2011年11月01日

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44984b3f.jpg#1 V.A. / New Rose Story 1980-2000 (Last Call 3062312) 4CD + Bonus CD [2000] ★★★☆

 1980〜92年にかけて活動したお仏蘭西の独立系レーベル=仏ニューローズの母体となったのは、パトリック・マテとルイ・テヴノンの二人が1980年の初頭に開業したレコード屋「ニューローズ(ダムドの演目から店名を拝借)」やったそうです。レーベルとしてのイニシャル・リリースは1980年7月にりりーすされたオーストラリアのパンク・バンド=セインツの12吋EPで、以降〜トロッグス、ウィリー・アレキサンダー、ジョニー・サンダース、ボ・ディドリー、ファッグス、スカイ・サクソン…といった各々/本国ではレコード制作のアテがないベテラン勢+デッド・ケネディーズ、リアル・キッズ、トゥルー・ウェスト、R.スティーヴィー.ムーア…といった合衆国のポスト・パンク勢のシングル/LPを積極的に制作/リリースするようになります。で、80年代半ばにはダグ・ザーム(テキサス・マーヴェリックス)、チャーリー・フェザース、ロバート・ゴードン、バレンス・ホイットフィールド、リロイ・ブラザース…といったロックンロール寄りのアーティスト+ドクター・フィールグッド、インメイツ、レックレス・エリック…といったパブ・ロック系も獲得〜更にゴーリーズ、レジェンダリー・スターダスト・カウボーイといったガレージ系+ロッキー・エリクソン、モー・タッカー、アーサー・リー、マイク・ウィルヘルム、アレックス・チルトンといったカルト系「あの人は今」レコード制作にも力を入れていました。

 で、仏ニュー・ローズは80年代末〜90年代初頭にかけて、復刻/発掘音源蔵出し専門の傍系=仏ファン・クラブと足並みを揃えるように脱パンク〜ブルース、カントリー、テキサス・ロックに力を入れるようになります。ま、この辺が創業コンビの意見が分かれるところやったのかも知れませんが…1992年に仏ニュー・ローズは仏FNACグループに売却されています(その後、マテは単独で更にルーツ寄りのレーベル=仏ラスト・コールを創業)。
 レーベル史銀盤4枚組+オマケのライブCDが箱詰めされた本作は、セインツに始まり〜キミー・ローズ(テキサス出身の♀カントリー歌手)で終わる本編/全85曲入り。2011年のお耳でその全てをオモシロがるのは困難ですが…当時、せっせと同社の塩ビ盤を買って/聴いていた(僕のようなお馬鹿さん)には大推薦、かも。

#2 ザ・リロイ・ブラザース / ビバ・リロイ (センチュリー CECC 00543) CD [1993] ★★★★

 リロイ・ブラザースは1981年にテキサス州オースチンで結成されたロカビリー寄りの草の根ロック・バンド。中心人物はグラサン/リーゼントのスティーヴ・ドーア(vo,g:ドレル、と発音するのかも知れません…)と元ファビュラス・サンダーバーズのマイク・バック(ds)の二人。ドン・レディ(g,vo:後にテイル・ゲイターズ)、エヴァン・ジョンズ(g:後にエヴァン・ジョンズ&ザ・H-ボムズ)…と二人以外の面子はアルバムをリリースする度にコロコロ替わっていますが、通好みロカビリーのカバー+如何にも「それ風」の自作曲は不変。本作は1989年に仏ニューローズからリリースされた連中の通算5作目(本国でのリリースはなかったような気がしますが…)。ダグ・ザーム周辺で活躍するバディ・ホリー信者=スピーディー・スパークス(b,vo)と1985年に加入したバック・オーエンズ好きの新人=リック“キャスパー”ラウル(g,vo,org)が大活躍〜ラウルはオーエンズ演目「Sweet Thing」で威勢のいいロカビリー・ギターを披露しています。で、ゲスト陣も豪華!(?)です。ダグ・ザーム(vo)、アスリープ・アット・ザ・ホイールのフロイド・ドミノ(p)とクリス・オコーネル(vo)、元ビル・ドゲット楽団のクリフォード・スコット(ts)、テッド&ザ・トール・トップスのテッド・ロディ(vo)…らが花輪参加。いいですね!(国内盤の解説は故・山崎直也さん!サイコー)。

#3 The Tail Gators / Hide Your Eyes (Restless 7 72343-2) CD [1990] ★★★

 リロイ・ブラザース↑結成当初のメンバー=ドン・レディ(g,vln,acc,vo)が元ファビュラス・サンダーバーズの故キース・ファーガスン(b)、新人=ゲイリー“マッド・キャット”スミス(ds)と結成した真性スワンプ・ロック・バンドの通算5作目。沼地のドクター・フィールグッド、という感じのガサガサと騒がしいロックンロールを基調にした彼らの演奏は1〜3作目あたりが(チープな録音と相俟って)ゴキゲンなんですが…コレはコレで悪くはないなぁ。ウィリー・イーガンやアル・フェリエのカバー演目を含む、ガサツな歌/演奏が全13曲。リー・ブリロー以外は誰もいないフィールグッド末期の作品に近い聴き心地ですね。


 某日。ホロ酔いのスリム先生(僕は素面)と南船場の某・中華料理屋さんで「特製焼飯」をいただきました。で、その後「都会のオアシス」系喫茶店で珈琲。「バック・オーエンズのアルバムは1965、66年頃までは全部いいですよ」「マーシャル・クレンショーが選曲を担当した米キャピトルのヒルビリー・コンピはサイコーです」…等々、イイことをたくさん教えてもらいました。いつも有り難う御座居ます。



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