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シリーズ 原発の深層 第3部 差別と抑圧超えて③ 労組をパートナーに
「しんぶん赤旗」 2011.11.01 日刊紙 1面

 東京電力の専制的な職場支配と、無謀な原発推進に労働組合はどうしていたのか―。

 東京電力労働組合(1951年発足)の前身となったのは、全国単一組織の日本電気産業労働組合(電産)から分裂し結成された関東配電労働組合です。

 電産は、戦後のインフレ時に生活給に基づく賃金体系を勝ちとるなど、当時の労働運動の先頭に立っていました。しかし、レッドパージ(50年)、9電力体制への分断(51年)を受けて後退を余儀なくされます。

  たたかい排除

 当初、経営合理化に反対していた東電労組は、60年に「経営対策活動を充実」するとして協力方針へ転換。「電源開発の促進」「コスト削減」を掲げる労資協調路線へ踏み出しました。

 「運命共同体としての労使」「人間尊重の経営」を掲げたのは、弟4代社長の木川田一隆氏。労務部長として電産と対決した人物です。

 実態は「よきパートナー」を育成するための、労組への介入でした。役員選挙では、特定候捕者への投票工作などあらゆる手段を使って、日本共産党員をはじめ、たたかう労働者を排除しました。

 66年に労組は、旧民社党支持を決定。国政に電力業界の利益を代弁する議員を、一党締めつけと「ぐるみ選挙」で連綿と送り出してきました。

 「スリーマイル島のこの事故が、日本の原子力の安全にして正しい開発に支障があってはならぬ」-。

 スリーマイル島原発事故〔79年)直接にこう発言し、安全性を問うどころか、政府に原発推進をあおったのは東電労組出身の中村利次議員(旧民社党)でした(参院科学技術振興対策特別委員会)。

 労組は、組合員に旧民社党(現在は民主党)支持を押しつける一方で、会社の思想差別を提訴してたたかう組合員のビラ配布を「特定政党の組織介入による反組織行為」とし、抑圧を一層強めました。

  事故のたびに

 労組は、過酷事故のたびに原発推進の会社を後押ししてきました。

 スリーマイル島事故後には関係業界の労組とともに「見解」を発表。「日本の原子炉には、(略)起こり得ないという実感を持たざるを得ない。不幸な出来事の中での満足感がある」とし、会社を逆に叱咤激励しました。

 チェルノブイリ原発事故(86年)後も「自身をもって!! 原子力/反対運動恐れるな」と機関紙で訴えました。

 福島原発事故後の、今年5月の大会で掲げられた運動方針では「東電労組として原子力発電の必要性や推進していく考えに変わりはありません」と、原発推進の一翼を担ってきたとの反省はみられません。

(つづく)





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シリーズ 原発の深層 第3部 差別と抑圧超えて② 警察・公安と一体
「しんぶん赤旗」 2011.10.31 日刊紙 1面 


 東京電力による差別と抑圧は、日本共産党員と支持者らの私生活にまでおよび、結婚式さえ舞台になりました。

 東電に思想差別撤廃を求めた裁判の元群馬原告である飯田至弘さん(71)は、1970年、結婚式の案内状を21人の社員に発送。会社は出席に圧力をかけ、返事が届いたのはわずか5人でした。

 出席の返事がきた同期の友人も、式前日に「やはり出られない。会費はお祝いにして」と申し訳なさそうに電話してきました。

 職場の友情を引き裂く会社を「今でも許せない。彼は裁判のときも会社側のあら探し陳述書を断りつづけてくれた」と飯田さんは振り返ります。

  リストアップ

 こうした監視と抑圧は、警察・公安と一体となって行われました。

 66年の9電力労務担当者会議で東電の担当者は「公安調査庁、警察関係と連絡を密にし」党員をリストアップしていると報告。実際、治安当局からの情報と日頃のスパイ活動をもとに、全社的に「ブラックリスト」が作成されました。



 68年に群馬支店で行われた管理者研修会では、群馬地方公安調査局長が講師となり、民青同盟員の割り出し方法などについて説明しています。

 監視と差別は地域住民にもおよびました。

 東電は70年代以降、石油危機後の電気料金値上げと、電源立地の行き詰まりに直面。顧客への相談活動や地域ボランティアへの参加など、「サービス活動」を推進します。

 しかし、その裏では、原発や料金値上げに反対する住民の動向を、個人名まで挙げて会議で報告させていました。末端の営業窓口や料金係が吸い上げた顧客情報が本店にあがる仕組みです。

