使用方法
AvidemuxはMPEGファイルの無劣化でカット編集ができるだけでなく、アップスケーリング・クロップ・インターレース解除・ノイズ低減などのフィルタをかけ、エンコードすることも可能である。
ただ、映像・音声の各コーデックとそれらを格納するコンテナ(ファイル形式)を指定する必要があり、選択したコンテナに対応していないコーデックでファイ
ルを出力した場合に、Avidemuxが強制終了したり、出力ファイルが正常に再生されないなどの不具合が発生するため、各コンテナと格納できるコーデッ
クの把握が必要。
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Avidemuxを起動後、動画ファイルを読み込んだ状態。
作業はほぼ全てこの画面で行う。
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編集する動画を開く ドラッグ&ドロップでもOK
ファイルの保存 編集したファイルを出力する
インフォメーション 読み込んだ動画の情報を表示
途中保存した作業(プロジェクト)を読み込む
作業を途中保存 プロジェクト名をつけて保存
動画のビットレートなどをファイルサイズから算出
編集前の動画をプレビュー
編集後の動画をプレビュー
編集前と編集後を左右2画面で同時プレビュー
編集前と編集後を上下2画面で同時プレビュー
編集後の動画を別ウィンドウでプレビュー
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映像形式
編集後の出力ファイル形式を選択。
無劣化編集を行う場合は「コピー」を選択。
コピーで行えるのはカット編集と同一規格のファイル結合のみで、当然だがフィルタは使用できない。
使用可能なコーデックにはLossless(無劣化)の可逆コーデック(Huffyuv・FFVHuff・FFV1)も含まれている。
可逆式なので画質の劣化はないが、圧縮率は低いためファイルサイズは大きくなる。
YV12はおそらく無圧縮のコーデックで、755KBのMP4ファイル(4.7秒の動画)をYV12でエンコードすると153MBのファイルになった。同じファイルを可逆コーデック「FFVHuff」でエンコードすると66MBになる。
可逆コーデックやYV12を選択する際はディスクスペースに注意が必要。
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構成設定
エンコードするコーデックにMPEGなど非可逆のタイプを選択した場合、構成設定が可能になる。
選択したコーデックによって内容は異なるが、エンコーディングモードやビットレートなどの設定が可能。
デフォルト設定で満足のいく画質が得られない場合に設定を変更する。
エンコーディングの固定量子化はビットレートが可変で、適した数値を設定することで、他のモードよりも圧縮率・画質が得られるものの、ある程度の専門知識が必要になる。
※バージョン2.5.3には、映像のコーデックに「MPEG2-requant」と「YV12(raw)」を選択した状態で「構成設定」をクリックするとAvidmuxが強制終了するバグがある。
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映像フィルタ
映像を「コピー」以外で指定した場合に、アップスケーリング(拡大)やクロップ(切り取り)、インターレース解除、ノイズ除去、色補正などの処理を行うことができる。
フィルタを設定する際は、任意の項目をダブルクリックすると設定画面が表示される。
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トランスフォーム (拡大縮小)
「拡大縮小」と「MPlayer方式の拡大縮小」ではエンコードにかかる時間が異なり、「MPlayer方式の拡大縮小」が高速だが、仕上がりは「拡大縮小」の方が優れている。
アップスケーリングの方法はバイリニア・バイキュービック・Lanzcos3と3種類の方法が用意されている。
バイリニアは中間値をとる拡大法。
バイキュービックはバイリニアより滑らかな中間値をとる拡大法。
Lanzcos3は周辺の画素から値を算出する拡大法。
バイリニアよりバイキュービック・Lanzcos3が拡大後の画質は良いが、エンコードに時間がかかる。
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元データにもよるが、拡大(アップスケーリング)の際はノイズやシャープなどのフィルタを組み合わせると、より鮮明な画質になる。
但し、SD画質(720x480)をHD画質(1280x720)にアップスケーリングしても、本来のHD画質になるわけではない。
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トランスフォーム (クロップ)
指定したサイズに画像をトリミングするフィルタ。
赤枠部分に数値をいれると、左図のように緑色の枠が増減し、クロップする範囲を確認できる。
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インターレース (インターレースの解除)
インターレースとはアナログ放送やビデオで使用されている走査線を奇数と偶数に分けて送信する方式で、その性質上、デジタル化すると縞々になる。
インターレース解除とは交互に欠けている走査線を補完して表示する技術で、ちらつきを押さえる効果がある。
Avidemuxには複数のインターレース解除方法を実装しているため、プレビューで確認しながら最適なものを選択する。
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フィルタはトランスフォームやインターレースの他、ノイズ・シャープ・カラーなどがあり、それぞれ左図のように出力時の画質を確認しながら、フィルタを加えていく。
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音声形式
映像と同様、音声も再エンコードをしない場合は「コピー」を選択する。
