] 続いてしまうけど
Name: 秋麦◆3467c449 ID:3d5fa085
Date: 2011/10/21 23:42
※主人公への暖かい声援ありがとうございます。運が無くたって生きていけるはずです。多分。






~常人と変人~

 俺は目の前の如来様と並ぶ二人の少女に目配せする。
 一人は俺を侮蔑するような目線で見下ろしていた。
 まぁあんなセリフを吐いた後じゃそうもなるか。
 もう一人は……おぉう無表情だ。
 石像よろしく表情が全く変化してない。
 やっぱり変わり者の周りには変わり者が(ry
 ゆまさんを勝手に引き下げることを思いつつ、俺は肉まんを貪りながら小さく会釈した。
 ゆまさんはペカーッと後光の感じる笑顔で肉まんを食べる俺を見ている。
 ピンクの髪の少女は一歩下がりつつ俺のその動きを観察している。

 ……俺どんな噂流れてるんだろ……。

 無表情さんは何故かゆまさんの隣でしゃがみ、俺の捕食行動を無表情で見続けている。
 おぃやめて。食事シーンをその動かない目で見続けるのやめて。

 礼を言った俺にゆまさんはいやいや、と手を振りながら

「別にそんな! お腹空いてるみたいでしたしっ」

 おぉうさすが如来様。全て理解していらっしゃる。
 浄化される気分を味わいながら、なるだけ不信感を与えないように二人のことを聞く。
 先ほどから一歩下がって俺を見ているのはツァンさんというらしい。
 わかりやすい反応ありがとうございます。俺がよろしくと言うと。


「べ、別にアンタを見に来たわけじゃないんだからね! ゆまに着いてきただけなんだから!」


 ……なんだろうこのテンプレ。
 そして好感度0なのがわかってるせいで『本当に』見に来たわけじゃないんだなぁと思える。




 ツンデレじゃねぇ。これは本音だ。




 地味に突き刺さる刃を心に感じつつ、如来様の紹介は続く。
 俺が立ち上がったのに無表情でしゃがみ続けて、俺の足下を見ている彼女はレインさん。
 あの。俺の足下に何かいますか。幽霊的な何かでも見えましょうか?
 ゆまさんがレインさんに紹介を勧めると、小さく頷いて立ち上がり。
 俺を上から下まで眺めるように見ると。



「……普通」



普通!?
俺がごく普通に見えますか!?
その常人ならざる感性にはびっくりですけど色々おかしく……ないのかなここだと。
 しかしその反応にはツァンさんも驚いたらしくレインさんの背を引っ張りズリズリと引きずって俺から聞こえない場所へと引っ張っていく。
 引っ張られている最中もレインさんは無表情である。
 あの人仮面でも被ってるんじゃなかろうか。
 というかやっぱりおかしいんだなあの反応。


「あの二人、仲良しでタッグパートナーなんですっ」


 なら君は何故3人行動してたんですか。
 という突っ込みを全力で抑える。
 きっとアレだよ。ゆまさんはパートナーとはぐれたんだよ。メタルなんだよ。
 
俺の体は肉まんのおかげで力が戻っていくようだった。
 うん、タンパク質すげぇ。昨日のリコピンもすごかったけどな!
 変わらず肉まんをモッチャモッチャと食べる俺の聞こえない位置で何かを話し終えた二人は歩いてくると。




「……変態」


 言い直した。


 常識を教えられたに違いない。
 自分が常識外なのは知ってる、知ってるともさ。
 だって今一番欲しい物って聞かれたら全力で「カロリー」って答える自信があるもの。
 





※ツァン・ディレ……名のごとくな人。TF4からいます。
※レイン・恵……無口な不思議系少女。同じくTF4からずっといます。









~魔法の言葉Part2~


 そんなこんなで自己紹介も終わり(俺は肉まんに必死でした)、改めて3人に向き直る。
 肉まん一個食べるのに十分近くかかったのは喉が狭くなってきていた証拠に違いない。
 しかし本気で何故この如来様は三人行動しているのだろうか。
 アレか。即席タッグ練習ってやつなのか。
 それって本当にゆまさんに友達がいないんじゃなかろうか。
 そんな顔でゆまさんを見ていたのか、俺の視線に気づいたゆまさんは、



