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事件
「収束」ほど遠く…まさに崩壊状態 記者が見た福島第1原発
2011.11.16 22:20
東京電力福島第1原発の内部が12日、報道陣に初めて公開された。公開は事故収束作業が進んだとして行われたが、目の当たりにしたのは収束にはほど遠い現実だった。
「3、4号(機)はぼろぼろ。崩壊状態なんだから。今でも(線量計の)警告音にはびくっとする」。事故当時から最前線へと通い続ける下請け会社の作業員(47)が明かす。崩落が今も続く原子炉建屋。作業員は屋外で高い放射線量と対峙(たいじ)していた。
原発敷地内では8月、がれきの撤去作業中に1万ミリシーベルトを超える極めて高い放射線量が計測されている。約3千人の作業員は、常にこうした「未知の危険」と隣り合わせでいる。
「事故後今までほとんど休みなく気を張ってやってきたが、少し落ち着いてきて逆に気が緩んだときに、たまっていたものが一気に出るんじゃないかと…」
東電の中堅社員が不安を口にした。極限状態の中で相当な精神的負担を強いられる作業員。睡眠障害や避難先で離れて暮らす家族への心配などさまざまな不安を抱えた100人以上が専門家の心理カウンセリングを受けた。吉田昌郎所長(56)も「精神的にも若干負担感がある」と頭を悩ます。
事故対応拠点の「Jヴィレッジ」では単身寮などの住環境が整備され、食堂では温かい食事も提供されるなど、作業環境は改善が図られつつあるが、作業員が着用した使い捨ての防護服などが新たな問題を生じさせていた。放射性物質が付着する防護服は低レベル放射性廃棄物。集積所には延べ約48万人分が集められているが、処分方法はまだ決まっていない。
原発を視察した細野豪志原発担当相は「原子炉の安定」と「年内の冷温停止達成」を強調したが、吉田所長が「放射線量が高く、日々の作業にはまだ危険な状態だ」と語ったのが印象に残った。(大竹直樹)
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