GENESYS JAPAN Co.,Ltd.

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成功事例6 東京海上日動システムズ



日本国内で最大規模の損害保険会社である東京海上日動火災株式会社は、 保険代理店約5万6千店、30万人をサポートするコールセンターを展開している。

そのコールセンターの設計からシステムの開発、保守、運用まで、一手に担う東京海上日動システムズ株式会社。 同社のITサービス本部 ソリューションスペシャリスト 高宗幸生氏に、コールセンターのシステムをSIPサーバーベースに移行した理由について詳しく伺った。

  東京海上日動システムズ

■ 目次 ■ 
  1. 東京海上日動システムズの業務内容
  2. 東京海上日動火災のコールセンターのシステムを構築
  3. わずか2年でPBXベースからSIPサーバーベースに変更した理由とは?
  4. PBXベースのシステムでは実現できなかったこととは?
  5. Genesys SIP Serverが優れていたところとは?
  6. 導入にあたっての不安点とその解消法とは?
  7. 導入時に苦労したこととは?
  8. Genesys SIP Server導入の効果は?
  9. システム屋の立場から見たGenesys SIP Serverの特長とは?
  10. 今後の抱負と期待

1 東京海上日動システムズの業務内容

― 東京海上日動システムズの業務内容について教えて下さい。

100年以上にわたる歴史があり、正味収入保険料1兆9121億円、経常利益1839億7400万円(ともに2007年度決算)と、 国内損保業界でトップの東京海上日動火災保険をはじめとする、東京海上日動グループのIT戦略を支える中核企業として、 企画・提案・設計・開発・保守・運用までのシステムのライフサイクル全体を通したトータルシステムを提供しています。

東京海上日動グループに属していることから、国内最大級や業界初となるシステムをてがけています。 例えば、国内約5万6千店ある代理店さんが保険の契約プランを1件作成する時間を、従来の1/30に短縮するシステムを作るなどしました。

現在は、これまで構築した保険業務の基幹システムを見直し、 今後の保険会社における業務のあり方や効率を考えた新しいシステムを創りあげていく、 大規模な”抜本改革プロジェクト”に取り組んでいます。

また、運用領域においては、お客様にITサービスを安定的に供給するため、いちはやくシステムリスクの最小化に取り組み、 すでに国際標準(ISO20000)を提供したITサービスマネジメントを実現しています。

2 東京海上日動火災のコールセンターのシステムを構築

― 東京海上日動火災のコールセンターのシステムを構築されたと伺いましたが。

はい。1992年に代理店さん向けコールセンターが開設され、 私は1996年からACTI(アクティ)という代理店向けコールセンターのシステムの構築・保守を担当しています。

東京海上日動火災はオンラインシステムを代理店さんに提供しており、そのヘルプデスクとしてコールセンターを設けています。 ヘルプデスクでは、代理店さんからの難度の高い照会に対して、短時間に、的確に問題解決ができるよう、充実したサポート体制をとっています。

コールセンターは東京都八王子市をはじめ合計3拠点あります。 2008年10月現在、全体のオペレーター数は合計600人程度で、月15〜16万件の電話に対応しています。

コールセンター

― 代理店さん向けとなると専門的な知識が必要で、それだけのコール数に対応するには高い品質が要求されるのではないですか?

その通りです。そのためコールセンターでは、常に品質向上に取り組んでいます。 その結果、2003年、2006年には国際的にも権威ある米国ヘルプデスク協会(HDI)の「ベストサポートプロフェッショナル賞」を受賞しました。 HDIは、サポートサービス業界のスタンダードを設定、普及し、認定制度やトレーニングプログラムを創出・供給し、 業界情報やノウハウの入手を可能にし、メンバー相互の人的ネットワークを促進する国際組織です。

また、2006年4月には、認証取得企業が世界でも数十社、 日本国内では十社程度という厳しいコールセンター業界の品質に関する国際規格である「COPC -2000」を取得しています。 これは国内金融・保険会社系のコールセンターで初、また、1つの場所の認証としては国内最大規模となります。

東京海上日動システムズは、コールセンター開設以来システムの変更・更新を行い、品質の向上をシステム面から支えています。 直近では2004年にPBXベースにシステムを構築しています。

3 わずか2年でPBXベースからSIPサーバーベースに変更した理由とは?

― コールセンターにGenesys SIP Serverを導入されたのはいつ頃ですか?

2006年12月に導入し、2007年5月から稼働しました。

― そうすると、PBXベースのシステムはわずか2年しか使わなかった計算になりますが、何か問題があったのでしょうか?