  各原発に1人

 「住民にまでこんなことをやっていたのか」。元東京原告の稲富勉さん(67)が地域の原発学習会で事実を語ると、参加者からは驚きの声があがるといいます。

 「原発反対の人たちは見学ツアーに連れて行かなかった」。こう証言するのは元群馬原告で、営業課勤務だった兼松進さん(71)。

 80年代後半以降、東電は「安全神話」宣伝のために、福島と柏崎刈羽原発への見学バスツアーを実施しました。

 町内会や婦人会などを対象としていたものの「原発反対の住民は“予算の都合で調整がつかない”などと断っていた」といいます。

 公安・警察との癒着は今も変わりません。

 警察から東電への天下りは、今年8月現在で31人。3月末までは各原発に1人の警察OBが勤務していました。東電は「渉外・警備・料金徴収に関する助言を得ている」としています。

 (つづく)




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シリーズ原発の深層 第3部 差別と抑圧超えて① 専制支配で原発推進
「しんぶん赤旗」 2011.10.30 日刊紙 1面 


 「組合役員の選出時期をえらび(共産)党員、民青同をしりぞけ良識派の育成選出をはかる」「容共左派分子を…ABCランクに区分けし、諸対策を講じてゆく」。1960年代中頃の東京電力の労務対策の内部文書です。

 内部文書には、「悪影響を及ぼすと考えられた者については…配置転換をし」「如何に仕事に熱心でも…昇給時の査定額をゼロとする」など、憲法無視の不当な攻撃が列挙されていました。

 東電は常務会などでこうした方針を決め、日本共産党員や支持者らを監視・抑圧する専制支配を推進。利潤優先の経営や労働強化などに反対する労働者のたたかいを抑え込むのが狙いで、原発推進で一層強まります。

  あらゆる差別

 電力職場では戦後、全国単一の日本電気産業労働組合(電産)のたたかいが高揚。50年のレッドパージで多くの共産党員らが職場から追放され、企業別組合ができてからも、国民本位の電力事業と労働者の生活向上を求める運動が広がっていたからです。

 神奈川県内の事業所で働いた原信夫さん(65)も差別を受けた一人。労組・青年部の集会などで積極的に発言するなどの活動していたため、賃金差別、「職場八分」などあらゆる差別を受けました。

 「フロア全体で行う飲み会にさえ誘われなかった。会社の意のままになる労働者をつくるための“見せしめ”だったのです」 鶴見火力発電所(同県)などで働いた有坂直幸さん(70)も、入社2年目でただ一人マイナス査定を受けました。「社宅入居の申請書も受け付けない。夜食時も仲間外れ。土産も食べてくれなかった。全部会社が仕向けたことです。転向を強要された仲間もいました」と話します。

  レッテル貼る

 攻撃は共産党員にとどまりません。69年当時29歳で本店勤務だった谷口栄子さんは、主宰する同人誌を問題視され、支社への異動を強いられました。

 「女子社員で童話や随想を書いていただけなのに、東電は社員が自発的に会や雑誌をつくること自体を問題にしたんです。支社ではアカだとレッテルが貼られていました」 74年2月、山梨支店塩山営業所で働く渡辺令子さんも突然、上司に呼ばれ、「あなたは共産党員か。共産党員でなければ、書面に書いて提出せよ」と強要されました。

 渡辺さんは、熱心なクリスチャンで、平和問題の署名を集めていたことから、共産党員と判断されたのです。

 「心の中まで会社の言いなりにされる」と慄然とした渡辺さんは、甲府地裁に提訴。76年には、東電の各職場に働く日本共産党員・支持者142人が、1都5県の地裁に提訴し、会社に対する差別撤廃の裁判に立ち上がりました。(91年に29人が2次提訴) ◇ 無謀な原発推進路線の背景には、各電力会社や研究機関で、原発の危険性を考える人々を差別し、批判を封じる“専制体制”がありました。その実態を追います。

 (つづく)



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TPP 日本を米国に売り渡すのか④/アジアの活力取り込む?
「しんぶん赤旗」 2011.11.03 日刊紙 4面


