情報収集衛星:H2Aロケットで打ち上げ成功 種子島

2011年9月23日 13時39分 更新:9月23日 19時57分

情報収集衛星を搭載し打ち上げられたH2Aロケット19号機=鹿児島県南種子町で2011年9月23日午後1時36分、本社ヘリから山下恭二撮影
情報収集衛星を搭載し打ち上げられたH2Aロケット19号機=鹿児島県南種子町で2011年9月23日午後1時36分、本社ヘリから山下恭二撮影

 三菱重工業(MHI)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は23日午後1時36分、政府の情報収集衛星「光学4号機」を搭載したH2Aロケット19号機を、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げた。約25分後、衛星を無事分離し、予定の軌道に投入したことを確認。打ち上げは成功した。03年11月、情報収集衛星を搭載した6号機が打ち上げに失敗したのを最後に、13機連続の成功。

 情報収集衛星は、北朝鮮などの軍事関連施設の監視を主任務とする事実上の偵察衛星で、03年に打ち上げが始まった。カメラで撮影する光学衛星と、夜間や曇天でも監視できるレーダー衛星の2種類を各2基配備することを目指している。光学4号機の開発・打ち上げ費用は計約450億円。

 打ち上げ後、MHIの浅田正一郎宇宙事業部長や、竹歳誠官房副長官らが現地で会見。商用衛星の打ち上げを国内外から受注する「打ち上げビジネス」の展望について浅田部長は「円高などもあって厳しい。打ち上げだけでなく衛星の運用などをパッケージとして新興国に売り込みたい」と語った。【村尾哲】

 ◇解説 災害対策強調も、費用対効果見えず

 情報収集衛星にはこれまで総額約8000億円の税金を投じ、政府も「大規模災害時の情報収集」を前面に出してその社会的役割を強調してきたが、撮影画像や運用状況などが公表されないため、費用対効果が不透明だ。

 3月の東日本大震災では、同衛星を運用する内閣官房が衛星画像を基に「被災状況推定地図」を作製、官邸や警察、国土交通省など関係省庁に配布した。

 吉井英勝衆院議員(共産)の質問主意書への回答や内閣官房によると、この地図は道路の寸断状況、津波による市街地の被災状況を図示したもので、3月末までに4回作られた。一部は行政機関を通じて民間企業などにも提供され、被害把握に役立ったとしている。

 しかし、衛星画像そのものは「安全保障上支障を及ぼす恐れがある」として非公開。東京電力福島第1原発事故の状況を伝える生々しい画像も、米国の商用衛星が撮った画像を約3600万円で購入せざるを得なかった。

 内閣官房は「専門家が分析すれば、衛星の飛行経路や時間帯が分かってしまい、都合の悪い場所をタイミングよく隠される恐れがある」と、非公開の理由を説明する。画像の解像度、一度に撮影できる範囲なども相手に知られてしまうことを警戒する。

 とはいえ、内閣官房からの情報発信はあまりに少なく、「災害時の活用」は軍事色を隠すための方便と疑われても仕方がない。目的に掲げる以上は、さらなる情報開示の方法を模索すべきだ。【野田武】

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