PBXを導入したのが2004年ですので、PBXが古くなったというわけではありません。 それまで導入していたPBXでは、席数増加の要請に応えられなくなったためです。

2004年にシステムを構築したときは250席程度の予定でしたが、2006年にはその2倍にまで達してしまいました。 それ以上に席数を増やしたいとの要望を受けていましたが、PBXで対応できる席数が上限値に達していたので、断っていました。 席数を増やすためには、どうしてもシステムの再構築が必要でした。

Genesys SIP Serverを導入することで、1000シート以上まで増席できるように設計できました。 現時点での席数は600シートですが、100シートを予備として設けています。

― コールセンターが3拠点あるということでしが、3拠点とも席数が上限値だったのでしょうか?

永山(東京都多摩市)にもコールセンターがありますが、永山の呼数が多く人手不足気味になっていても、 八王子では呼数があまりないといった状況が発生していることもありました。呼数があるにもかかわらず、オペレーター全員が対応できていなかったということです。

このような状況を改善して、実際に受けられる呼数を増やすためにもコールセンターのバーチャルな統合が必要でした。 コールセンター3拠点のうち1拠点が PBX、2拠点はASPとシステム構成が異なっていますが、PBXではそれを統合してマルチサイト化することができませんでした。

Genesys SIP Serverを導入して、3拠点ある各コールセンターを1つのコールセンターであるかのように統合して運用できるようになったので、 実際の席数分だけ呼数に対応できるようになりました。

東京海上日動グループ代理店向けコールセンターシステム構成図

4 PBXベースのシステムでは実現できなかったこととは?

― 1992年からコールセンターが始まったということですが、その頃はどのようなシステムとなっていたのですか?

当初は、受けた電話内容を紙に書き、それを担当者に回すというような手動の対応でした。 当然、紙ベースですので、時間もかかってしまいます。あの質問どうなったかという問い合わせの電話もいくつかあり、手動での対応は限界に達していました。

そのため、誰が、いつ、どういった内容の質問を受けて、 それが現在どういう状態なのかというトラッキングツールが使えるシステムの導入を検討することになりました。

そのうちナンバーディスプレイ・サービスが始まり、かけてきた代理店さんの電話番号が分かるようになりました。 かかってきた電話番号が分かるようになったので、 かかってきた電話番号から自動で代理店名やこれまでの質問履歴なども分かればいいねという話になりました。

そこで、電話番号と履歴を連携させ、トラッキングのできるシステムを1996年に構築しました。

― 当初はトラッキングが目的だったということですが、現在はどうですか。システムへの要求内容に変化はありますか?

トラッキングができるようになったことで、対応事務のクオリティー、例えば待ち時間短縮やオペレーターの話し方などが向上しました。 しかし、コール数が増加したので、オペレーターを増やすことで、せっかく向上したクオリティーが低下してしまいました。

そのため、コールセンターごとの待ち時間に著しい差が生じたり、オペレーターによる対応の質の違いが生じないようにしながら、 クオリティーを上げていく必要が生じました。

そこで現在は、均一でクオリティーが高い対応事務を提供するために、コールセンターごと、 対応業務ごと、オペレーターごとの違いが生じないように業務の平準化・均質化を図るための指標を出せることも、システムに求めています。

― なぜ、業務の平準化・均質化にSIPサーバーが役立つのですか?

品質向上をシステム側から支えるのが私たちの仕事です

業務のやり方を平準化・均質化していく中で、どうしてもKPI(※1)の基礎情報が必要になりました。

そこで、当時多摩センターにあった事務用PBXにACD(※2)サーバを設置しました。しかし、取れる情報が少なく、目的は果たせませんでした。

基礎情報を集めるため、永山移転を機に、2004年にコールセンター用PBXに変更しました。 しかし、PBXを導入して取れる情報は増えたものの、それでも少なく、しかも、その拠点の情報に限られてしまいます。 加えて、それぞれの拠点毎でシステムが異なるため、集まる情報の質が同一ではありません。

そのような場合は単純にKPIを比較することができません。 古いシステムでは制約があって情報の共有化ができず、業務全体の平準化・均質化は進みませんでした。

どうやれば平準化・均質化を進められるのかということを検討し、マルチサイト化するのがいいだろうという結論に到達しました。 コールセンターが複数あっても、マルチサイト化して連携して運用すれば、 システム構成が異なるコールセンターであっても基盤システムは同じになり、KPIも比較できるようになるからです。

Genesys SIP Serverを導入することで、各人、各スキル、各チーム、 各拠点のKPIが比較できるようになり、業務の平準化・均質化が図れるようになりました。

※1 KPI:Key Performance Indicator 業績評価指標
※2 Automatic Call Distributor 着信呼自動分配機能

5 Genesys SIP Serverが優れていたところとは?

― SIPサーバーを導入する際に、他社製品も比較検討しましたか?