 TPP推進派は「アジアの活力を取り込む」「工業製品の輸出競争力が強まる」ともいいます。これも、内外の経済情勢やアメリカ政府の戦略などをみない議論です。

  進出の足がかり

 TPP交渉にはアジアの主要国である中国、韓国、インドネシア、タイなどは参加していません。しかも、アジアで参加している4カ国とは、日本はすでにFTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)を結び、それらの国の工業製品の関税は撤廃されています。

 したがって、日本にとってTPP参加の実質的な意味あいは、経済規模からみても、FTA未締結のアメリカやオーストラリアとの全面的な自由化にほかなりません。

 仮に、日本が参加して10カ国の枠組みになれば、日米だけでGDP(国内総生産)の9割を超えることになります。「アジアの活力を取り込む」どころか、実質的には日米間のFTAになり、日本とアメリカとの経済の一体化が進むだけです。

 では、そのアメリカに輸出拡大は期待できるのでしょうか。

 アメリカ政府がTPPに乗り出したのは今世紀に入り、アジア諸国がアメリカを除いた独白の枠組みで経済統合を始めたことに危機感を抱き、アジア進出への足がかりを得るためでした。
 
  狙いは日本参加

 オバマ大統領は昨年来日した際、「急速に発展しているこの市場で販売の機会を失いたくない。そのため、TPPを追求している」とその狙いを率直に語り、米通商代表部のカーク代表も昨年5月、各国の商慣習、競争政策、労働など幅広い分野を対象にするTPPを「米国FTAのモデル」と持ち上げました。TPPで各国の制度をアメリカ企業に都合のいいように変えようというのです。

 オバマ政権は深刻な経済危機からの活路を輸出拡大に求め、5年間で輸出倍増の「戦略」を打ち出しています。その大きなターゲットにしているのが日本です。アメリカにとっては市場規模の大きい日本がTPPに参加してこそ、その実現に近づくというわけです。

 さらにオバマ政権は経常収支の赤字の削減のために輸入の抑制を狙い、為替をめぐってもドル安を容認、誘導しています。円の対ドルレートは3年前と比べ20%から30%も高くなり、史上最高値を更新しています。一方、アメリカの工業製品の関税はすでに低く、乗用車では2.5%、電気・電子機器では1.7%にすぎません。TPP参加でこれら2%前後の工業製品の関税がゼロになったとしても、今日のような異常円高のもとでは、その効果など簡単に吹き飛んでしまうでしょう。 

(つづく)





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TPP 日本を米国に売り渡すのか③/「国のかたち」が変わる
「しんぶん赤旗」 2011.11.01 日刊紙 4面


 TPPと農業再生の「両立」論が、いっそう重大なのは、議論を農業問題にしぼり込むことでTPP全体の危険性や本質から目をそらそうとしていることです。

  そ上に次つぎと

 先に紹介したように交渉は24分野で行われ、貿易拡大一辺倒の立場から暮らしの安全や社会の維持に欠かせない独自の制度や仕組みの撤廃・見直しも対象になっています。

 そこでは、金融や保険、医療などのサービス分野、公共事業などの外国企業への開放も迫られ、アメリカが自国の大企業の利益を確保するために日本にたびたび迫ってきた規制緩和、市場開放の多くが交渉のそ上にのぼるのは必至でしょう。例えば、BSE(牛海綿状脳症)対策のずさんな米国産牛肉の輸入制限や残留農薬基準の見直しなど食の安全にかかわる規制の緩和です。公共事業の発注では外国企業への「平等」な扱いが求められ、地場産業への優先は困難になります。農協や生協などの自主共済事業もアメリカの保険会社の参入を阻んでいるとして廃止になりかねません。

 医療の分野にも市場原理が導入され、混合診療の全面解禁で保険のきかない医療が拡大して公的医療制度が危うくなります。医療も金次第というアメリカ型の社会にされてしまいます。

 このように、TPPは国民生活のあらゆる分野に影響が及び、社会のあり方、「国のかたち」を根本から変えてしまうものです。

  政府の資料でも

 いま全国で広がるTPP反対の運動に農林漁業者とともに消費者、医療関係者、建設業者、自治体関係者など幅広い階層が参加してきているのは、TPPにたいするそうした認識や疑問、不安が深まっている表れです。

 10月17日、政府自身も24分野の交渉状況をまとめた資料を公表しましたが、そこでも食の安全や医療など多くの分野で国民の不安を裏付ける内容が指摘されています。

 ところが民主党の前原誠司政調会長は、TPP反対論を「事実にもとづかない」「TPPお化けだ」などと攻撃し、政府のTPP問答集でも「医療保険制度は議論になっていない」などと医師会などに広がる医療崩壊論を内血事に躍起です。

