2011年9月23日 21時7分 更新:9月24日 0時52分
【ニューヨーク海保真人】パレスチナ自治政府のアッバス議長は23日午前(日本時間24日未明)、ニューヨークの国連本部で潘基文(バン・キムン)事務総長と会談し、国家として国連加盟を申請した。国際社会から国家のお墨付きを得て立場を強め、イスラエルとの和平交渉の行き詰まりを打開するのが狙い。米国は安全保障理事会での拒否権行使を明言しているが、イスラエルの反発は必至。ロイター通信によると、ヨルダン川西岸でパレスチナ人1人が衝突で死亡、対立激化が懸念される。
申請は事務総長から安保理に付託され、常任理事国5カ国が拒否権を行使せず、9カ国以上が賛成すれば国連総会に加盟を勧告する。拒否権が行使されれば廃案となる。申請却下の場合、パレスチナは現在、パレスチナ解放機構(PLO)に付与されている「機構」としてのオブザーバー資格を「国家」に格上げする決議案の総会提出を検討している。
和平交渉は昨年9月、オバマ米大統領の仲介で約1年8カ月ぶりに再開したが、イスラエルの入植活動継続で暗礁に乗り上げ、業を煮やしたパレスチナは国連加盟を申請する方針を固めた。アッバス議長は申請後、国連総会で演説し、独立国家を持てない窮状を訴える。パレスチナは国連加盟193カ国中126カ国から「国家」と認める支持を得たとしており、申請で今後の交渉を優位に進める狙いがある。
アッバス議長は加盟申請のよりどころとして、オバマ大統領が昨秋の国連総会演説で和平交渉による1年以内のパレスチナ独立を求めた点を挙げている。だが、米国は交渉によって独立を達成できないままパレスチナが一方的に国連に加盟すればイスラエルが難しい立場に追い込まれることから反対し、パレスチナに申請を見送るよう説得してきた。
一方、イスラエルはパレスチナの行動を「一方的だ」と非難。申請強行なら、自治政府に代わって徴収している関税の送金を停止するなどの制裁発動を示唆しており、情勢悪化は避けられない。
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