環太平洋パートナーシップ協定(TPP)をめぐる野田佳彦首相の「交渉参加に向け関係国と協議に入る」という回りくどい言い方に一番救われたのは自民党かもしれない。首相がもっとストレートに交渉参加を力説すれば「表明は拙速」という批判に逃げ込めず、より本質的なTPPそのものへの態度表明を迫られたはずだ。
その一方で、事実上の交渉参加方針表明なのに「ほっとした」ととりあえず矛を収めた民主党慎重派の対応にも驚いた。全国農業協同組合中央会が抗議声明を出す中でいくら「首相の配慮」を評価しても茶番である。
それでも今回、参加の是非をめぐり党派を超えミシン目のような亀裂が政界に走った意味は軽視できない。都市票VS農村票、米国との距離感などさまざまな要素があるが、かつて小泉純一郎内閣が進めた「小泉改革」をめぐる路線闘争の再燃が陰の主役に思える。
毎日新聞 2011年11月16日 東京朝刊
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