「パートナーならいっぱいいますよっ! 委員長さんに、名雪さんに……。黒目の人達に、機械のおじいちゃんもですっ!」

 

 さらっとダークな皆様とラスボス勢が混じってる気もしたがその辺はスルー。
 まぁホセさんの件は後々聞ければ聞こう……合体してあの人になってくれるし。
 陽気に言うゆまさんにツァンさんが付け加えるように補足する。
 本当に誰とでも組むせいで特定のパートナーとやらがいないのだそうだ。
 そういやアカミデア生は制覇したとか言ってたなぁ……。
 




だからって不審者と組む必要性は皆無だと思うけど。



 
 
 まぁそんなこと言っても仕方ないわけで。
 肉まんを食べ終え、至福の顔をしている俺にゆまさんは笑って、

「デュエルしましょう! そうすれば二人もわかってくれるはずですっ!」

 やっぱり発動デュエル脳。
 うん、もう慣れたけどね。デュエルすればなんでもOKなこの世の中。
 というかわかってくれるって何をだろう。
 アレか、実は内心不審者と思ってるのだろうか。
 いやいや、この如来様に至ってそんなことはあるまいて。

 立ち位置的に、いや、パートナー的に俺がゆまさんと組むことになった。
 正直足を引っ張らないように頑張りたいところ。
 というか。




 デュエル脳の皆様は勝たないと印象を改めてくれない。
 




 勝った者が正義で正しいデュエル脳の皆様には勝たないとどうしようもない。
 ともすればゆまさんのいう『わかってもらう』には勝つしかないのだろう。
 俺は肉まんで漲った体を起こし、デュエルディスクを構える。
 前にはツァンさんとレインさんが二人。隣には如来様が控えている。

「僕から先攻でいいかな」

 そのツァンさんの言葉に同意し、手札を確認。
 うん、そんな悪くない。










 ……あれ。何か忘れてないか。










 俺の脳が警鐘を鳴らしている。
 何だ。何を忘れている。
 この世界はTF6の世界。つまり俺は一度プレイしている世界。
 そこで警鐘を鳴らしているということは何だ。
 デュエルは出来てる。ジャッジキルの心配もない。
 ゆまさんに出会ったときは鳴らなかったはずの警鐘だ。
 何だ……?
 目の前の二人を見る。
 









 
 ……あ。


「「デュエル!」」(俺とレインさん無表情)




















『モンケッソクカゲキカゲムシャシエンシハンキザンキザン3フセエンド』

















『少年……これが絶望だ……』
そんな声が、どこかから聞こえた。


※『モンケッソク以下略』……『六武衆』と呼ばれるデッキに伝わる魔法の呪文。相手は死ぬ。
※補足……ツァン・ディレ&レイン・恵はTF6内最強レベルのキャラです。ツァンさんは上の魔法の呪文を使ってきます。











~明日は地獄に違いない~

 定番コンボ+レインさんによるフルボッコにあい、デュエルは終了した。
 ツァンさんはそれはもう晴れ晴れしい笑顔でレインさんにハイタッチ。
 レインさんも無表情ながらもハイタッチに応じる。
 そりゃああも回れば楽しかろうよ。
 一方、ゆまさんと言えば。



「負けちゃいましたです……」



 おぉうメッチャ凹んでる!?
 凹むゆまさんを慰める二人、というかツァンさん。
 レインさんはもう少し喋ろうよ。慰めようよ。
  

「……勝った」

 でしょうよ。ボッコボコでしたよ。
 ダイレクトアタックの連鎖でしたよ。
 というか慰めてない気がするよ。


 しばらくするとゆまさんは何も無かったかのように陽気になり、二人と会話を始めた。



 うん、俺ぼっち。



 四人なのに。一人。
 ……泣いて……いいよね?
 ちょっと浮かびかけた涙を堪えつつ、三人の輪に入ってみる。
 するともう少し歩いてデュエルを続けるらしい。

 いや、だからなんで三人組で動いてるんだろう。

 ゆまさんだけ毎度他人とタッグとか寂し過ぎるだろ。
 まぁもしかしたらシャッフルするんだろうけど……。
 一人一人を目配せする。
 三人とも俺の意図がわからない様に、いや一名ほど嫌な目で俺を見る。
 うん、それが正しい反応だ。

