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【芸能・社会】

没後13年 NHK名物アナ中西さん 珠玉のナレーションCDで復刻

2011年11月17日 紙面から

ありし日の中西龍さん。壁には、大好きだった都はるみのポスターが

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 「泣きの龍」と言われた独特の語り口で知られたNHKの名物アナウンサー、中西龍さんのナレーションをフィーチャーした歌謡曲と叙情歌のアルバム2作(各3枚組)が23日に発売される。70歳で亡くなって丸13年。破天荒な半生を描いた評伝小説「当マイクロフォン」(角川書店)が文庫化されたのを機に、著者の三田完さんが監修した選りすぐりの48編を収めたアルバムは、心にしみるひと味変わった音源として、話題になりそうだ。

 ラジオ番組「ニッポンのメロディー」(1977−91年)で流れた中西さんの声を、今も鮮明に覚えているファンは少なくない。やや鼻にかかったよく響く低音。滑舌の良さはもちろん、四季折々のちょっとしたエピソードや自作の俳句を交えて聴取者から寄せられたリクエストに感想を述べるなど、心に寄り添う語りは、聞く人を魅了した。

「歌謡曲編」のCD

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 大河ドラマ「国盗り物語」やドキュメンタリー番組のナレーションでも才能を際立たせ、独特の間を取った語りは中西節と呼ばれた。

 ナレーション入りのCDアルバムは、中西さんがNHK退職後の88年から90年まで11タイトルが発売された(1作はカセットのみ)。今回は、全93編の中から48のナレーションをセレクト、「心のナレーション 中西龍 歌謡曲編」と「同 叙情歌編」に収録した。

 中西さんのナレーションの特徴は、すべて自作の原稿を読むスタイル。「泣いて笑って転んで起きる、晴れのち曇り、雨に雪。所詮道づれ男と女、回り舞台さ人生は…。百の舞台に百の歌、それもしあわせ、ふしあわせ。心模様を演歌の節に、のせて憂き世をきょうもまた…」。この語りの後で、「冬花火」(大川栄作)が流れたりする。

こちらは「叙情歌編」

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 叙情歌編のナレーションでは、幼くして母を亡くした中西さんが、母への思いや少年時代の情景を描写したものもあり、遠くなった昭和への郷愁をかき立てる。小沢昭一の「ふるさと」や森繁久彌さんの「どじょっこふなっこ」など選曲の妙もある。

 入局後、最初の赴任地・熊本に内縁の妻の新橋芸者を同行するなど型破りな人柄でも知られた中西さん。「当マイクロフォン」を書いた三田さんは、「ラジオ時代の音源はほとんど残っていないので貴重なナレーション。聞いたことのない方にも味わっていただきたい。ラジオのころより、解放感にあふれて、晴れやかな感じで、幸せな時期だったんだなぁと思います」と話している。

◆中西龍(なかにし・りょう) 

1928(昭和3)年6月16日東京生まれ。父・清太郎は元港区長。学生時代、新宿のムーラン・ルージュに通い、森繁久彌に心酔。NHK時代、美空ひばりに指名され、語りが民放で放送されたこともある。自身は都はるみをこよなく愛した。退職後、浅田飴のCM、フジテレビ系「鬼平犯科帳」のナレーションでも人気を博した。98(平成10)年10月29日没。

 

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