竹資源の利活用拠点施設 完成! 宮津バイオマスエネルギー製造事業所
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今年4月に着工し、整備を進めてきた「宮津バイオマス・エネルギー製造事業所」が、里波見に完成しました。
これは、産官学で構成する宮津バイオマス・エネルギー事業地域協議会(会長:宮津市長)が、竹の総合利活用モデルを確立していくための拠点施設として整備したもの。竹ガス化発電・メタノール精製などのエネルギー利用、また、マテリアル利用(素材としての活用)を進めていくための実証実験から取組みをスタートします。
将来的には事業化させ、新たな産業として、雇用創出・地域活性化につなげていきたいと考えています。
バイオマスとは?
バイオマスとは、「バイオ(bio)」と「マス(mass)」が合わさった言葉で、バイオは生物資源、マスは量。生命と太陽がある限り枯渇しない資源のことを言います。
※石炭や石油などの化石燃料は、バイオマスに含まれません。
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9月10日に竣工式 |
自立循環型の地域を目指して
宮津市は、昨年3月にバイオマスタウン構想を策定し、地域資源活用型の自立循環型経済社会、低炭素のまちづくりを目指すことを明らかにしました。
構想では、木質素材や生ごみ、廃食用油、し尿など様々なバイオマスを地域資源として有効活用していくための方向性を示しており、生ごみ、し尿はメタン発酵処理など、資源ごとに活用に向けた具体の取組みを進めいます。
今回竣工した施設は、竹資源の活用を図り、地域の活性化につなげていく施設として「宮津バイオマス・エネルギー地域協議会」が整備したものです。
宮津市内には府内の約10%の竹林
宮津市内には、約617haの竹があると推計され、これは京都府の竹林面積の約10%に相当する広さですが、その大半が放置され、土砂災害の危険が危惧されたり、鳥獣被害の原因となっていました。
そこで、この放置竹林を資源として有効活用できなかと検討を進め、各自治会の皆さんの協力を得て、竹林再生整備計を策定しました。
竹林再生整備計画
昨年10月に各自治会、竹林の再生に積極的に取り組もうとする地域を募集し、竹林整備計画として策定したもの。
■計画期間 平成23年度〜 ■計画面積 163.5ha(32自治会 173箇所) ※今年度は8haを整備予定
エネルギー利用と素材としての利用を
〜竹からの発電は世界初〜
バイオマス・エネルギー製造事業所には、長崎総合科学大学が開発した農林バイオマス3号機を活用し、竹をガス化させ発電、メタノールを精製します。竹からの発電は世界初の取組みです。また、素材として利用も進めます。
【エネルギー利用】
■電力:発電した電気は、施設内で活用し、エネルギーとして循環させます。
■メタノール:廃食油と混合し、軽油の代替燃料として活用します。
【素材として利用】
竹素材の特性を生かした加工を行い、宮津市独自の商品開発、産業起こしを目指します。当面は、竹チップ・粉の販売ルートの開拓・確保にあたります。
■考えられる利用方法
家具、竹箸、建築素材、工芸品、バイオプラスチックなど
今後の課題〜事業化を目指して〜
今回の取組みは、放置竹林の整備、エネルギー循環(自給率の向上)。また、新たな(竹)産業の創出による雇用拡大、地域経済の活性化など様々な可能性を秘めたものです。
そして、この取組みを継続させるために最も重要なことは、事業として採算ベースに乗せること。まずは、行政主体で成分分析や製品利用の可能性など様々な角度からの実証実験を行いますが、早期に事業モデルを確立し、民間主導の取組みに転換していきたいと考えています。
施設の概要
「原料製造施設」「乾燥施設」「竹ガス化・メタノール精製施設」の3施設からなる。竹を破砕し、チップと粉に。太陽熱、温風により乾燥し、竹粉と水蒸気を高温で化学反応させてガス化し、発電、メタノールの精製を行います。
■処理能力(1時間あたり) 竹1トン
■製造能力(1時間あたり) 竹チップ850kg 竹粉 150kg メタノール7L(最大) 電力30kwh(最大)
※総事業は2億3,500万円(うち国庫補助1億4,300万円)

原料製造施設 |
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乾燥施設 |
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竹ガス化・メタノール精製施設 |
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