 「国のかたち」を変えてしまう大問題を関係者の指摘や批判にこたえず、情報を隠し、さしたる検討もなく強行する―。野田内閣は、「不都合な事実」に目をつぶり、「安全神話」をふりまいて日本社会に取り返しのつかない事態を招いた原発事故への道と同じ誤りを、繰り返そうというのでしょうか。

(つづく)

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<参照>

TPP 日本を米国に売り渡すのか①/通用しない「途中離脱」【しんぶん赤旗】

TPP 日本を米国に売り渡すのか②/農業再生と両立しない【しんぶん赤旗】




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TPP 日本を米国に売り渡すのか②/農業再生と両立しない
「しんぶん赤旗」 2011.10.30 日刊紙 4面



 「農業再生と高いレベルの経済連携の両立を図る」―野田佳彦首相はさかんに強調します。財界や大手マスコミも、TPP参加の障害は競争力のない農林漁業にあり、その「対策」さえとれば問題がないかのようにいいます。

  二重のごまかし

 ここには、二重のごまかしがあります。

 第一に、わが国農業の再生は急務であり、そのために根本的な対策が必要なのは明白ですが、どんな「対策」を講じようとも、関税ゼロと農業の再生は絶対に両立しない、ということです。

 山間地が多く耕地が狭いわが国と大平原に広がるアメリカやオーストラリアという、農業の土台になる国土や自然条件の違いは、農家や関係者の努力、農業政策によっては克服できないものです。

 加えて、農業の「国際競争力」は、各国の物価や所得水準などにも大きく左右され、国内で多少の規模拡大やコスト低下に努めても、最近のように異常円高がすすむもとでは、その効果は簡単に吹き飛んでしまうでしょう。

 10月初旬、北海道農業を視察した日本経団連の米倉弘昌会長は、その大規模化や多角化の取り組みに「感激した。日本農業をリードしてもらえる」と持ち上げたうえで、TPP参加を訴えたといいます。それにたいし、北海道農協中央会の会長は、「高関税に守られてきたのが北海道農業。もし関税が撤廃されたらと心配している」と応じています。

 政府は25日、水田経営の規模を5年後には20㌶~30㌶に拡大することなどを柱とする基本方針・行動計画を発表しましたが、すでに平均でその規模に達している北海道においてすら、関税ゼロでは農業は壊滅するとして、経済界を含めたオール北海道でTPP反対の声を上げています。規模拡大すればアメリカ産などと関税ゼロでも競争できるなどというのは幻想にすぎません。

  成立の条件ない

 まして北海道以外では、20㌶を超える経営などごく一部の地域でしか成立の条件はないでしょう。そんな机上プランをまとめたことをもって、関税ゼロのTPPに踏み出すことは、日本農業を壊滅への道に放り出すものにほかなりません。

 もともと、日本農業が今日の危機に陥ったのは、歴代政府がアメリカに追従し、農産物輸入を次々に自由化し、わが国の農業を外国産と競合しない分野に追い込んできたからです。農業の再生を真剣に考えすというのなら、これ以上の自由化は中止し、農産物の関税など国境措置を維持・強化すべきです。

(つづく)





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TPP 日本を米国に売り渡すのか①/通用しない「途中離脱」
「しんぶん赤旗」 2011.10.29 日刊紙 4面

 野田内閣は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)を前に環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を決定しようとしています。農林漁業を土台からこわし、「国のかたち」を変えてしまう大問題を、十分な議論なしに強行する、というのです。そのために国民をあざむく議論をふりまいています。 (日本共産党国民運動委員会 橋本正一)

 「まず交渉に参加してダメなら途中で降りればいい」―TPP推進派は主調します。しかしこれは、TPPの実態や交渉の現実をみれば成り立たない議論です。

  関税撤廃を原則

 TPPは太平洋を囲む国々が参加して「自由貿易」を広げ、経済連携を深めようという協定です。当初、4カ国(*)でしたが、その後、アメリカなど5カ国(**)が参加を表明し、昨年から9カ国による拡大交渉が行われています。


 (*)シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ
 (**)アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシア


 その最大の特徴は、例外のない関税撤廃を原則にしていることです。わが国がこれまで締結してきた自由貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA)が、米など重要な農産品について例外扱いしてきているのとは決定的に違います。

