2011年9月16日 15時3分
羽田空港に勤務する50代の男性主任管制官が米大統領専用機「エアフォースワン」の飛行計画などをインターネット上のブログに掲載した問題で、国土交通省が他国から提出された政府専用機や軍用機の飛行計画を機密情報と定めていなかったことが分かった。管制官による不祥事を機に、国としての情報管理体制の不備が露呈した格好で、同省はこれらの情報を機密指定に改める方向で検討を始めた。【川上晃弘】
国交省は01年4月、行政文書などの取り扱いについて「情報セキュリティポリシー」を策定。それぞれの担当部局が「レベル1(公開すべき情報)」、「レベル2(機密性はないが、公開すると事務遂行などに支障を及ぼす恐れがある情報)」、「レベル3(国の安全や利益を損なう恐れのある機密情報)」に分類し、情報管理の徹底を図った。
この際、飛行計画については民間航空機を含めすべてをレベル2とランク付けし、その後も見直すことはなかった。レベル3は国家元首級の要人警護に関する情報や、海上保安庁が北朝鮮の不審船から見つけた暗号表などの高度な捜査情報が対象だが、レベル2は発表前の広報資料と同等の扱いという。
しかし、今回流出したエアフォースワンや米軍無人偵察機「グローバルホーク」の飛行計画は国際的にも徹底した秘匿が求められており、今回の問題発覚後、省内で「日本で機密指定していないことは他国から非難を受けるのではないか」との指摘が上がった。
また、職員が「レベル3」の情報を流出させれば国家公務員法の守秘義務違反に該当するが、「レベル2」の漏えいでは「違反とするにはハードルが高い」(同省幹部)とされ、現状では刑事責任を追及できない可能性もあるという。
このため国交省は、政府や軍関係の飛行計画を機密扱いにすることで再発防止を図る議論を進めている。国交省幹部は「飛行計画すべてを『レベル2』と認定した当時は、個人がネットで情報を発信することを想定できなかった。機密扱いにすることで、管制職員の意識も変えたい」と話す。
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