“暴落”オリンパス株に謎の大量買い!“買い手”の正体と目的

2011.11.10


急落する株価の裏で大量買いを入れる謎の投資家。狙いはオリンパスの医療関連事業か (ロイター)【拡大】

 損失隠し発覚で上場廃止の可能性が強まり、暴落が続くオリンパス株。同社株をすべて手放した国内機関投資家も出る一方で、何者かがまとまった買いを入れている。世界断トツシェアの消化器内視鏡事業を持つオリンパスを狙うのは、日本の同業他社か海外のハゲタカか、それとも…。

 10日のオリンパス株は3日連続ストップ安。市場関係者の間で「下値のメド」とみられていた613円を下回り、株価の割安さを示す株価純資産倍率(PBR)は会社の「解散価値」である1倍を割り込んだ。

 通常なら値ごろ感からの買いが入る水準だが「財務データに虚偽の疑いが濃厚となったいま、指標は意味がない」(銀行系証券のアナリスト)といい、下げ止まらない恐れもあるという。

 すでに大手運用会社の明治安田アセットマネジメントは8日時点で「(オリンパスの)業績等今後の動向が不透明」として運用していたオリンパス株を全株売却した。

 その一方、オリンパス株を買い集めている投資家もいるようだ。「8日、9日とも国内外からまとまった買い注文があった」(前出のアナリスト)というのだ。

 上場廃止の可能性もある株がなぜ買われるのか。「上場廃止となっても倒産しなければ紙クズにはならない。オリンパス買収を狙っているか、誰かが買収を仕掛けた際に高値で売る思惑で買っているのではないか」とM&Aに詳しいコンサルタントは指摘する。

 同社の企業規模を示す株式価総額は1584億円と、マイケル・ウッドフォード元社長が解任される前日の10月13日終値時点で6733億円から4分の1以下になった。一方、連結売上高は8471億円で、ドル箱の内視鏡を含む医療関連事業が3553億円もある。これが最大1500億円で手に入るとなれば安い買い物というわけだ。

 買い手候補も多士済々だ。すでに約5・1%を保有する大株主である米投資会社サウスイースタン・アセット・マネージメントは臨時株主総会で経営陣一掃を要求するなど積極的だが、「同社はニッポン放送株のライブドアへの売却や、日本興亜損保と損保ジャパンの合併を働きかけた経緯がある。今後もM&A(企業の合併・買収)に絡んだ動きを仕掛ける可能性がある」(前出のコンサルタント)。

 ロイター通信は、オリンパスの受け皿候補として、内視鏡を手掛ける富士フイルムホールディングスやHOYA、オリンパスと資本提携している医療機器のテルモなどの名前を報じている。

 このほか「オリンパスの内視鏡技術が欲しいのは国内だけではない。中国のファンドや韓国の電機メーカーがオリンパスに色気を見せてもおかしくない」(同)との見立てもある。

 企業買収という手段で損失隠しをしたオリンパスが買収の危険にさらされている。因果応報か。

 

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