 また、交渉対象が、モノの貿易だけではなく金融や保険、医療、通信、建設など広範な分野(24分野)にわたっているのも大きな特徴です。そこでは、参加国間での企業活動や資本・サービス・ヒトの移動の障害となる各国独自の制度や仕組みが「非関税障壁」とされ、その撤廃・緩和が交渉の目標とされているのです。そして重大なのは、この分野で圧倒的な力を持つアメリカの利害や思惑が色濃く反映していることです。

 日本政府が今年1月にまとめた報告書によれば、交渉に新たに参加するためには、すべての交渉国の同意が必要とされています。すなわち、例外ない関税撤廃の原則をのまなければ参加は認められないのです。実際、乳製品の例外扱いを求めたカナダは交渉そのものへの参加を拒否されています。

  「米議会の同意」

 さらに1月の報告書には、アメリカに関しては「議会の同意が必要」とも明記されています。そのアメリカは、自国の産品の輸出や大企業の参入を阻んでいる各国の「非関税障壁」を列挙し、その規制緩和を執拗(しっよう)に迫ってきています。日本がTPPに参加するということは、アメリカのそうした市場開放、規制緩和の要求を、入り口の段階で一方的に認めることにほかなりません。

 「遅れたら不利になる」と推進派はいいますが、不利な条件をのまなければ参加させてもらえないのが実態です。

 TPP交渉に参加したら、途中の離脱などありえないことは、推進者である日本経団連の米倉弘昌会長も認めています。

(つづく)







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<いま言いたい>米と財界の「ご用聞き」か/ソフトウエア会社経営者 ビル・トッテンさん
「しんぶん赤旗」 2011.10.24 日刊紙 1面

 破綻したアメリカ型ルールを押し付ける環太平洋連携協定(TPP)について、政府は「日本にプラスになる」と言っていますが本当でしょうか。

 オバマ米大統領は2月に行った経済報告でも、TPPによって貿易障壁を取り除き「アジアの市場を開放することでアメリカの輸出拡大を目指すと明確に述べています。それはアメリカ企業が日本により参入しやすくすることです。アメリカの思惑通りの基準を日本が受け入れれば、農業だけでなく医寮市場の開放、そして国民皆保険制度の崩壊へとつながる可能性もあります。

 日本の農業が打撃を受ければ、食料自給率も低下します。これ以上、食料を海外に頼ることができるでしょうか。世界の食料事情はひっ迫しています。干ばつなど天候の影響もあり、どの国も自国の食料の確保でせいいっぱいです。日本人を食べさせる余裕はありません。TPPへの参加は日本の農家をアメリカ政府から多額の補助金を受けている大型農業と競争させることです。東日本大震災で東北地方を中心に農家が大きな被害を受けましたが、生き残った農家も打撃をこうむることは目に見えています。

  目先の利益だけ

 TPPで誰が利益を得るのか。それは一部の多国籍企業や富裕層だけです。1%の利益のために99%が犠牲にされる、といってもいい。アメリカのウォール街では抗議のデモが起きています。

 1%の存在である彼らにとって、自分たちの目先の利益しか眼中にありません。それでも、日本の民主党政権はなぜ、TPPに突っ走ろうとしているのか。

 その根っこにはアメリカと財界・経団連いいなりの政治があります。自民党も民主党も同じ。政治献金をもらっている大企業に逆らうことはできないからです。日本の大マスコミもTPPの問題点はほとんど報道しません。国民は実態を知らされていません。マスコミにとっては巨大輸出企業の広告の方が大事ですからね。

  気前のいい日本

 日本の歴代政権はアメリカにモノが言えない。TPPの問題でもアメリカいいなりです。日本はアメリカに対して何か要求したことはありますか。日本の首相はアメリカと財界の「ご用聞き」なのかと言いたい。逆にアメリカ側から見れば日本は何を要求してもすぐに受け入れてくれる国です。これほど取り放題で気前のいい国はほかにないでしょう。

 日本の権力者がアメリカにへつらう姿勢を、アメリカの知人は軽蔑の目で見ていました。日本がますますアメリカに付き従う国になっていいのでしょうか。

   聞き手 矢守一英
   写 真 橋爪拓治





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「凍りの掌」
シベリア抑留 記憶の底の青春
http://www.geocities.jp/yukinabe01/siberia/siberia.htm





