【イスラマバード共同】パキスタン原子力委員会は20日、同国南部カラチの原子力発電所で同日までに数百リットルの重水漏れがあったことを明らかにした。漏えいは18日か19日に起きたとみられる。
同原発は運転開始から約40年経過し老朽化が進んでおり、パキスタン当局は運転を停止、詳しい原因を調べている。
委員会関係者によると、作業員の健康被害はなく、原発周辺への放射性物質の漏えいもない。1980年代にも同様の事故が発生し、数カ月運転を停止したことがある。
同原発はカナダ製重水炉「CANDU炉」で、72年に運転を開始している。
(2011年10月20日)
福島第1原発事故の被害者に対する東京電力の賠償金支払いがようやく本格化する。損害は避難住民や中小企業、農家などに広がり、風評被害も含めると総額は数兆円規模に上ると想定される。賠償金支払いをめぐる現状と課題を探った。
原発事故の賠償 原子力損害賠償法に基づき、数兆円規模とされる福島第1原発事故の賠償金は原則として東京電力が支払う。賠償範囲は、文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」が決定。長期間の避難生活を強いられた住民の精神的苦痛のほか、農水産物の出荷制限や風評被害に伴う価格下落なども対象とした。政府は賠償金支払いに万全を期すため、「原子力損害賠償支援機構」を柱とする法的枠組みを整備した。賠償金の仮払いは9月27日時点で計1291億円となった。
文部科学省は18日、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性セシウムの濃度や放射線量の分布を、従来より詳細な地図で確認できるホームページを開設した。市町村別の大まかな傾向でなく、地区ごとの違いを知りたいとの住民の要望に応えた。
すでに公表している土壌分析や航空機測定のデータを利用。東北や首都圏の各県で、地図をズームアップしながら表示できる。ホームページのアドレスはhttp://ramap.jaea.go.jp/
東京電力福島第1原発事故を受け、政府や被ばく医療の専門機関が、放射線の健康への影響などについて市民の相談を受け付ける電話窓口を開設している。
経済産業省原子力安全・保安院は、原発事故の全般的な状況などの問い合わせに毎日24時間対応する。電話番号は03(3501)1505。
文部科学省は健康相談ホットラインを開設。放射線や放射線の影響に詳しい相談員が応対する。毎日午前9時から午後9時までで、電話番号フリーダイヤル(0120)755199。
放射線医学総合研究所は、被ばく医療や、放射性物質が体に付着した場合の除染方法などを解説する。毎日午前9時から午後9時までで、電話番号043(290)4003(11日から)。
首相官邸のホームページには原発事故に関連する情報がまとめて掲載されている。
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から半年が過ぎた。外部へ放出された大量の放射性物質は環境を汚染し、野菜や牛肉など身近な食品から検出が相次いだ。健康被害を防ぐため国が設定した食品の暫定基準値は、秋以降に見直し作業が本格化する。家族で囲む食卓への影響は今も続き、妊婦も不安に直面したままだ。長期化する原発事故の影響。出口はまだ見えない。