非圧縮のPCMからAACまでメジャーなコーデックは一通り揃っており、MP3は高音質で定評のあるLAMEを使用。
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音ズレ補正
編集後に音ズレが発生する場合は左図赤枠部分の「シフト」にチェックを入れ、数値を入れて調整を行う。
映像よりも音声が送れる場合は正数、音声が早い場合は負数で指定する。
単位の「ms」は1000分の1秒なので、音声が映像より1秒送れている場合は「1000ms」、1秒早い場合は「-1000ms」で指定すると音ズレが改善される。
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音ズレについては、Avidemuxがファイルを読み込んだ際に、映像から音声トラック0までの時間が、メイン音声トラックで表示される。
「メイン音声トラック」は「音声」→「メイントラック」で表示。
左図の場合は、映像よりも266ms遅れて音声がスタートするため、音ズレ補正の箇所で「シフト」にチェックを入れ、266msにすると音ズレがほぼ解消される。
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出力形式
形式では出力するファイル形式を指定する。ただし、映像・音声で選択したコーデックを格納できるコンテナを指定する必要がある。
映像コーデックでMPEG-4(ASP)、音声コーデックにAACを指定した場合、DVD Videoで使用されるMPEG-TSやMPEG-PSのコンテナには当然格納できないので「互換性エラー」になる。
汎用性のあるコンテナはAVIとMKVで、多様なコーデックを格納可能。
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編集コマンド
取り込んだファイルの再生
停止
1フレーム単位で移動
キーフレーム単位で移動
範囲を指定 Aが始点 Bが終点
ブラックフレーム(黒コマ)へ移動
開始フレーム 最終フレームへ移動
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フレームの種類
現在フレームの種類を表示。
Iフレームは、それだけで完結しており、元のフレーム画像を復元できる。
Pフレームは、Iフレームの画像との差分情報。Pフレームをデコードするためには、その前のIフレームの情報が必要となる。
Bフレームは、前後のフレームとの差分も使って圧縮されたもので、Bフレームをデコードするためには、前後のIフレーム、Pフレームの情報が必要となる。
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早送り・巻き戻し
左図の「選択範囲」の上にあるのはオーディオデッキなどに付いているシャトルリングと同じもので。速度調整をしながら早送りと巻き戻しができる。
「選択範囲」は範囲指定したA・Bのフレーム位置を表している。
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ファイルの結合
Avidemuxはカット編集だけでなく、ファイルの結合も可能だが、結合するファイルはファイル形式と解像度が一致していることが条件になる。
ファイルの結合は「ファイル」→「追加」を選択後、現在取り込まれているファイルに追加するファイルを指定する。
ファイル追加後の並び替えはできず、単に同一形式のファイルを一つにまとめて出力することしかできない。
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ファイル結合の条件に合わなければ、左図のようなエラーメッセージがでる。
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編集リセット
操作を取り消す場合は「編集」→「編集のリセット」を選択すると、全ての変更がリセットされる。
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ファイル取り込み時の確認メッセージ
取り込んだファイルの形式により、確認メッセージがでることがある。基本的に全て「はい」でOK。
左図はMPEG4ファイルを取り込んだ際に出るメッセージ。
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左図はMPEG2ファイルを取り込んだ際のメッセージ。
MPEG2ファイルを取り込むと、右図のような「.idx」という拡張子を持ったインデックスファイルが作られる。
このファイルは編集が終了したら削除しても構わない。
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MPEG2ファイルの無劣化カット編集
無劣化編集をする場合、カットはGOP(Group Of Picture)というIフレームを含むフレーム群単位での編集が基本になる。
ただし、GOPはフレーム群のため、GOPに含まれるPフレームやBフレームの箇所ではカットできないデメリットがある。
編集するMPEG2ファイルを開くと、前述のようにインデックス処理のメッセージが出るので「はい」を選択。
開いたファイルと同一フォルダに複数のMPEG2ファイルが存在する場合、左図のようなメッセージがでる。
このメッセージで「はい」を選択すると、フォルダ内のMPEG2ファイルが結合された状態で開く。「いいえ」を選択すると指定したファイルのみが開く。
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MPEGファイルのインデックスを作成中。
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無劣化編集のため、映像と音声は「コピー」を選択。
これで映像と音声を再エンコードせず出力する。
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次に音ズレの確認。
左図のように「音声」→「メイントラック」を選択。
