マリナーズのイチロー外野手(36)は15日、シアトルでのレッドソックス戦に「1番・右翼」で先発。1回の第1打席はレッドソックス先発バックホルツの内角球に詰まり投ゴロ。3回の第2打席は二ゴロだった。
前日3安打して今季通算安打を「189」としたイチロー。この試合をい含め、残り17試合で11安打すれば、10年連続200安打となる。
目標に向かって突き進んでいるものの、不振を極めるチームの内情は混乱の度を深めている。米球界関係者の間では来季も「期待薄」との見方がもっぱらだ。
地元紙シアトルタイムズなどの報道によると、マリナーズはカルメン・フスコ・スカウト部長を今季限りで解雇することを決定した。
同部長は業界35年の大ベテランで球団屈指の敏腕スカウトだったが、選手獲得にかかわる不手際の責任をとることになったのだ。
不手際とは、左腕エースだったクリフ・リー投手を7月に放出した騒動に端を発している。球宴前にペナントをあきらめたチームも批判を浴びたが、交換トレードでレンジャーズから獲得した若手マイナー選手の身元を巡って騒ぎは拡大した。
将来のエースと期待して獲得した豪腕投手ジョシュ・ルーキー(25)には、2008年5月にレイプ事件を起こした過去があり、保護観察処分中であることが後になって判明したのだ。
マリナーズは例年、婦女暴行撲滅キャンペーンを行うなど社会貢献活動を続けていることもあり、試合に出すことはままならない。来季を見据えた交換トレードだったはずだがそのもくろみはもろくも崩れ去った。
マリナーズ側は「レイプ事件のことは知らなかった」と説明してきたが、ファンからは「エースと交換に出場させられない犯歴のある選手を獲るとは何ごとか」と強い批判を浴びることになってしまった。
責任問題が持ち上がりチーム内は大混乱となった。ハワード・リンカーン球団CEOは、直々に球団職員に向けてメールを送信し、「メディアの攻撃に踊らされるな。落ち着いて対処してほしい」と訴えたことも話題となった。
解任されたワカマツ監督の後任選びも難航中。イチローには残念なことだが、来季も個人記録達成のみを目標に1人旅を続けることになりそうだ。