台風15号:首都圏を直撃 通勤・通学客に大きな影響

2011年9月21日 20時45分 更新:9月22日 1時8分

台風の影響で電車の運行が止まったため、バスに乗ろうと長い列を作る大勢の人たち=東京・渋谷駅前で2011年9月21日午後7時25分、山本晋撮影
台風の影響で電車の運行が止まったため、バスに乗ろうと長い列を作る大勢の人たち=東京・渋谷駅前で2011年9月21日午後7時25分、山本晋撮影
台風の影響による強風で倒れ、タクシーを直撃した街路樹=東京都渋谷区の道玄坂で2011年9月21日午後5時5分、山本晋撮影
台風の影響による強風で倒れ、タクシーを直撃した街路樹=東京都渋谷区の道玄坂で2011年9月21日午後5時5分、山本晋撮影

 21日午後に静岡県に上陸し首都圏を直撃した台風15号は、帰宅ラッシュの通勤・通学客に大きな影響をもたらした。大半の鉄道が夕方から運転を見合わせ、JRでは約103万人に影響。会社員らでターミナル駅はごった返した。多くの人が、帰宅困難となった東日本大震災の記憶をよみがえらせていた。

 大半の発着電車が止まったJR東京駅は、東海道新幹線の改札の入場が制限された。駅員が「天候が回復した場合でも三島から先への運転の見通しは立っておりません」と時折アナウンスしたが、改札内の休憩所やホームに停車した車内で待ち続ける乗客の姿も多く見られた。大阪へ行く予定だった東京都の30代の男性会社員は「車中泊になるかもしれないが、できれば少しでも西へ行っておきたい」と話していた。

 八重洲口などのタクシー乗り場には、電車をあきらめた人々の長蛇の列が。仕事を終えて千葉県浦安市に帰る途中だった同市の30代の男性会社員は「あと何時間かかるか。天災なので仕方ないとはいえ、うんざり」と疲れ切った様子だった。

 一方、大半の乗り入れ路線が運転を見合わせた新宿駅では、サラリーマンや学生らが改札口に殺到。駅員に復旧見込みを問い合わせたり、携帯電話で自宅に連絡したりする人でごった返した。東日本大震災の日も新宿駅で一夜を明かした東京都北区の会社員、荒川知広さん(26)は「帰宅できなかった悪夢がよみがえりました。こんな突風は初めてで怖い」とびっしょりぬれたスーツ姿で話した。

 東京都は21日夜、JR東日本など17の鉄道事業者に▽利用者の保護や情報提供に万全を期す▽再開時は利用者が駅に滞留しないよう各社で連携する--ことを要望した。東日本大震災で帰宅困難者対策が問題となった反省から初めて実施した。

 21日午後以降、JR東日本の各線や私鉄各線、地下鉄が次々と運転を見合わせた。西武有楽町線など一部の路線は、同日の運転を取りやめた。

 神奈川県座間市の小田急小田原線では午後3時53分ごろ、町田発海老名行き下り急行が、倒木と接触して停車。乗客約500人が約3時間、車内に閉じ込められた。

 一方、高速道路では東名高速道路の大井松田インターチェンジ(IC)-沼津IC間、清水IC-富士IC間が通行止めとなったほか、東北、常磐、中央の各自動車道も一部通行止めとなった。

 空の便は、全日空が国内線263便、国際線2便が欠航し3万3900人に影響。日本航空は国内線246便、国際線10便が欠航し、3万2230人に影響が出た。

 成田空港では、約140便が欠航し、22日午前0時を過ぎても帰宅できない旅客1000人以上がターミナルビルなど空港内に滞留。航空各社は都心に向かうチャーターバスを用意したほか、成田国際空港会社は、帰宅をあきらめた旅客のために、毛布や飲料水を配布するなど対応に追われた。

 東京電力管内では21日午後10時現在、神奈川県11万7143戸、東京都6634戸など1都7県で計21万6865戸が停電した。

 横浜市西区の一部地域は午後5時過ぎから停電。同区藤棚町1の藤棚商店街では、中華料理店を営む遠藤龍一さん(45)が「急に停電になり、冷蔵庫も使えず食材が傷んでしまう」と嘆いた。

 中部電力によると、午後8時現在、5県で計21万1430戸が停電。東北電力によると午後10時現在、福島県で5189戸など5県で計1万442戸が停電している。

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