概算要求基準:日本再生枠7000億円 一般会計の1%

2011年9月20日 20時58分 更新:9月21日 0時36分

月例経済報告等に関する関係閣僚会議に臨む野田佳彦首相(中央)と古川元久経済財政相(左)、藤村修官房長官=首相官邸で2011年9月20日、藤井太郎撮影
月例経済報告等に関する関係閣僚会議に臨む野田佳彦首相(中央)と古川元久経済財政相(左)、藤村修官房長官=首相官邸で2011年9月20日、藤井太郎撮影

 政府は20日、12年度予算の各省庁の要求ルールである概算要求基準を閣議決定した。各省庁予算の一律削減などで捻出した財源を、成長分野への重点投資に充てるなど、財政健全化と予算の組み替えの両立を狙ったものだ。東日本大震災の復旧・復興経費は「別枠化」し、青天井の予算要求を認めメリハリを付けた。ただ、省庁横断で予算を組み替える「日本再生重点化措置」の枠は、一般会計の1%に満たない7000億円にとどまり、野田内閣の独自性を発揮するにはほど遠い規模となった。【坂井隆之】

 「だんだん予算編成は難しくなってきているが、それを乗り越え国民のため効果のある予算を作りたい」。野田佳彦首相は20日の予算編成閣僚委員会で、財源難の中での編成の困難さに言及し、改めて閣僚に予算効率化などの努力を求めた。

 今回の概算要求基準では、各省庁が人件費などを除いた政策的経費について、要求時に前年度予算比で一律1割削減。さらに子ども手当の財源捻出のための所得税増税に伴う地方の増収分を、地方向けの補助金から差し引くことなどで、総額2兆円近い財源を確保する。これから高齢化に伴う社会保障費の自然増(1.2兆円)を差し引いた約7000億円を、成長分野や人材育成などに重点的に振り向ける構成だ。

 ただ、前年度は人件費や義務的経費も含めて1割削減を求め2.4兆円を捻出したのに対し、今回は両経費を外したため、1割削減で捻出できる額は半減。このため重点化の枠も、前年度の「1兆円超」から大幅減額となった。民主党は09年の衆院選マニフェスト(政権公約)で「総予算を全面組み替えする」と掲げたが、3回目の予算編成で限界を露呈した形だ。

 また、重点化枠の検討については「政府・与党会議」を設置して与党の意見を反映させる仕組みを導入。重点化の項目もエネルギー、宇宙開発から教育、沖縄対策など幅が広く、総花的な配分に終われば首相主導でメリハリの利いた予算編成を行う趣旨から逸脱しかねない。

 一方、東日本大震災の復旧・復興経費やB型肝炎訴訟に関わる給付費は予算の上限を設けなかった。財務省は復興関連の予算要求に対しては「国の復興基本方針や、被災自治体の復興計画などに照らして、関係あるものだけしか認めない」と強調するが、被災地以外の公共施設の耐震補強や省エネ普及支援、雇用対策など、線引きが難しい事業も多い。

 「復興対策」が歳出上限の抜け道となれば、財政健全化目標が形骸化するばかりか、「13兆円」と見積もる復旧・復興経費全体が膨張しかねない。財源確保の臨時増税論議の難航も予想され、財政規律維持に向けた姿勢が問われそうだ。

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