寄せられたご意見に、副会長 永井多惠子がお答えします

◆受信料の公平負担と民事手続きについて

1.NHKはスクランブル方式を導入するべきだ。

※スクランブル方式=料金を支払っている人だけが視聴でき、払っていない人のテレビ映像・音声は遮断して見られなくする方式のこと。

お金を払った人だけが見ることのできるスクランブル方式は、一見合理的でわかりやすいと思われるかもしれません。

しかし、スクランブル方式を導入した場合、受信料を支払った人しかNHKの放送を見ることができなくなります。全国どこでも「あまねく」視聴いただけるようにする、という役割も果たせなくなります。地震や台風などの災害報道や、事件・事故などの緊急報道が、お金を払った人しか見られないことになり、それでは人々の生命・財産や生活を守るという、公共放送の使命が果たせません。

また、放送の内容についても、例えば映画やスポーツなど、より数多くの加入者を集めることのできる番組に偏りかねません。教育番組や福祉番組などを十分に放送できなくなるおそれがあります。

若い独身の方にとっては、「おかあさんといっしょ」は関係ないと思われるかもしれません。「みんなの手話」や介護などを扱う「福祉ネットワーク」などの番組は、多くの方にはあまり必要と感じられないかもしれません。でも、これらの番組を楽しみに待ち、大切に思っている方が、実はたくさんいらっしゃいます。

そして、スクランブル方式では、お金を払える人と払えない人との間の情報格差も生じます。

このような視点から、私は受信料が公共放送の財源として、最もふさわしいと考えています。視聴者のみなさんが、スクランブル方式の導入など、NHKの財源についてご議論をいただく際には、公共放送を支える受信料のこうした役割についても、ぜひ考えていただければ幸いです。