事件・事故・裁判

文字サイズ変更

アパート火災:4人死亡、2人意識不明1人けが 新宿

火事があったアパートの消火作業にあたる消防隊員=東京都新宿区で2011年11月6日午前10時55分、竹内幹撮影
火事があったアパートの消火作業にあたる消防隊員=東京都新宿区で2011年11月6日午前10時55分、竹内幹撮影

 6日午前7時ごろ、東京都新宿区大久保1、木造2階建てアパート「ローズハウス林荘」から出火し、延べ約340平方メートルのうち約240平方メートルを焼き、焼け跡からいずれも住人とみられる男性4人の遺体が見つかった。ほかに2人が救出されたが意識不明の重体、1人が軽傷。警視庁捜査1課と新宿署は身元の確認を急ぐとともに、出火原因を調べている。

 捜査1課によると、遺体は1、2階で2人ずつ見つかった。1階の2人は70代とみられ、居室部分で発見された。2階では廊下と居室部分で50代と70代とみられる男性が死亡していた。

 重体の2人は煙を大量に吸ったとみられる30代と70代の男性で、2階から救出された。軽傷は80代の男性で、自力で脱出した。

 アパートは焼失が激しく出火場所ははっきりしていないが、捜査1課によると、内部から出火した可能性が高いという。捜査1課は7日、東京消防庁とともに現場検証を行い、詳しく調べる。

 アパートは1、2階に計26部屋あり、22の部屋に23人が入居していた。部屋はほとんどが単身者向けだった。住人や新宿区によると、住人は1人暮らしの高齢者が多く、生活保護を受給したり、体が不自由な人もいた。同区広報担当者は「区職員のケースワーカーが個別に生活保護受給者の相談にのり、安い物件についてアドバイスするようなことはあるかもしれないが、組織として紹介していたわけではない」と話している。

 119番した1階の男性は新宿署に対し、「寝ていたらボンベが破裂したような音がした。廊下に出たら、煙が充満していた」と話したという。

 現場はJR山手線新大久保駅から東に約600メートルの住宅やアパートが密集する地域。消防車約40台が出動し、約2時間後に消し止められた。【内橋寿明、小泉大士、喜浦遊】

 ◇住民「火の海、何も見えず」

 韓国料理店などが建ち並び「韓流」ブームの中で注目を集めた東京・新大久保かいわいの住宅密集地で、日曜の早朝に7人が死傷したアパート火災。命からがら逃げ出した住人たちは、着の身着のままで毛布をかぶり、ぼうぜんと立ち尽くした。

 現場は昭和30年代に建てられたという築約50年のアパート。22世帯23人の住人らが火災に気付いたのは6日午前7時過ぎ。アパートに設置されていた火災警報器が作動、廊下には黒煙が充満し、「ボン、ボン」というガスボンベが破裂したような音が鳴り響いた。

 1階に住む無職の女性(55)は「パチパチという音で目を覚ました。ドアを開けたら真っ赤な炎と真っ黒の煙が迫り、廊下は火の海で何も見えなかった」。女性は慌てて南側の窓から裸足で逃げ出したが「あと1分遅ければだめだった」と振り返った。廊下を隔てた向かいの部屋には足が不自由で介護を受けていた70代の男性が住んでいたといい、「無事だったらいいが」と案じた。

 2階の無職、埴原(はいばら)寿恵男さん(54)は、煙が充満する廊下を走り抜け、階段を下りてアパートの外へ逃げた。「外に出たらすぐ火の手が上がっていた。長い廊下の視界は悪く、間一髪だった」と話した。

 複数の住人によると、アパート内では配線がむき出しになっている場所があり、約5カ月前には漏電によるぼや騒ぎがあった。アパートの管理会社はこの後、配線を取り換えたという。同社の男性社員は「1階奥の部屋の燃え方が一番激しかったようだ」と話した上で「火災警報器や消火器も設置していた。2日に1度は巡回しており、管理に問題はなかった」と説明した。【小泉大士、袴田貴行、和田浩幸】

毎日新聞 2011年11月6日 9時16分(最終更新 11月6日 22時40分)

 

おすすめ情報

注目ブランド

特集企画

中小ビジネスを変えるオンラインとは

ウェブサイトが15分で簡単作成、しかも無料で

東海大学:建築学で宇宙に迫る

「はやぶさプロジェクト」のサポートチームに参画