計算速度世界一のスーパーコンピューター「京(けい)」(神戸市中央区)の運用経費が2013年度以降、年間120億円に上ることが16日、分かった。文部科学省が構想をスタートさせた05年当時は同80億円との試算で、1・5倍に膨らんだ。
同日、衆院決算行政監視委員会の小委員会で行われた「国会版事業仕分け」で、議員側から指摘があった。
「京」は理化学研究所と富士通が共同開発し、神戸・ポートアイランド2期に整備中の次世代スパコン。総事業費1120億円で、来年6月に完成する。
文科省によると、運用経費はスパコンの電気代やシステム維持費など、施設を動かすための基礎的な費用で、研究者約90人、事務職員約50人の人件費も含まれる。文科省は本格運用が始まる12年度予算の概算要求に108億円を計上。その後も毎年120億円かかるとする試算を明らかにした。
大幅な増額について文科省は「当初80億円とした根拠を精査していないので、現時点では答えられない」としたが、09年に行われた政府の事業仕分けでの指摘を受け、システムの設計を変更した影響も考えられるという。
小委員会では、利用者選定基準の曖昧さなどに複数の議員から疑問の声が続出。これらに対し文科省は「予算が削られれば、世界一の演算能力をフル活用できない恐れも出てくる」などとけん制している。(高見雄樹)
(2011/11/17 12:07)
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