十分な機能があって、なおかつ安いのがいいですね

いくつかのシステム・インテグレーター(以下SI)に提案書作成を依頼し、上がってきた提案書を比較検討しました。

Genesys SIP Serverのほかに、PBX+CTIの組み合わせによるシステム、 IPサーバーのみのシステムなどがありましたが、どちらも同じベンダーの製品でしかシステムを構築できませんでした。 それでは全ての機器を単一のベンダーに統一しなければならず、予算をかなりオーバーしていました。

また、Genesys SIP Server以外はランニングコストが高くなることが予想されました。まず一つが機材調達の点です。 電話機を追加する際にも同じベンダーの製品しか使えないため、コスト面で高くつきました。 運用面でも、ルーティングやコンフィギレーションについて、自分たちで変更や設定が行えず、毎回SIに依頼する必要があり、作業費が発生してしまいます。

ところがGenesys SIP Serverは、自分たちでルーティングデザインができる仕様になっていますし、 コンフィギレーションもできるため、ランニングコストが安くすみます。 また、本体自体が安かったのに加え、マルチサイト化できるので、導入は1か所だけですみ、導入費も安くあがります。

また、カスタマーサポート用のコールセンターでは既にGenesys T Serverを導入していましたので、CTI系基盤を統一化できたらという希望もありました。

― 他社製品と比較してGenesys SIP Serverが優れていると思われた点はどこですか?

オープンなので他のサプライヤーのSIPサーバーと連携でき、機器も接続の制約が少ないのが魅力的だと思いました。

将来に方向性が変わった場合でも、ハード・ソフトとも対応できる余地が大きいのがいいですね。

6 導入にあたっての不安点とその解消法とは?

― Genesys SIP Serverを導入することについて、何か不安はありましたか?

3つほど不安な点はありました。

  1. 使用している機器との接続が本当にできるのか
  2. 高負荷がかかったときにも性能が発揮できるのか
  3. カタログ通りの機能が本当に使えるのか

の3つです。

1については、オープン故に、この機器は接続できて、これはできないという相性の事前確認ができません。 実際にやってみないと分からないので、本当に接続がうまくいくのかという不安がありました。

2については、以前PBXのときに高負荷がかかってパンクしてしまったことがありました。 それがあったので、Genesys SIP Serverでも同様のことが発生しないか心配でした。

3については、SIPサーバー導入が初めてだったので、カタログに書かれている機能が運用時に実際に使えるのか不安でした。

― それらの不安はどうやって解消しましたか?

まず相性の問題については、システムの構築を担当したネットマークス社がIPテレフォニーにおいて経験が豊富であったこと、 1000席程度のコールセンターの実績がありトラブルがあった際の対応も経験済みであることから問題ないとの結論に至りました。

また、高負荷の問題については、実運用に入る前に負荷試験サービスを使って、徹底的にシステムをテストすることで解消していきました。

機能面については、通話の基本機能のほか、IVR機能、レコーディング機能など、Genesys SIP Serverが搭載している機能だけでコンタクトセンターを構築できたことに非常に満足しています。

― Genesys SIP Server導入の際、反対する社員はいませんでしたか?

反対ではありませんが、VoIPで大丈夫かという質問はありました。

それ以前にも他社のPBXシステムを導入して、WAN内でVoIPを通した実績はありました。そのときにトラブルもなかったことを伝えたところ、納得してもらえました。

7 導入時に苦労したこととは?

― Genesys SIP Server導入時に苦労したことはありませんでしたか?

音が途中で切れたり、音が小さいということはありませんでした

2つあります。両方とも音質の問題です。まず1つ目ですが、実は、導入当初、エコーが大きく聞こえるというクレームが結構ありました。

以前はアナログだったので音声データに雑音がのり、音がこもっていたので、代理店さん側で生じたエコーが聞こえることはありませんでした。 しかし、デジタルになって音質がクリアになった分、エコーが聞こえるようになったため、それを気にする方が出てきました。

この問題はゲートウェイの信号送出レベルを下げることで対処しました。この問題が解決できてから、本格的にマルチサイトの運用を開始しました。

もう1つは、音がものすごく悪く使い物にならないとクレームがついたことです。ヘッドセットの問題かソフトの問題かと疑いましたが、全く原因が分かりませんでした。 そこで、原因から考えるのを止め、結果から調べようとクレームを言ってきた人のパソコンで聞いてみるとクレームの通り、聞くに堪えない音が出ていました。

メディアプレーヤーで聞いても、聞くに堪えない音が出ていましたので、いろいろ調べたら、そのパソコンのサウンドボード部分に問題がありました。 USB端子のついたヘッドセットにしたところ、音声の問題は解決できました。

8 Genesys SIP Server導入の効果は?

― Genesys SIP Serverを導入した効果はどうでしょうか? これができるようになったのが良かったということはありますか?