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メイン音声トラックが左図赤枠部分のように、マイナスの数値で表示されている場合は、音声が映像より数値の分だけ遅れ、マイナスでなければ数値の分だけ音声が映像よりも早くなることを示している。
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メイン音声トラックで表示された音ズレを補正するため、「シフト」にチェックを入れ、メイン音声トラックで表示された数値と同じ数値を左図赤枠部分に入力する。
メイン音声トラックがマイナス表示であれば、その数値だけ音声を早める必要があるため、左図赤枠部分のように正数で入力し、メイン音声トラックがプラス表示であれば、マイナスをつけて負数で入力する。
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映像と音声を格納するコンテナを選択する。
使用しているコーデックによっては互換性の問題が発生するケースもある。
編集するファイルがMPEG-PSでコーデックがMPEG Videoの場合、、「コピー」を選択するなら「MPEG-TS」や「MPEG-PS」でなければ出力ファイルが正常に再生されない。
ただし、出力したファイルを後からXMedia Recodeでエンコードする場合は、「MPEG-PS」でなければエンコードができない。
ファイル形式は映像と音声を格納する部分のため、コンテナによる画質の違いはない。
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設定が完了したら、カットする部分を編集する。
左図赤枠部分のシークバーをカットする始点付近に移動させる。
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シークバーをカット始点の近くに移動したら、次に左図赤枠部分のキーフレーム移動ボタンで、カットしたい位置から最寄りのキーフレームを探す。
キーフレーム移動は、前述のGOP単位での移動のため、希望のフレームが選択できないことがあるが、再エンコードを実行しない場合、1フレーム単位でカットすると不具合が生じる可能性があるため、キーフレーム移動でカットする点を指定した方が良い。
1フレーム単位でカットしたい時は、映像・音声を「コピー」ではなく、任意のコーデックを指定して再エンコードする。
ただし、無圧縮と可逆コーデック以外の非可逆コーデックを使用すると多少なりとも画質は劣化する。
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キーフレーム移動でカットする始点が決まれば、左図赤枠部分の「A」を、同様に終点へ移動して「B」をクリックする。
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カットする始点と終点を指定したら、左図のように指定した範囲が青枠で表示される。
この状態で「編集」→「削除」を選択、または「Delete」キーを押すと、マーカーされた範囲が削除される。
この作業を繰り返し、不必要な部分を削除していく。
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音ズレ補正やカットした状態を確認する場合は、左図赤枠部分の「編集後動画プレビュー」をクリックし、 で動画を再生して確認する。
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編集が完了したら、左図赤枠部分のアイコンをクリックするか、「Ctrl + S」、または「ファイル」→「保存」→「ビデオの保存」を選択。
ファイルを保存する際は「ファイル名」.「拡張子」の入力が必要になる。
ファイル形式にAVIを使用した場合は「ファイル名.avi」
同様にMKVを使用した場合は「ファイル名.mkv」
MPEG-TSを使用した場合は「ファイル名.ts」や「ファイル名.m2t」でも良いが、これらの拡張子では再生の際に支障がでるため、「ファイル名.mpg」にしておく。
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ファイルを保存すると、左図のようなプログレスバーが表示され、進捗が確認できる。
映像・音声ともに再エンコードをしないため、出力は非常に早く、2.4GBのファイルを編集し、1.6GBのファイルとして出力するのに10秒〜30秒である。
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作成したファイルを再生して確認。
問題なければ作業終了。
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Windows7の環境で作成したファイルを再生した際に、映像は再生できても音声が際せできない場合、タスクトレイのスピーカーアイコンを右クリックで「再生デバイス」を選択。
または「スタートメニュー」→「コントロールパネル」→「サウンド」を選択。
「規定のデバイス」に指定されている「スピーカー」を選択し、「プロパティ」をクリックすると左図のような画面が開くので、赤枠部分の「排他モード」のチェックを外す。
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Avidemuxは無劣化出力が大きな特徴で、テレビ番組のCMカットなど単純な編集作業に適している。
エンコードは画質の劣化を招くため、元データのクオリティを維持するためには無劣化出力が理想だが、元データによってはフィルタをかけて画質を調整し、再エンコードした方が見やすくなる場合もある。
Avidemux
のフィルタはXMedia
Recodeよりも優れているため、フィルタをかける必要がある場合は、Avidemuxで編集してHuffyuvなどの可逆コーデックで出力し、その
ファイルをXMedia Recodeで任意のファイル形式へエンコードした方が良い。
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