タイ  2011年11月14日(月曜日)
三菱自、タイ生産継続が最良:日本のものづくり底力を賞賛[車両]

三菱自動車の益子修社長は10日、バンコク都内で記者会見を行い、深刻な洪水被害に見舞われているタイでの今後の事業展開について、「現地には多くの日系企業が進出しており、質・量ともによい部品を供給してもらえる。1日も早く復旧し、タイで生産を続けていくことが最も好ましい」と述べ、今後もタイが重要な生産拠点であることに変わりないと説明した。また、国内の部品メーカーを訪れた同社長は、「生産を立ち上げるまでの苦労は大変なものだったと思う。日本のものづくりの底力はすごい」と賞賛した。【濱田祐梨子】



益子社長はタイを訪問中、インラック首相、ワナラット工業相、アチャカ投資委員会(BOI)長官らと会談。タイを重要拠点とする多くの日系企業にとって、今回の洪水が今後の懸念材料になるとして、再発防止のためのインフラ整備を訴えた。また、海外から輸入する部品の免税措置などの対応を求めた。これに対し、首相からは「タイ政府は全力をあげて乗り切る」と回答があったもよう。

タイでの生産継続について、「進出から47年が経ち、タイには知見を持つ社員が多く、また日系部品メーカーも集積しており、これらの資産を簡単には移転できない」と述べた。ただ一方で、一極集中を避けるため、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内の生産拠点で現地調達率を上げ、部品の相互補完に対応できるよう検討していく必要があるとの見方も示した。

現在タイで生産している1トンピックアップトラックの現調率は約70%。

一方、日本での生産については、「先月末時点では綱渡り状態かと見ていたが、約2週間で部品調達が飛躍的に改善したことから、日本の生産が止まることはない」と説明した。

■フル稼働で減産分挽回

東部チョンブリ県レムチャバンにある工場は、洪水による浸水被害はなく、きょう14日から2直操業による全モデルの生産を再開する。特に国内外での主力モデルである1トンピックアップトラック「トライトン」と、多目的スポーツ車(SUV)「パジェロ・スポーツ」を集中的に生産する。

同工場は部品供給に影響が出たため、先月13日夜から生産を休止。それにより2万3,000台の減産となったが、うち1万5,000台分は挽回する計画。通年の生産台数は23万9,000台を見込む。ほかの生産モデルは乗用車「ランサーEX」など。操業停止中は、従業員の一部に対し技術訓練を実施した。

■小型車需要に変化なし

今回の洪水が販売に与える影響について、ミツビシ・モーターズ・タイランド(MMTh)の村橋庸元(のぶゆき)社長は、「ディーラーからの情報を聞く限り、消費者の購買意欲は落ちていない」と説明。また洪水の最中、ピックアップトラックなど車高が高い車が注目される面もあったが、「市場全体に大きな変化はないのではないか」とし、小型車の需要が落ち込む可能性は低いとの見方を示した。

三菱自は、来年3月に世界戦略車の新コンパクトカー「ミラージュ」の生産を開始する。同モデルは、今月末から開催される東京モーターショーで世界初披露される予定。タイでは来年3月に発表。生産は現在レムチャバンに建設中の第3工場で行う。

一方、バンコク北郊パトゥムタニ県にある同社事務所は、周辺道路の冠水のため、先月24日から一部本社機能をレムチャバンの工場内に移して業務を行っている。一時は周辺が50〜60センチほど冠水したが、建物への浸水被害はなかった。水が引き始めたため、周辺の衛生面などを考慮し状況を見ながら、機能を戻すことを検討する。

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