 
 この三人強さのバランスが酷いんだよなぁ。


 そう、言っちゃいけないけど、如来様弱いんだよ。
 触れなかったけど、ずっと触れなかったけど。
 そして逆にこの二人が凄まじく強い。
 その三人がシャッフルなんてしようもんなら……。







『お前と組んだから負けたじゃないか!』
『お前はあっちのチーム行けよ!』









 うわぁぁっぁぁぁぁ!

 浮かぶ妄想。浮かぶトラウマ。
 いや、遊戯王じゃないよ? 小学校の連想ゲーム大会だったけどさ。
 いやいや、そんなことあの如来様にあることなんてあるまい。


 まぁそんなこと俺には関係ないけどなぁ……。




「また今度ですっ!」
「べ、別にあんたになんて会う気なんてないんだからね!」


 素で避けられた気がした。
 ……心に巨大な刀が刺さったことを感じつつ、歩いていく二人を見送った。
 最後まで陽気で手を振るあの人は俺のような悩みはないんだろうなぁ。色んな意味で。









 しかし、ついさっきまで仮にも俺『同世代の女の子と一緒に遊ぶ』ってしてたんだよなぁ。









 まぁこの世界でデュエルが遊びなのかはともかく。
 極限状態に陥ると性欲、というか色んなものが減衰するようですね。
 というか全く何も思わなかったよ。
 


 肉まん>>>>>>>>>>女生徒3人くらいな勢いだったもんなぁ。
 


 まぁ如来様に感謝してたからそこまでは無かった気もするけど……。
 まともに食事にありつければ印象も変わるのかね。
 しかし、ゲーム世界とは言えテンプレツンデレさんと無表情不思議系さんとは……。
 ……TF6ってカードゲームだったよな?
 生きるにはもう少しTF6のことしっかり思い出さないとなぁ。
 食べ物とかルーレットに必死でほとんど考えてなかったわ。












「…………不思議系?」










 うおぉぉぉ!?


 俺の背後でしゃがみながら俺の足元を見る少女が呟いた。
 ……レインさん。やっぱり俺の足元になんかいますか。死神の足音でも聞こえますか。
 というか二人行っちゃったけど。影も形も見えないけど。
 そしてあの二人気付いてなかったけど。


「……別行動」


 そうですか。別行動ですか。
 それは別行動じゃなくて独断行動っていうんだと思います俺。
 レインさんは立ち上がっても俺の足元を見続け、無表情のまま。
 何だろう。足元に何がいるんだろう。
 霊の一人や二人憑いてそうな運の無さだけど……。
 そういうのできる人なんだろうか。
 レインさんは首をフルフルと振る。
 あぁ、違うんですね。
 


 まぁいいや。俺は繁華街に行かないと昼食が取れないし。
 









 無表情でついてこないでください……。
 うん、なんだろう。パートナー組んでくれるんだろうか。
 


「…………暇」



 いや、自分で暇になったんじゃないかな?
 そんな突っ込みは置いておこう。
 よし、ここは願っておこう。パートナーになってくださいと。
 レインさんならいいかもしれない!



「パートナーに……なってください!」









 素で土下座してました。







 レインさんはその俺を見て、無表情で頷いた。
 
 ……不思議ちゃんってスゲぇ。

 
 



あとがき:
仲間に増えるよ! やったね主人公!

