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演技に精彩欠く真央に心配事があった

「恐らく競技に没頭できていないのではないか」――。

 フィギュアスケート関係者の間で今、こんなことがささやかれている。浅田真央(21、中京大)に関してだ。

 グランプリシリーズ第4戦日本大会(NHK杯)が去る11日に開幕。今季初戦の浅田は初日のショートプログラム(SP)で「シェヘラザード」の演技を初めて披露。「お姫さま風」(浅田)にアレンジした振り付けは観衆を魅了したものの、3回転半ジャンプは跳ばず2回転止まり。難易度の高い技が出せず、技術点(28.33)は平凡なスコアに終わり58.42点。演技を終えた時点ではトップに立ちながら、レオノワ(ロシア)、鈴木明子に抜かれて結局、3位で初日を終えた。

 今季の初陣を終えた浅田は「初戦にしてはまずまずの出来です」と笑顔で話したが、3回転半ジャンプについて質問されると表情は一変。「回転不足でも何でも跳べばよかったかな。もっと良いものに仕上げないと」とジャンプへの不安をのぞかせた。

 バンクーバー五輪銀メダリストは昨季の世界選手権で6位と惨敗。全日本選手権ではライバルの安藤美姫の後塵を拝した。村主章枝、荒川静香らを育てた佐藤信夫コーチに師事し、ジャンプ、トリプルアクセルの精度と表現力を高めるため、基本動作の反復練習に取り組んだ。浅田は復活を期して今季に臨んだが、問題はスケーティングよりも精神面にあるという。

 実は身内が健康問題を抱えているからだ。最愛の母が体調を崩し、昨年から入退院を繰り返しているというのだ。

 昨季は演技構成や新しいジャンプを取り入れたが、母親の容体が気がかりで練習に身が入らなかった。調整不足のまま大会に出場したため結果を残せなかったわけだ。

 7月に自動車教習所に通って運転免許を取得したのも、いつでも母親の元にかけつけられるようにするためだという。

 今後は25日からの第6戦ロシア大会に出場し、優勝した08年以来3年ぶりのGPファイナル(カナダ・ケベック、12月9日〜)進出を目指す。

 病を患う母親を元気づけるには完全復活した姿を見せるしかない。

(日刊ゲンダイ2011年11月12日掲載)


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