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2011.10.7
映画「チェルノブイリ・ハート」が盛岡市で上映されている。チェルノブイリ原発事故の「その後」。題名は、子どもたちに現れた重度の心臓障害を意味する
▼心臓に限らない。甲状腺がんの多発、知的障害、手足の異常、水頭症で頭が異様に膨らんだ子どもたち。乳児死亡率も3倍に増えた。カメラは四半世紀前に起きた原発事故で、放射能に汚染された地域の姿をとらえていく
▼その映像が3年前にベトナムで見た光景とオーバーラップした。ホーチミン市のツーズー病院を訪ねたときのことだ。そこにも映画と同じように、悲しみを背負って生まれてきた子どもたちがいた。障害は次の世代まで及ぶ
▼チェルノブイリではまき散らされた放射性物質、ベトナムでは戦争中に米軍が大量に散布した枯れ葉剤が、人の遺伝子を傷つけた可能性が大きい。共通するのは、一番の被害者が生まれてくる小さな命だということだ
▼戦争は最大の暴力と言われる。原発事故も、多くの命を奪い、危険にさらすという理不尽さでは変わらない。映画では「放射能という名の暴力」と表現していた。そして、再びその暴力が東京電力福島原発で起きてしまった
▼フクシマを第二のチェルノブイリにしてはいけない。このドキュメンタリー映画が訴えるメッセージは限りなく重い。
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