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【放送芸能】

ラジコ 東北などの番組配信、3月まで延長

 ラジオの番組を、インターネットでパソコンや多機能携帯電話(スマートフォン)に同時配信する「radiko.jp(ラジコ)」。放送している地域に限定したサービスだが、東日本大震災の被災地七局の番組は現在、全国で聴くことができる。県外に避難している被災者などから存続を望むメールなどが寄せられており、十月までだった予定を来年三月まで延長。震災後にラジオが見直される中、ラジコの可能性も広がりを見せている。 (早川由紀美)

 三月十一日の震災発生当時、ラジコに参加していたのは在京、在阪の計十三の民放ラジオ局。もともとラジコは、ビルが林立する都市部でラジオが聞こえづらくなっている問題を解消することが出発点のため、放送されている地域に限定して配信されていた。しかし震災の二日後、臨時で地域制限を解除した。被災地の情報の入手経路を一つでも多くしたいと考えたからだ。

 「福岡の人から会社に直接電話がかかってきた。ラジコで被災地の友人の無事が確認できたと」。ラジコの青木貴博・業務推進室長は振り返る。

 在京、在阪のラジオ局の全国配信は一カ月ほどで終わったが「ほかにできることはないか」と、四月下旬から始めたのが、福島、宮城、岩手の東北三県のAM、FM六局と茨城放送の計七局の全国配信だった。

 被災地の局には、ラジコを通じて聴いた全国のリスナーからメールが届くようになった。ラジオ福島の担当者は「福島では原発事故の影響で五万八千人が県外に避難している。それらの人たちに発信するためにもラジコは必要」と力を込める。

 県外に避難した人以外に、震災後初めて番組に触れた人たちからもメールが届く。ラジコでラジオ福島を聴き、福島に定期的に訪れている東京の男性からは「どれだけ情報網が発達しても、現地に行かないと悲しみや苦しみは分からない。福島の人からは運命とともに暮らす覚悟を感じて涙が出る」との声が寄せられた。

 阪神大震災で被災した神戸市の女性からは「震災から一カ月も過ぎると、被災地とそれ以外の場所で意識があまりに違ってきていることに、心身のバランスを崩した。そういうときにも歌は力になります」。同じ苦しみを分かち合いたいという気持ちがこもったアドバイスだった。

 「ラジコはパソコンやスマートフォンに接続できる電源がないと聞こえないし、放送よりわずかに遅れるため、緊急地震速報も流せない。災害用メディアとは言い切れないが、震災の経験を経てあらたな可能性を感じた」(青木室長)。五月に実施した調査では震災のあった三月以降にラジコを聴き始めた人が46・0%に上った。とくに女性では50・4%と過半数を占めた。中京や北海道地区などで、新たに参加したラジオ局があったことも要因の一つだが、関東や関西地区でも30%近くが三月以降のリスナーで、震災の影響も大きいとみられている。

 被災地支援にとどまらず、放送エリア以外に番組を配信するサービスも視野に入れるが「まずは、より多くのラジオ局に参加してもらうことが先決」(同)。現在参加しているラジオ局は百社中四十八社になった。一月下旬には過半数に達する予定という。

 

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