こうした国に比べれば、韓国は資本主義4.0に見合うものを数多く備えている。政府組織には官僚主義が残っているが、まだ凝り固まってはいない。市場は不公正な部分があっても、政府の管理を無力化させるほど肥大化してもいない。政府と市場は短期間に民主化、産業化を共に成し遂げ、現在も他国に比べれば、けん制と協力のシステムがうまく働いている方だ。政府は市場と国民に不便をもたらしたり、邪魔したりもするが、基本的には支援者の役割を果たしている。
経済の成長段階も適切な部類に入る。3-4%の潜在成長率を維持しており、出産、女性労働力、規制、労組問題などで突破口を見いだせば、潜在成長率をさらに高めることが可能だ。通貨危機、クレジットカード債務問題、世界的な金融危機の過程で、経営が不健全な企業が整理され、市場は浄化された。韓国の主力産業は今も世界的な競争力を持っている。北朝鮮という不確定要素も、成長の好材料となる可能性がある。
社会統合は今や時間の問題だ。生産の自動化、産業構造の変化により、強硬な労組も減っている。情報技術(IT)の能力と知識でリードし、外国語能力と情熱を備えた韓国の若者は、世界を舞台に仕事を探すだろう。企業人は「ノブレス・オブリージュ(財産、権力、社会的地位に対する責任)」を実践しなければ、スマートな消費者をつかむことができない。
われわれは既に、国家指導者と権力の正しい点と過ちを区別する学習を十分にしてきた。南欧諸国の失敗を目にした政治指導者の福祉政策競争は、最終的に成長と社会統合を目指す資本主義4.0へと集約され、賢い有権者はそれを実践できるリーダーを選ぶことになるだろう。