野田総理大臣が、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、交渉参加に向けて関係国との協議入りを表明したことを受けて、アメリカのカーク通商代表は、これを歓迎するとともに、日本に対し規制緩和も求めていく考えを示しました。
ハワイで開かれていたAPEC閣僚級会合の終了後、議長を務めたアメリカのカーク通商代表は、各国の閣僚らと共同会見に臨みました。この中で、日本がTPP交渉への参加に向けて、関係国と協議入りを表明したことについて「歓迎すべき動きだ」と述べ、今後の日米間での具体的な協議の開始に期待を示しました。ただ、「日本のみならずTPPに加わりたいという国は高いレベルでの貿易の自由化を目指さなければならない」と述べたうえで、アメリカ産牛肉の輸入制限など、アメリカがかねてから求めている規制の緩和についても2国間で協議していく考えを示しました。一方、会見に出席した中国商務省の兪建華次官補は、中国が将来的にアメリカ主導のTPPに参加する可能性について問われたのに対し、「いつか、そのような招待状を受け取れば、真剣に検討する」と答え、これまでの消極的な姿勢を繰り返すにとどまりました。これに対し、カーク通商代表は「TPPの特色はどの国に対してもオープンであることで、招待状を待つ必要は特段ない」と応じ、アジア太平洋地域の自由貿易圏を巡る米中の駆け引きをうかがわせる形となりました。