世界的な経済危機以降、芽生えている「資本主義4.0」は、他国よりも韓国に適している。勝者がさらに成功し、敗者には再起の機会を与え、「成長」と「社会統合」をともに成し遂げようというのが資本主義4.0の哲学であり、原理だ。国家と市場がいずれも主役となり、数多くの個人が幸せになれる「安定した資本主義」を目指すものだ。
資本主義4.0の核心である成長と社会統合は、互いに衝突する性格を持っている。成長は激しく冷酷な競争原理、社会統合は温かい配慮と犠牲が命だ。互いに矛盾する性格を持つ二つの車輪が円滑に回るようにすることを目指す資本主義4.0は、政府と市場のバランスと協力がカギとなるが、それを成し遂げることができる国はそれほど多くない。
貪欲さと残酷な競争が世界的な経済危機を呼んだ米国は、市場の力があまりに強すぎる。米政府は確かに強力だが、歴史上で最も強大な力を備えた市場(資本)を管理することには及び腰だ。両者の溝を埋める寄付文化では、街頭に立ち始めた米国人の不満と不安を抑え、社会統合を成し遂げるには限界がある。政府と市場が怪物のように巨大化し、硬直化した状態で、米国が新自由主義の時代から資本主義4.0の時代まで世界をリードするのは容易ではないとみられる。
世界の二大国に浮上した中国は、政府と支配勢力が絶対的な力を持つ。中国では市場が求める競争と、自律や人権に対する渇望が社会統合に亀裂を生み、成長にブレーキをかける可能性がある。日本は中央政府と地方自治体の官僚主義が固まっている。巨大な官僚集団と弱腰の国家支配構造が成長と市場統合の敵となって久しい。