広島・長崎原爆で放射性物質を含む雨(黒い雨)に約1万3000人が遭遇したというデータを、原爆傷害調査委員会=ABCC、現・放射線影響研究所(放影研)=が得ていたことが分かった。黒い雨の人体への影響は分析されておらず、長崎県保険医協会(千々岩秀夫会長)は8日、「すみやかに分析し、情報公開してほしい」として放影研を所管する厚生労働相宛てに要望書を送った。
同協会の指摘を受けて放影研が明らかにした。
放影研によると、ABCCが1950年ごろから約12万人を対象に「寿命調査」(LSS)を実施。質問に「Was person caught in Fallout Rain?(放射性物質を含む雨に遭ったか)」との項目があり、1万3000人が遭遇したと答え、そのほとんどは広島被爆で、長崎被爆は約800人だった。
この質問項目と回答はデータベース化されておらず、近年になってコンピューターで線量を推定する研究の中でデータの存在が分かったという。
現在、国は「黒い雨による人体影響はない」との立場だが、広島、長崎両市では、国が指定した被爆地域外で黒い雨に遭った人たちが健康被害を訴え、指定地域の拡大や被爆者健康手帳の交付などを求めている。同協会の本田孝也医師は「福島を中心に低線量被ばくへの関心が集まっている。どんな影響があるのかぜひ分析してほしい」と話している。【釣田祐喜】
毎日新聞 2011年11月9日 7時45分(最終更新 11月9日 17時11分)
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