とりあえず感想欄に出てきた&書きやすそうなキャラ2名で書いてみました。
主人公はリア充じゃありません。貧困の挙句に爆破なんてしたらさすがに死にます。
今回はまさかのハイウェイだけでした。

追記:このシリーズはネタが切れたりしたらソードマスター並みの終わり方をするかもです。というか長く続ける体力がありません。



[30133] 続かせてみたけれど
Name: からわら◆875128a5 ID:3d5fa085
Date: 2011/11/19 01:38
※多くの感想ありがとうございます。相変わらず主人公のデッキは不明です。
 というか決める気もないです。皆様のご想像にお任せします。



~デュエリストRX~
 
 俺の後ろを無言でついてくるレインさんは相変わらず俺の足元を見続けている。
 もう気にしないことに決めたものの、やはり何か嫌な気配はするのだ。
 相変わらず寮の門限は夜までらしい。
 だが、

「……大丈夫」

 ツァンさんがなんとかしてくれるらしい。
 そう、らしい。いつそんな話したんだろうか。
 この世界携帯ないからなぁ。連絡手段0だし。
 しかしツァンさんが何とかしてくれなければ……。



 女生徒と夜まで連れ回した男性。



 うん、不審者に更なる悪評がプラスされるな。
 レインさんはこの様子だから弁解もしないだろうし。
 というかレインさんは如来様と違って自分からデュエルも挑まないからもの凄く奇怪な図になっている。

 デュエルもしないで無言で歩き続けてる(しかもドラクエ調に)男女。

 どんな状況だよ。
 未だ肉まんの力が残っている。その内にデュエルの済ませねば。
 そう思い、その辺のデュエリストにデュエルを申し込んだ。








 ……モンスター効果。
ダイレクトアタァーック!
 ……罠発動。
 ダイレクト……アタァァァック!
 ……罠発動。
 ダイレ(ry








 何度叫んだだろう、この言葉を。
 レインさんが凄まじい勢いで相手を圧倒していく。
 素晴らしい勢いでメタっていく。
 俺はガラガラのフィールドにダイレクトアタァァァックするだけだ。
もう、俺いらないんじゃないかな。
 タッグ(笑)なデュエルの光景を見た全ての人は言うだろう。


 あの男は必要ないと。


 俺は攻撃宣言をする機械になっていた。
 そんな悲しみを背負いながらもDPを確認し、レインさんの方を見る。
 レインさんは相変わらずの無表情。お願いします反応してください。
 貯まったDPを確認して俺は繁華街へ向かった。
 



~五色の希望~

 繁華街へ向かう途中、スタジアムにそいつはいた。
 それはそれを見つけた瞬間、後ろにいるレインさんなど忘れて全力で駆ける。
 目の前にいる特徴的なシルエットを間違えるはずはない。


 そう、MCだ。


 TF6ではどこにうろちょろしているMCを見つけて話しかけることで、色々な物が手に入る。
 例えばカードとか。
 例えばDPだとか。
 アイテムとか。
 謎の友好度UPイベントとか。
 つまりは見つけて損はないのだ。
 そう考えた瞬間、俺は駆けだしていた。
 後ろにいたレインさん? 知ったことか。
 この世界じゃMCも動いてるんだ。





「逃がして……たまるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」





 周囲の人はドン引き。
 レインさん置いてけぼり。
 俺は添加物と炭水化物、そして大いなるタンパク質を駆使して目の前を歩くMCに突撃をしかけた。
 
「おぉっとなんだなんだぁ!?」

 さすがMC、こういう時でも実況ですかい。
 目標まで後10メートル。逃がしはしない。
 俺はMCを通り過ぎ回り込むようにしてMCの前に飛び込み。












「箱を……寄越せ……」











 セリフの選択を間違えた。
 周囲の人がセキュリティを呼ぼうとしているのがすごいわかる。
 というか空気がやばい。真面目にやばい。
 すると背後から、




「……MC発見」





 と聞こえ、レインさんがいた。
 アレ、全力疾走したはずなんだけどな。
 こっちは息絶え絶えにすごい音鳴らして来たはずなんだけどな。
 なんだこの人、幽霊かなんかか。
 
「おぉっと見つかってしまったー!」

 そしてMCさんも対応はええよ。
 俺への恐怖はどうした。というかこの空気ブレイカーはなんなんだ。
 MCさんもレインさんに平然と箱渡してるし、周囲もいきなり落ち着いていつもの日常だし。
 これがゲーム補正ってやつなのか?
 いやいやいや。むしろホラーだよ。ゲーム補正こええ。
 レインさんが青い箱を選び、MCさんがこちらに振り向く。
 
「さ、さぁ好きな箱を選んでくれ!」

 若干引きつってますね。まぁ仕方ないか。
 目の前にあるのは4つの箱。その中には夢と希望が揃っている。
















 じゃあ俺はせっかくだから赤の箱を選ぶぜ!















