アジアの企業が関西での事業を強化している。金融機関による支店新設や、大学や企業との連携をにらんだ日本法人の設立などの動きが出ている。大都市圏で顧客の開拓が期待できることや、大学など産業インフラの集積が魅力に映るようだ。円高を背景に国内産業の空洞化が進みかねないだけに、自治体は外資の誘致活動にも力を入れる。
中国系金融機関の中国銀行は9日、神戸市に神戸支店を開いた。25日から本格営業する。日本の支店は6店目で、近畿では大阪支店に次ぐ。中国系の個人客を対象に人民元の送金や住宅ローンなどを主に取り扱う。
阮源・神戸支店長は「中国は兵庫県と港を介した貿易の歴史が長く、神戸市は天津市と友好都市。中国企業と県内企業との事業展開も期待できる」と話す。今後は法人需要も開拓する方針だ。
■「賃料安い」
中国のインターネット通信販売大手、麦包包(エムバウバウ)は京都市に日本法人を設立した。女性用かばんなどを扱う。海外企業の日本法人は東京に集中するが「ネットショップという形態上、東京に拠点を持つ必要はないうえ、家賃が安いのが魅力」(宮崎晴人社長)という。
シンガポールの大手医療機関、ラッフルズ・メディカル・グループは大阪市内にクリニックを開く。英語を話す医師やスタッフを常駐させ、日本に住む外国人や観光客などの受診を見込む。入院施設はないが、循環器科、内科、消化器科などを用意。最新の医療機器をそろえ、良質な検査や先端医療を提供する。
大学や企業との連携に期待し、進出する例も目立つ。ゲノム研究・解析受託の中国大手、BGIは神戸市のポートアイランドに日本法人「BGI JAPAN」を設けた。BGIの現法は香港などに次ぎ4カ所目。
■「京」を活用
BGIは神戸大学や理化学研究所などと共同研究も手掛けている。新拠点はポートアイランドやその周辺の医療関連の研究機関・企業とも連携する。当面、解析作業は中国で担うが、世界最速のスーパーコンピューター「京」も活用する方針だ。
企業向けビル運営の京都リサーチパーク(京都市)は、最先端技術の研究拠点として外資系企業を集める。11月時点で韓国・LG電子など11社が入居し、2000年比でほぼ倍増した。京都の大学・企業と連携しやすい点で評価が高い。
大阪府などでつくる大阪外国企業誘致センターによると、府内への10年度の誘致件数は32件。このうち23件がアジアの企業で、11年度も「中国や韓国などからの問い合わせが活発」(同センター)という。
自治体は外資系企業の誘致に動く。京都府や京都市は首都圏などに拠点を置く外資系企業の進出を狙う。日本に進出済みの約2000社に8月に移転意向を調査。移転計画がある企業への訪問を始めた。
兵庫県と神戸市は賃料を助成する制度を導入済み。和歌山県は今年度、進出支援の制度を紹介する英語のホームページを立ち上げるなど、誘致活動に力を入れる。
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