2006-09-28 『昭和の動乱』重光葵著
外交の第一線にあった著者が、満洲事変から日本の降伏までを記している。日本だけでなく、シナ、アメリカ、欧州の動向も含めて詳細かつ幅広く、それでいてコンパクトにまとめられており、読みやすく問題意識も深まる一冊である。
日本が敗戦に至った原因がいくつか述べられている。「日本の指導者が、世界の基本的政治情勢に迂遠であった」「作戦上内外における統帥上の不統一があった」「政治上、経済上及び心理上、その他万般のことにおいて、冷静なる科学的の検討に欠如していた」等々である。他書でも語られていることだが、外交の第一線にあった著者が述べるだけに、大変迫力がある。「政府機関に統一がなく、軍部は干渉を恣にし、政党には外交の理解がなく、世論に健全な支持がないため、幣原外交はある限度より以上に少しも前進しない」という文を読むと、誠に情けない限りである。一方で現在の日本にこういう批判があてはまらないか、まったくもって自信がない。
一方、ソ連の動きについても、少なくないページを割いている。「コミンテルンの政策は、日本のソ連に対する力を減殺せんがために、日支の衝突を誘起し、日本の北進を展開して南進せしめ、更に日米の戦争に導くことにあった。この目的にために、支那における共産分子は勿論のこと、日本を初め欧米における第五列的共産勢力は、最も有効に働いた」「ソ連革命後に至って、ソ連は外蒙古一帯を占領して、タンヌツバ(Tannu Tuva)を外蒙古のニ独立国を建てて、事実上、これをソヴィエットの組織に入れてしまった」といったものである。著者がソ連検事団の要求で東京裁判の被告に追加されたこともあり、もしかすると割り引いて読ないといけないのかもしれないが、私には私情の入った文章には読めなかった。また、本書では語られていないが、ソ連は8月15日以降も満洲・樺太に攻め込んでいる。従来、日本は侵略国家であるとか、いやアメリカの方が悪いとかいうことが議論されていると思うが、実はソ連が最も食わせ物なのではないか。単なる私の知識不足かもしれないが、ソ連のやってきたことがもっと深く議論されてもよいと感じた。
蛇足だが、外蒙古について、岡田英弘氏の「モンゴル帝国の興亡」には、辛亥革命時にボグダ・ハーンが皇帝となり、1921年にロシア(ソ連)の支援を受けた政府(ボグダ・ハーンが元首)ができたとある。これと著者の記述との関係について、賢兄の教えを請いたい次第である。
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