ストラテジー設定がGUIになり、操作が直感的に分かりやすくなって良かったですね。 担当者が、直接サブストラテジーを変更できるようにしています。

ストラテジーを担当者が変更できることによって、この日は対応時間を短くしたいとか、長く対応できるという対応時間の設定や、スキル別に取る電話を指定ができるようになりました。 その結果、個別管理が柔軟にできるようになりました。

今年、代理店のオンラインシステムを抜本的に見直し、変更システムを運用し始める日が5月7日でした。 初日は高負荷がかかって、システムが落ちてしまったらどうしようかと、内心、心配していました。

通常なら1日1万前後のコール数ですが、その日は1日約4万コールもありました。 しかし、何ら問題なくこなせたので、逆に拍子抜けしてしまいました。 1か所でルーティングできるので全体の呼数が減り、バランスよく各コールセンターに振り分けられるようになったからだとみています。

また、席数の上限値が上がったことと、予備ストラテジーを作ることで、これまでやっていなかった業務の対応もできるようになりました。 例えば、新しい業務が発生し、新たなヘルプデスクを1週間で立ち上げて欲しいという急な要望があったときも、スムーズに対応できました。

9 システム屋の立場から見たGenesys SIP Serverの特長とは?

― 実際に導入してみて、Genesys SIP Serverに対する評価はどうですか?

まず、音が格段に綺麗になりました。

次に、冗長性があがりました。 以前なら永山のPBXがダウンすると全て切れていましたが、Genesys SIP Serverが冗長構成となっており、 しかも2台あるので、現在はどこかがダウンしてもシステム全体に影響を与えません。 実は導入当初は、冗長機能には不満がありました。 しかし、バージョンアップすることで問題は解決し、今では逆に耐障害性も大幅に向上しています。

3つ目は、今までと同じ操作で運用できることです。 オペレーターが見るパソコンの画面もPBXのときと同じような構成にしたので、システムが変わったことを感じさせません。 従来通り普通に運用できているのが、真にInnovativeであることの証明だと思います。

― Genesys SIP Serverの特長をシステム屋の立場から教えてもらえますか?

ログをテキストで細かく出してくれるので、トラブル時にすぐ対応できます。 PBXのときは、ログが少なくトラブル時に何が起きているのか全く分かりませんでした。

PBXがダウンしたときはサプライヤーに来てもらって、全てのラインをチェックしてもらっていました。 オシロスコープで信号波形を全部見てはじめて、100万分の2秒の間に、あるイベントが起きたら落ちるということが分かるという具合でした。

Genesys SIP Serverだと全ての動作がテキストログで全て書かれているので、 どこでどういう動作が起きたからトラブルが発生しているのかが、すぐ分かります。 トラブルが起こっても対応しやすいです。

10 今後の抱負と期待

― 今後の抱負と、ジェネシスへの今後の期待をお聞かせください。

今後、e-JIBAIのヘルプデスクなど、コールセンターで扱える種目を増やしていきたいと思っています。

ジェネシスには、このくらいの機能があればよいと満足するのではなく、常にSIPサーバーと周辺機器の性能向上を図ってもらいたいと思います。

高宗様、本日はお忙しい中、
貴重なお話をありがとうございました。

東京海上日動システムズ株式会社について
<会社概要>
  • 本 社:東京都多摩市鶴牧2-1-1 多摩東京海上日動ビル
  • 設 立:1983年9月
  • 資本金:5000万円(東京海上日動火災保険全額出資)
  • URL:http://www.tmn-systems.co.jp/
  • 事業内容:東京海上日動火災保険、東京海上日動あんしん生命保険、
    東京海上日動フィナンシャル生命保険等、
    東京海上グループの情報システムの企画・提案・設計・開発・保守・運用
<コールセンター概要>
  • 開設:1992年
  • ユーザー数:7万3500
  • 業務内容:東京海上日動火災保険の代理店向けヘルプデスク
  • 受賞・取得規格等:米国ヘルプデスク協会「ベストサポートプロフェッショナル賞」
    社団法人企業情報化協会「2006年度ITユーザーサポート 最優秀賞」
    COPC-2000

※ 取材日時 2008年10月
※ 取材制作:カスタマワイズ