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<ひと>シベリア抑留を漫画本化/おざわ ゆきさん(46)
「しんぶん赤旗」 2011.10.18 日刊紙 3面

 父・小沢昌一さん(85)のシベリア抑留体験を3冊の漫画本にまとめました。

 タイトルは『凍りの』。2008年から自費出版し3年かけて完結。9月末には「原画展」も開きました。

 漫画では、学徒動員で召集され旧「満州」(中国東北部)に渡った父が、終戦後、旧ソ連軍によって極寒のシベリア収容所に連行され、過酷な強制労働で多くの仲間を失い、1949年末に帰国するまでの苛烈な体験を描いています。

 「地の果て、世の果て、そんな生易しいものじゃない」―父が語った言葉を作品中に深く刻みました。

 「とくに若い世代の方たちに戦争の現実、シベリア抑留という理不尽な事実を知ってもらいたい。次の時代への懸け橋になれればうれしいですね」

 父親からシベリア抑留の体験を初めて聞いたのは高校時代です。「家族の戦争体験」のリポートを出すという学校の宿題でした。

 「いつの日か作品に」との思いを心に抱きながら、プロの漫画家となって二十数年。シベリア抑留体験の油絵展を見て「いま描くしかない」と決意し、自宅のある東京都江戸川区から名古屋の実家に通って記憶を掘り起こしました。証言集、資料も読み込みました。

 「後世に伝える記録という意味もあるので、できる限り、歴史的事実をふまえて表現したつもりです」

 父の感想は「よく描けている」。その一言がなによりの褒美ほうびです。

 文・写真 寺田 忠生

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<参照>

「凍りの掌」原画展
http://www.geocities.jp/yukinabe01/




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<シリーズ 原発の深層>第2部 米戦略のもとで⑪/破綻した「神話」
「しんぶん赤旗」 2011.10.12 日刊紙 2面


 「原子炉1基あたりの大規模事故は、ヤンキースタジアムに隕石(いんせき)が落ちるのと同じ確率」「原子力は航空機や水力発電より1000~1万倍安全」…。

  本質的に危険

 原子力事故の確率はきわめて低く、事実上起こらない―。日本政府や電力会社も最近まで口にしていた「確率的安全評価」。これも、米国発です。

 1975年10月、米原子力規制委員会(NRC)が出した報告書「原子炉安全性の研究」(WASH1400)で、同理論が確立されたと言われます。

 報告をまとめたマサチューセッツ工科大のノーマン・ラスムッセン教授は76年5月25日、東京での講演で、「われわれは、燃料溶融の確率を2万分の1としたが、これは200原子炉年においてこのような事故がなかったという経験に基づいている」と誇りました。

 しかし、その3年後になる79年3月、スリーマイル島原発で炉心溶融(メルトダウン)が起こりました。

 「公衆が障害を受けた証拠のないまま運転が長く続いたため、原発は安全だという信念は、確信にまで高められた」。カーター大統領の調査委員会報告書はこう述べ、「原発は本質的に危険である」と指摘。“安全神話”と決別しました。

 “安全神話”には、炉心溶融が起こっても、4重、5重の防護壁に守られているため、放射能が外に漏れ出すことはないという「多重防護」論もあります。これも、チェルノブイリと福島の事故で完全に破たんしました。

  「空母は安全」

 しかし、「確率的安全評価」と「多重防護」論は、今なお日本国民に押しつけられています。横須賀基地(神奈川県)に米原子力空母ジョージ・ワシントンを配備するにあたり、米側が再三、持ち出してきているのです。

 「合衆国海軍の原子炉は、1億4500万カイリ以上にわたり原子力による安全航行を行うという傑出した記録を有する(だから安全)」「少なくとも4重の防護壁が放射能を原子力軍艦の中にとどめる」…。

 福島第1原発事故から間もない今年4月18日、米政府が日本政府に提供した、原子力空母の「安全性」に関する「説明」です。

 木で鼻をくくったような「説明」に納得する住民は多くありません。「三浦半島を第2のフクシマにするな」―。原子力空母ノーの声は、日増しに高まっています。

    ◆

 日本の原発は、アイゼンハワー政権の核戦略の一環としてもたらされました。これに日米の財界が乗っかり、異論を徹底的に排除することで、今日の体制ができあがりました。

 原発からの脱却は、米国と財界支配の下にある安全保障・エネルギー政策の根本的な変革につながります。    (おわり)

 (この連載は榎本好孝、竹下岳が担当しました)






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