 
 黒箱の中身は。










『モロコシーナ』
『キラートマト』
『ナチュル・マロン』
『プチトマボー』
『非常食』








 あまりに酷過ぎやしませんか。
 あれか、文字通り食えと申すか。カードを。
 凄まじい顔をしていたであろう俺をMCは遠目から見守り。
 レインさんは相変わらず俺の足下を見ていた。
 


~愛しさと切なさと~

 ルーレットを廻す。
 ルーレットを廻す。
 ルーレットを廻す。
 以下省略。

 後ろにレインさんが控える前で一心不乱にルーレットを廻し続けている。
 今なら誓える。元の世界に戻ったら俺はギャンブルには嵌らない。
 こんなことを味わっておいてギャンブラーになるのはあの顎のとんがった人達だけだ。
 そしてDPが尽きかけた時、俺の手元には『栄養ドリンク』があった。
 飲み物はいい。頼むから食べ物をください。
 そう願い願って願ったあげく、レインさんに少しDPを借りて。
 その結果。









『ラーメン』









 ラーメン……だと……?
 出てきたのは明らかにカップ麺。どういう構造か知らんが温かく、調理済みだ。
 てっきりここで『お湯』が必要とかいう理不尽を期待されているような気がしたがそんなことがない。
 つまり貴重な食料だ。
 俺が震えながらラーメンを手に取り、立ち上がると。






 ……クゥ。





 小さな音が聞こえた。
 これは。まさか。
 あれなのか。そういう展開なのか。
 恐る恐る俺が後ろへ振り向くと。





 すっごいジト目でこちらを見るレインさんがいた。






 ですよねー。俺に着いてきてるってことは歩き回った挙げ句に昼食抜きコースだもんね。
 初めて表情らしいものを見た気がする。怖い。めっちゃ怖い。
 俺は目の前に何かボードが見えた気がした。
 ピンク色のボードで選択肢は二つ。
 それは俺の死活問題にして今後の希望。








→ あげる
  あげない




  




 選んだ選択肢?
 決まってるじゃないか。
 今日は栄養ドリンクだけですよ。






~つまり俺は~
 
 カフェにて。
 案の定出てきたのは『インフェルニ茶』。
 うん、今回の様子だとわかってたさ。
 肉まんで運勢使い切ってたことくらい、わかってたさ。
 MCを追いかけたせいで力を使い果たし紅茶一杯に一杯一杯になりながら、それをできるだけ見せないようにレインさんの前に立つ。
 レインさんは持ち込んだラーメンを啜りながら紅茶を啜っている。
 似合いますか、その組み合わせは。
 
「……別に」

 さいですか。
 改めて自分のコミュ力の低さを感じながらカフェでのティータイムを続ける。
 というかコミュ力というより生きる気力が問題なんだけども。
 俺のボロボロの姿を見ながらのティータイムはどうなんだろうか?
 するとレインがおもむろにデッキを取り出す。
 そして、スッと1枚カードを取り出し俺の前へ。

「……大丈夫」









『生者の書―禁断の秘術―』









「……これで」


 俺はレインさんからアンデット扱いされているらしい。
 まぁ死に体だから否定しないけどさ……。
 俺は紅茶を飲み干しながらカードを返してレインさんに礼を言った。




 なんで礼を言ったのかはわからないけど。



 あとがき:
 更新遅れてすみませんでした。出来も悪いです。
 TFのネタを探して、その上でのこれとは酷いことだ……。
 とりあえずレインさんはこれで終わりです。


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