民主党税制調査会(藤井裕久会長)は18日、総会を開き、12年度税制改正について政府税調に提出する重点要望案を示した。焦点の自動車関連税の減税では、自動車取得税と自動車重量税について「廃止、抜本的な見直しを強く求める」と明記した。ただ、減収分を穴埋めする代替財源確保のめどが立たず、財務省などは反対。消費税増税を控えて議論の時間は少なく、大型の増減税は13年度以降に先送りされる可能性がある。
要望案ではこのほか、▽住宅購入を促すための贈与税の特例減税拡充▽11年度税制改正法案に盛り込まれ未成立の地球温暖化対策税の創設▽沖縄振興のための特例措置▽研究開発や設備投資を促進する減税の延長--などを盛り込んだ。党内の意見を踏まえ、来週中に重点要望をまとめる。政府税調は12月上旬にも12年度税制改正大綱を決める見通しだ。このうち自動車2税の減税は経済産業省や自動車メーカーが求めており、国・地方合わせて9000億円超の大型減税だ。党税調は当初、「代替財源確保のめどがついていない」として13年度以降に先送りする方針だったが、景気への配慮などから即時廃止を求める党内の声が強まり、要望に盛り込む方針に転じた。
しかし、財政難の財務省や地方が反発するのは必至。このため要望案では「見直しの際には地方財政へしっかりとした配慮を行う」とし、地方の代替財源確保を前提とすることを示唆した。政府税調では、代替財源のあてがない12年度改正では見送る方向で議論が進みそうで、その場合は来年4月に打ち切る予定のエコカー減税延長で対応する見通しだ。
一方、民主党マニフェストでも掲げた配偶者控除の見直し▽健康増進のためのたばこ税引き上げ▽医師や病院などの税制優遇措置の見直し--などの増税の検討は13年度以降に先送りした。11年度税制改正法案に盛り込まれながら、野党の反対で未成立の相続税増税などの扱いも宙に浮いている。
背景には、消費増税論議を控え、議論が紛糾しそうな増減税案には手を付けたくない党内事情がある。政府・与党は年内に、消費税を段階的に引き上げる時期や増税幅などを決める方針だが、党内の慎重論は根強く、「消費税だけで大変」(党税調幹部)だ。11年度税制改正法案の増税メニューも野党の反対で実現しておらず、「同じ轍(てつ)を踏みたくない」(政府税調幹部)との思惑も働いた。このため12年度は既存の特例減税の延長など小粒改正にとどまる見方が強い。【小倉祥徳、赤間清広】
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◆12年度税制改正で求める事項
・自動車取得税(地方税)、自動車重量税(国税)の廃止・見直し
・住宅購入時の減税措置拡充(住宅購入時に、親などから資金援助を受けた際の贈与税非課税枠を現行1000万円から1500万円に拡充)
・地球温暖化対策税の創設(11年度税制改正案からの継続)
・研究開発、投資促進減税の継続
◆13年度以降に検討?
・開業医や小規模な医療法人を対象にした税制優遇措置の廃止・縮小
・相続税の最高税率引き上げ、控除縮小
・所得税の配偶者控除廃止
・たばこ税引き上げ
毎日新聞 2011年11月19日 東京朝刊
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