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高校入試、決まらぬ定員 募集総数、進学者数下回る

2011年11月5日

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 大阪府内で、来春の高校入試に向けて、公立、私立の各高校の募集定員が決まらない異常事態が起きている。定員割れを避けたい両者が低めの定員を見積もった結果、定員の総数が進学予定者数を大きく下回り、急きょ再調整が必要になった。長年踏襲されてきた公私の定員比率を、競争重視の橋下徹・前知事が撤廃したことが背景にある。

 大阪では中学生の進学先を確実に確保するため、進学予定者の7割を公立、3割を私立が受け入れる「公私間の合意」を結び、この割合をもとに、11月上旬に高校の募集定員を固め、中旬に受験生に公表してきた。

 それが、今春の入試から一変した。

 前知事は「公私間の合意」について、「カルテルのようなもの」「学校経営を安定させたいという経営サイドの視点しかない」と批判。合意をとりやめるとともに、私立高校無償化制度を大幅に拡充した。公立も私立も横一線で、中学生に選ばれる高校をめざして競わせる狙いだった。

 この結果、今年度は私学(92校)に募集定員の総数より約3千人多い生徒が入学。一方の府立校(全日制普通科108校)では、約4割にあたる42校が定員割れを起こした。定員割れの規模が100人以上になった府立高校もある。

 私立の受験・合格発表の時期は公立より早いため、府立高校には「早く進学先を決めたい中学生は、公立を受験してくれない。これが公正な公私間の競争なのか」と不満がうずまいた。8月の公私協議で、府教委は「実際の合格者が募集定員を上回るのは好ましくない」と指摘したが、私立側は「公立の努力不足」とやり返し、溝は埋まらなかった。

 このため、府教委は今年度の入学者数を参考にして各校の定員を算出。総計は、今年度の定員より2千人以上少ない「最大4万4千人」とした。府議会では「大阪維新の会」が提出した教育基本条例案を審議中で、案には、3年連続で定員割れした府立高校を統廃合対象にするという条項がある。府教委関係者は「定員割れを起こしたくないとの思惑が働いたことは否定できない」と話す。

 一方の私立側も、募集定員の総数を今年度の合格者より3千人以上少ない2万1400人とした。私学関係者は「定員割れは学校の評判にマイナス。定員以上の合格者を出すことはあっても、その逆はどうしても避けたい」。

 10月下旬、両者が全高校の募集定員を持ち寄ると、来春の進学予定者の6万7380人を約2千人下回ることが判明。府教委は急きょ、私学側に今年度の入学実績に見合う定員に積み増すよう要請し、10日に予定していた私学の定員発表を16日に延期した。

 4日に開かれた大阪私立中学校高等学校連合会の緊急会議では、「(定員不足の解消に)全面協力する方針」で合意。だが経営と直結する定員の変更は簡単ではないうえ、募集定員を宣伝パンフに印刷済みの私学もあり、具体的な数字は決められなかった。

 連合会の平岡正巳会長は「2千人もの中学生を困らせるわけにはいかず、私学で何とかしたい」。府教委も「府立も現状よりは積み増したい」としている。(金成隆一)

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