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【私説・論説室から】

米軍に振り回される日本

 小学二年生の夏休み、北海道千歳市のいとこの家に遊びに行き、米兵の子供たちと友だちになった。近くの米陸軍キャンプに住んでいるという。翌年また行くと、子供たちは家族ごと帰国していなくなっていた。

 北海道に駐留していた米陸軍は徐々に撤退し、戦後三十年目にはゼロになった。米ソ冷戦のただ中、ソ連と向き合う北海道から消えたのだ。陸上自衛隊が師団十五個のうち、最強といわれる機甲師団を含む四個を集中して置いていたにもかかわらず、である。

 沖縄の米海兵隊は「抑止力」といわれるが、反基地闘争が激化した一九五〇年代、岐阜、山梨から米軍統治下の沖縄へ避難するように移転したにすぎない。北海道の米陸軍をみても、部隊移転は米国の都合で行われる。移転先で「抑止力」と呼ぶのは、後付けの理由というほかない。

 二〇〇六年に日米合意した米軍再編で、再び米陸軍が日本に来ることになった。米側の希望で神奈川県のキャンプ座間に第一軍団を改編した作戦司令部が置かれるはずだったが、来たのは前方司令部という名の七十人の小所帯だけ。

 都内にある陸自中央即応集団をキャンプ座間に移転させるのは、第一軍団と同居することが大前提のはずである。第一軍団は来ないのに予定通り、一二年度の移転完了を目指し、現地で自衛隊官舎などの建設工事が進む。税金の無駄遣いではないのか。 (半田滋)

 

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