元社長のマイケル・ウッドフォード氏(51)の告発で不透明な買収資金問題が指摘されているオリンパス。混乱の責任を問われて辞任した菊川剛・前会長兼社長(70)が退任直前、社員にメールで送ったとされる“反撃文書”を本紙が入手した。文書では「邪魔だと感じた人物を次々と排除していく」「独断専横」と猛批判。騒動の火消しに躍起な様子が伝わってくる。
都内のホテルで27日、緊急会見を開いたオリンパス。高山修一社長(61)らが、英医療機器メーカー、ジャイラス社の買収をめぐって投資助言会社に支払った約660億円の巨額報酬について、「違法もしくは不正な点があった事実はない」と釈明し、改めて取引の正当性を強調した。
だが、証券取引等監視委員会が調査を開始するなど問題は収束するどころかますます拡大している。
混乱が続くオリンパス社内ではここ数日間、問題発覚のきっかけをつくった“仇敵”のネガティブキャンペーンが盛んに行われていたという。同社関係者がこう語る。
「菊川社長が辞任する前の今月24日、『社員の皆さんにお伝えすべきこと』との『臨時メッセージ』が(メールで)送られてきました。今回の騒動に関しての説明を行うという趣旨でしたが、内容はウッドフォード氏への罵倒ばかりです」
メッセージは、冒頭から《マイケル・シー・ウッドフォード(MCW)取締役の常軌を逸した行動が止まりません》と怒りモード全開だ。
「ウッドフォード氏の振る舞いを『オリンパスの社会的な信用をおとしめることが狙い』とし、彼の経営手法についても、『自分にとって邪魔だと感じた人物を次々と排除していく』とクソミソでした」(同社関係者)
ウッドフォード氏の解任理由についても言及し、「独断専横」と指弾。その独断の一例として、機関投資家とのミーティングでのエピソードに触れている。
《MCW取締役は、複数のオリンパス社員が同席する場で、こう発言したのです。「自分のギャングを使って(オリンパスの経営を)やるんですよ」。(中略)“ギャング”の構成員たる自分の息のかかったメンバー以外は信用しない》
これを引き合いに出し、菊川氏は《ギャングとは言い得て妙なのかも知れません》と皮肉ってみせた。
また、ウッドフォード氏が問題に気づく契機となったとされる月刊誌の記事については《「菊川を排除する材料に使える」とひらめいたのだと思います》と推測。
買収資金の正当性に疑義を唱えた英系大手会計事務所、プライスウォーターハウス・クーパース(PwC)の報告書に至っては、菊川氏と森久志副社長を《悪人に仕立てたレポート》と断じた。
文末に《今回で終わりではなく、あと何回か発信を続けます》と記したものの、2日後の26日に菊川氏が辞任。前出の同社関係者は「結局、発信はこれが最後となってしまいましたね」と苦笑いする。
オリンパスは「社内のことなのでメールがあったかどうかも含めてコメントできない」(広報)としている。
流出した社員向け文書から、騒動の早期収拾を目指す経営陣の焦りの姿が透けて見えてくる。