打球に飛びつく姿に栄冠　シェーン・ビクトリノ（フィリーズ）

　生まれ故郷のハワイ州マウイ島では、地元の英雄だ。沖縄出身の祖父を持つ日系３世。６歳のとき、家の近くのサトウキビ畑で兄とともに白球を追いかけたのが、野球人生の出発点だった。２００３年４月、２２歳で大リーグ初昇格。マウイ島出身では約８０年ぶり２人目の大リーガーとなり、以来、自身のプレーが地元紙で伝えられない日はないほどの人気を集めている。

　日系人選手では最も成功した選手の一人だろう。名門フィリーズで主に中堅手を務め、０８年のワールドシリーズ優勝に貢献。「ゴールドグラブ賞」に昨季まで３年連続で選ばれるなど、リーグを代表する外野手だ。身長１７５センチは大リーグでは小柄だが、どんな打球もあきらめずに飛びつく姿に、付いたあだ名は「フライング・ハワイアン（空飛ぶハワイ人）」。

　祖父は日本人で、祖母は中国人。父親はポルトガル人で、日系２世の母親の旧姓は「ナカハシ」。日本語は話せず、日系人という意識はあまりない。しかし、「冷静で規律のとれた祖父の生き方は忘れられない。日本選手のプレーにも同じものを感じる。そういう日本的な価値観が、自分の中に流れていることを誇りに思う」。（村上尚史）

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　Ｓｈａｎｅ　Ｖｉｃｔｏｒｉｎｏ　３０歳。１９９９年にドラフト６巡目指名でドジャースに入団。２００９年にオールスター初出場。昨季は打率２割５分９厘、１８本塁打、３４盗塁。背番号８。右投げ両打ち。